29時間目【海水浴場/5】
青い空、白い雲、そして、人がイッパイのビーチ。
「美味しかったな。さすが、TVで紹介された事がある店だ:拓真」
「そのTV見たよ!レポーターは、ホントは姉妹じゃないのに姉妹って芸名に付いてる某有名人:翔太」
「キレイだよね〜:雫」
「私はそのTV見てない。東京テレビの、秋葉原ステーション見てたしね♪:梓」
昼食を食べ終えた四人は、テントに向けて歩いてる。
「……ん?:拓真」
「普段はお姉さんを凝視してニヤニヤしてるお兄ちゃんが、突然真剣な顔をしてどうしたの?:翔太」
「前半はいらないよね。てか、お姉さんを凝視してニヤニヤしてるんじゃなくて、胸を見てニヤニヤしてんだよ:拓真」
「…(ΘдΘ):雫」
「このド変態野郎!:梓」
(((⊂(`o´∩)
「アァァァーー!:拓真」
拓真は大事なトコロを思い切り殴られたので、病院へ直行となった。
♪
海の家森林浴。
来年の夏、この店名を誰かが付けそうな感じがしてきた。そんな事を思ってると、店内から三人の女性が出て来た。
「次は何処の居酒屋に行く?暑いし早く決めて〜」
「アハハ、居酒屋じゃなくて海の家だし(笑)」
「涼子?先にそこの海の家で飲んどくよ〜」
ハイペースでお酒を飲んだ三人は、次の店へと足を運ぶ。最早、彼女達が海水浴場に来た理由等どうでもいい。
涼子は、海の家森林浴のカウンターで、キム兄と高校生三人とで話をしていた。
「何かゴメンね…。折角集まってもらったのに、打ち壊して…」
涼子は海の方を向いて、しょんぼりとしていた。
「元気だしなよ!また今度、集まればいーじゃん」
キム兄は優しく、涼子を励ます。
「うん…。だけど、今日という日は二度と来ないから淋しくて…」
涼子の瞳は、ウルウルしていた。
「…泣かないでよ。コレを飲んで、元気出そう」
キム兄は、グラスを涼子に向ける。
「ハハ、年下の貴方に慰められるなんてね」
グラスを受け取り、キム兄を見て笑う。
『乾杯ーー』
♪
夕方になり、帰る時間になった。皆疲れたのか、とても眠そうだ。
「楽しかったねぇ〜。海って最高だ!」
ゴーグルを頭に付けたままの翔太。
「日焼けとか気にしてたら、楽しめないよね」
浮輪の空気を抜いている雫。
「全然泳いでないよ…」
一人落胆する祐介。
「カリカリ君買ってあげるから、元気だして」
財布を取り出す梓。
「気分悪い。お酒飲み過ぎたかも」
お腹を擦る涼子。
太陽と空が真っ赤に染まっているのを見た時、バスは動きだした。