20時間目【入部】
僕は悩んでいる。
オニギリに入れる具材を、鮭か昆布どっちにしよう?ってぐらい、悩んでいる。
「一昨日から何か考えてるけど、どうしたの?」
水玉模様のワンピースが可愛い雫が、ぼ〜っと天井を見上げている翔太に尋ねる。
「鬱なんだ…」
翔太は、小声で言った。
「そうなんだぁ〜。どの部活に入るか、一昨日から悩んでたんだ?」
鬱という単語を無視した雫は、翔太の悩みをズバリ言い当てた。
「…実は熱中症でさ」
翔太は、大声で言った。
すると、
「熱中症だと!そんな事は早く言え( ̄□ ̄;)!!」
松下先生が走ってきた。
「スミマセン。冗談です」
(つ`□´)=⊃)`д゜)
-放課後-
「ん〜(~∧~)」
一昨日松下先生から渡された二枚のプリントを眺め、翔太は何やら悩んでいる。
「そんなに悩んでいるのなら、私が所属してる部活に入部してくれない?」
蜘蛛のピアスが格好良い雫が、勧誘を始めた。
「誘ってくれるのは嬉しいけど、帰宅部にしようかなぁ〜って思ってるんだ」
ナンダッテ!!!!
Щ(゜■゜;Щ)
「し、雫ちゃん…顔恐いよ。ヒロインが、そんな顔しちゃイケないんじゃ…」
翔太は、雫の恐ろしい顔を見て後ずさる。
「翔太君!入部する気になったよね(・・?)」
いつもの可愛い顔に戻った雫は、再び勧誘を始めた。
「これからヨロシク…」
強制的に入部させられた翔太は、雫の後を着いていく。
-北校舎二階-
北校舎は、天上天下小学校部活動の部室だけがある、日当たり最悪の校舎。
そんな北校舎の二階の廊下を歩いていると、外から大声が聞こえてきた。
「帰宅したいかぁ〜!」
〈オォォォォォォォォォ〉
「早くチャットしたいかぁ〜!」
〈オォォォォォォォォォ〉
「何じゃコレ…」
「コレが、帰宅部だよ」
「では位置について〜!ヨーイ…ドン(≧∀≦;)!!」
〈バァァァァァン!!┓〉
「帰宅部が帰宅する時は皆で気合いを入れた後、両手を地面に着けたクラウチングスタートの格好で号砲を待つの。そして、クラウチングスタートには3パターンがあるの。バンチスタート、エロンゲーティッドスタート、ミディアムスタート…どれを使うかは自由らしいよ」
「帰宅部に入らなくて良かったかも…」
「安心するのは、少し早いと思うんだけどなぁ〜」
「えっ(・・?)」
-数分後-
「…(//ο//*)」
「翔太君!恥ずかしがらないで。男の子は翔太君だけなんだから、頑張って!」
雫は、応援している。
「やっぱり、男の子にバニーガールのコスプレは駄目かな?じゃあ次は、レースクイーンね〜」
カメラを持っている梓は、翔太を撮りまくる。
「帰宅部の方がマシだ…」
翔太は無理矢理入部させられた梓部で、オタな世界へと入り込んでしまうのか?ご期待下さいo(^-^)o