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謁見とステータス確認

「勇者様。こちらが謁見の間です。王がお待ちですので」

と賢者ムスメサンは言った。


賢者ムスメサンが扉を開けると、

そこには中央に赤いじゅうたんが敷かれた、

いわゆるベタな王様がいる部屋が出てきた。

赤いじゅうたんの端には、金色の房がついており、いかにも高級そうだ。


「お待たせしました。勇者殿をお連れしました」

と賢者ムスメサンは言った。


私は深々と頭を下げる。


「私は、御堂二三男。御堂筋の御堂に漢数字の一二三の二と三に男と書いて、みどうふみおです。駄菓子メーカーの営業部長をしております。

こちら名刺です。はじめまして」

と私は頭を下げた。


衛兵のような者が近づき、名刺を取り、上下左右から安全を確認し、王にお付きの者が王に渡す。

長い営業経験があるが、こんなに時間のかかる名刺交換はない。

実に面白い。

私は胸の高鳴りを感じた。


「勇者にしては、ずいぶん歳を取ってみえるが、勇者殿はおいくつじゃ」

と王は尋ねた。


「58歳です」

と私は言った。


(58歳?)

謁見の間に、衝撃が走る。


「58歳ですと……、あなたはエルフ族か何かなのですか?それともドラゴンの血を浴びたとか?」

と賢者ムスメサンは言った。


私は戸惑った。

どう答えればいい。

いや、これはマジに答えて、マジボケで処理するほうが、きっと面白いはずだ。


「エルフ族でも、ドラゴンの血を浴びたわけでもありません。私の世界では、こんなものです。美魔女という人たちもいて、私よりもっと若い人も多いです」

と私は答えた。


謁見の間の空気は明らかに変わった。

皆、動揺しているようだ。


「なるほど、勇者殿の世界では、魔女もおられるのですか」

と賢者ムスメサンは理解しようとしてか、うなづいている。


「魔女どころか、怪物と呼ばれる人、神と呼ばれる人、妖怪と呼ばれる人達もいますね」

と私は笑った。


「……それは恐ろしいところだ。勇者様はなんと呼ばれていたのですか」

と賢者ムスメサンは尋ねた。


「トップ営業とか、ダジャレ王とか、金曜のレバニラとかも言われますね」

と私は笑った。


(金曜の※※……、禁呪の名だ。なんと恐ろしい勇者を召喚したんだ)

謁見の間に、衝撃が走る。


「賢者ムスメサン、ステータスはどうなっておる」

と王は尋ねた。


「まだ、測定しておりません。だれか!急いで測定器を持ってこい」

と賢者ムスメサンは言った。


慌ただしく何かが準備される。

数分後、古いタイプの血圧計のようなものが用意された。

私は腕をめくるように言われ、指示通りにする。

血圧計と同じように、空気が送り込まれる。

すると、血圧計の上に、数字のようなものが表示された。


その表示を見て、賢者ムスメサンの顔色が曇った。


あれ……、

なんか期待外れだったのかな。


「どうなんだ」

と王は言った。


「なんと申しましょう。ご覧ください」

と賢者ムスメサンは言った。

王は血圧計のようなものに近づき、シゲシゲと確認する。


「体力はそこそこある。知力もそこそこ。魔法適正がない。力は弱い。素早さは低い。魔力は低い……、使い物にならないじゃないか」

と王は言った。


「しかし、この男は禁呪の異名を持ち、勇者召喚でやってきました。

これは神の御采配かと……」

と賢者ムスメサンは頭を下げた。


なにかマズい展開だ。ここはなんとか、場を和ませないと。


「ステータスはすげーだす。なんちゃって」

と私は言った。


(ぼわん)

と血圧計から音がした。


「なんじゃ。いまの反応は魔力が一瞬、グンと上がったぞ」

と賢者ムスメサンは言った。


「ワシも見た。たしかに一瞬グンと上がった。あれは何だ」

と王は言った。


「勇者殿。今あなたは何をされた」

と賢者ムスメサンは尋ねた。


「……ダジャレを言っただけです」

と私は答えた。


「もう一度同じのをお願いできますか」

と賢者ムスメサンは言った。


私はうなづき、


「ステータスはすげーだす。なんちゃって」

と私は言った。


(ぼわん)

と血圧計から音がした。


「王よ。この勇者殿は、条件が揃えば、魔力が強まるタイプのようです」

と賢者ムスメサンは言った。


「なるほど。そういう勇者もいるのか……、

しかし、常時強いタイプでなければ、魔王軍に勝てぬのではないか」

と王は言った。


「その通りだと思いますが、神の御采配ですから。

なにか使いようがあるのだと思います。

今はわかりませんが」

と賢者ムスメサンは言った。


私はここまで来て、

この話が、どこまでボケなのか。

とても気になってきた。


そうだ。

ここがセットとか、どこかのアミューズメントパークだとしたら、街の様子とか見れば、確実にわかる。


一度要請してみよう。

「すいません。一度街の様子とか見せてもらっていいですか」

と私は尋ねた。


「王よ。王宮の窓から、国の様子を見せるのは許可頂けるでしょうか」

と賢者ムスメサンは言った。


「あぁそうだな。戸惑うこともあろう。そこの窓から外を見せてやれ」

と王は窓を指さす。


「勇者殿こちらにございます」

と賢者ムスメサンは窓まで案内してくれた。


私は窓から外を覗く。

中世のような街並みが続き、城壁に囲まれ、その外は森と草原が広がっていた。


なにここ?

日本じゃないよね。

しかも、21世紀でもない。

どうも、別の世界にいるのではという疑いが強くなってきた。


「あの……この世界って、私が元いた世界とは別の世界なのでは?」

と私は尋ねた。


「そうですよ。あなたは魔王軍討伐の為に、召喚された勇者様なのですから」

と賢者ムスメサンは言った。


私は目の前が真っ暗になった。


「月曜日に重要な商談があるのですが、月曜日までには戻れますか」

と私は尋ねた。


「基本的に、戻ることはできません」

と賢者ムスメサンは言った。


私は言葉を失った。


月曜までに戻れなければ、社長に大目玉だ。

というか……、

戻れなさそうだから、クビだな。

間違いない。


しかし、私はこれからどうすればいいのだろうか?

今まで駄菓子の営業しかしたことがない。

この国で何をして暮らせばいいのだろうか。


「あの……、この国で私は何の仕事をすればいいのでしょうか」

と私は尋ねた。


「……ですから、魔王軍討伐です」

と賢者ムスメサンは言った。


「それは、魔王軍という会社に奪われたシェアを奪い返すみたいなことですか?」

と私は尋ねた。


「そうです。そうです。奪われた領土とかを奪い返すみたいなものです」

と賢者ムスメサンはうなづいた。


それなら、営業と大差はないな。


とりあえず、雇用先は見つかった。

私は少し安堵した。


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