26時間目【海水浴場/2】
青い空、白い雲、そして、人がイッパイのビーチ。
「浮輪とゴーグルを装備したし、海に行こうよ!」
兄の手をひっぱる翔太。
「俺は海水パンツを装備しているけど、泳がないよ。…ポロリビーチは危険だから、ティッシュは必須だね。鼻血が出るし…」
面倒臭そうな顔をして、セリフを棒読みの拓真。
〈カット(!△!)〉
「拓真お兄ちゃん。どうして、感情を込めてセリフを言えないの?梓が折角徹夜で台本作ったのに…」
瞳をウルウルさせている、アキバ系の梓。
「そんな事言われても、急に台本渡されて感情を込める事なんてできないでしょ?てか、お子様は海で遊んできなさい!」
子供の面倒をみようとしない、愛川家長男拓真。
すると梓は、
「お兄ちゃんの馬鹿!梓の事大好って言ったのに、他の女を好きになったのね!もうお兄ちゃんなんて、大嫌い!」
泣きだしてしまった。
「遊んでやるから早く準備しろ!それと、そこのパッとしない奴は荷物の見張りをヨロシクな!」
急に優しくなった、愛川家長男拓真。
「えっ…僕(・・?)」
テントに一人残されたのは、夏休みの宿題は全部7月にやってしまう祐介。
♪
海の家、森林浴。
思わず店名をツッコミたくなる名前だが、ソコらへんは無視する事にしよう。 水着姿の男女がジャズの流れる空間で、静かな時間を過ごしていた。
「へぇ〜。じゃあ、その為には何でもするんだ?でも、それって危険だからやめた方がいいと思うよ」
何の話をしているんだ?
「危険と分かっていても、芸術的なTシャツを探すのはやめられません」
どうやら、Tシャツの話で盛り上がっているようだ。でも、危険って何だ?
「で…貴方は誰なの?」
「…僕は、愛川の友達の木村です。皆からは、キム兄って言われています」
「ふ〜ん。で、キム兄は私に何の用なの?」
「涼子さんの彼氏オーディションを、開催するんじゃないですか。忘れないで下さいよ!主役なんだから」
笑いながらそう言うと、キム兄は立ち上がった。
「彼氏になりたいね〜」
「個室に彼氏候補達が待ってますので、行きましょうか?食べ物もありますよ」
「個室まで用意してくれるなんて、嬉しいわね」
涼子はスキップをしながら、個室へ向かった。
♪
アツい!アツいよ!!
早く冷たい海に入らなきゃヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
「アイツ…頭悪いよな。サンダル履いたら熱くないのに、何でわざわざ裸足で砂浜を歩くかなぁ?」
拓真は腕組みをして、水際で偉そうにしている。
その時…
「お兄ちゃん、どいてよ!そんな所につっ立っていたら、人身事故になっちゃうからどいて〜!」
拓真の方に向かって、勢い良く走ってくる翔太の声が聞こえた。
===(ノ*□*)ノ
「ちょっ、危ないって!海は冷たいから、ゆっくり入らないと心臓がビックリするだろ!だから止まれ!」
〈バチャン!〉
メラメラと燃える太陽の下、水しぶきが上がった。