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16.なーくんに男ができたぁぁぁぁ!!!!

「なんだこれ美味そうすぎる……!」

「いやぁ〜行きつけのカフェで出てくる究極のスフレ……いいねぇいいねぇ!」


 義姉さんの行きつけのカフェにやってきて、早速アオが作ったものと似通ったスフレパンケーキを注文。そして出てきたのは、アオの写真のものがほぼそのまま投射したようなスフレ。見るからにフワッフワしていて、添えてあるバナナもうまそうだ。


「では早速いただきます。あーむっ……」

「あーんっ……んん〜っまぁい! さっすが!」

「……ぅま……!? うまぁ!!」


 口に入れた瞬間ふわっと広がる甘い感触。柔らかくてチョコソースがいいアクセントになっているスフレパンケーキは、今まで食べたスイーツの中でも群を抜いて美味い。これが620円はヤバい……ダブルにすればよかったと早くも後悔するくらいには味がしっかりしている。

 これには流石にDMに写真を送りつける他無いだろう。アオに先ほど撮っておいたスフレの写真を送りつける。すぐに既読がついて、一瞬で返信が来た。


【アオ : 僕が自作の食べてるからってわざわざ喫茶店行きます!?】


【オリオン : 食べたくなったんやからしゃーないだろ! あと偶然出先やってん!】


【アオ : おいしそ〜……いいですねぇ……】


【オリオン : アオは自分のあるやろ】


【アオ : もうおかわり分含めて食べきっちゃいました】


【オリオン : 暴食かな?】


 なんでも無い普通のメッセージのやり取りをしているだけでなぜか頬が緩む。アオが仮でも恋人だからなのだろうか、庇護欲が以前よりはるかに増している気がする。愛くるしい小動物を見ているような気持ちになる。


「……」

「……ん、なに義姉さん」

「いや……なーくんの顔がさ……メロくてさ」

「何言ってんの?」


 目を細めつつコーヒーを啜りながらそう言う義姉さん。なんの目だと首を傾げてみたが、すぐに義姉さんは一人で勝手に自己完結したらしく細めた目を静かに閉じ、お皿を傍に退かしてから机に突っ伏した。


「ね、義姉さん?」

「なーくんに女ができたぁぁぁ!!!!!!」

「っ!? てかうるせえ!」


 突っ伏していて籠っているとは思えないくらいの絶叫が耳を貫いた。そしてひとしきりうがうが唸ってから、義姉さんは顔を上げた。涙が中々の量頬を通過しながらも鼻水はしっかり垂れており、綺麗な顔なのにまぁまぁ酷めの顔である。


「おっ……お義姉ちゃんがいるのに"……! 女作った"ぁ……!!」

「女作ったって言い方やめて!? あと彼女じゃない!」

「うそつけえ! 愛しの女と喋ってるときの顔だもん"! 私そう言う顔知ってるもん"!」

「そ、そんな顔してた!? ……してたかも」

「ほ"ら"ぁ"!!!」


 思わず肯定してしまったが確かにその顔はしてたかもしれない。可愛さに絆されて結構口角が上がっていたから、そう捉えられてもおかしく無い。しかし今の状態で肯定してしまったら、義姉さん目線だと俺が彼女がいることを認めたように映る。


「義姉さん? 落ち着け?」

「落ち着いてるもん"!」

「落ち着いてないやんけ! 声がブサすぎる!」

「ブサすぎるって言うなぁ!」

「ええから水飲んでちょっと落ち着いて義姉さん」


 そう言いながら自分の飲みかけのグラスを差し出す。するとすごいスピードでグラスを取って俺が口をつけた場所を指で確認してから、そこに口をつけて一気に水を飲み干す。


 義姉さん……どんだけなんだよ……というかなんか酷くなってないか……?


「で……女?」

「女じゃ無いて……ネット友達。年下の男の子やって」

「年下男子……に負けたの……私」

「義姉さんステイ。マジでなんも無いねんて。ほんまに友達。声も顔も知らへんから」

「……なるほど?」


 それを聞くと妙に納得したような表情に切り替わった。顔を取り出したタオルで拭って、ふぅと息を吐く義姉さん。残っていたコーヒーを啜ってから俺に再び疑念を孕ませた視線を俺に向けてきた。


「女じゃ無いのは分かったよ。でもなーくん、そんな顔されたら普通に誤解するよ?」

「せんといてや。そもそも俺彼女もおったことないやろ」

「確かになーくんは恋バナしないし女の子関係の浮ついた会話も無いし性欲死んでんのかって思うくらい恋愛感情が発達してないけどさ」

「言いすぎやろおい事実やけど」


 概ね母さんと言ってくることが同じなあたり家族である。そしてそれを知っておいてなお俺に彼女がいると断定して騒ぐ義姉さんはなんなんだろうか。極度のブラコンだからと言われれば何も言い返せないが。


「でもまぁ……ぐぁー私だけのなーくんが……」

「いつ俺は義姉さんだけのものになった」

「なーくんがこの世に生を受けてから」

「俺16年も義姉さんのものだったんか」

「そうだよ」

「そうなん!?」


 衝撃の事実に目を丸くする俺と、当然のように語る義姉さん。


「まぁ冗談はさておき……なーくんが本気で好きになってるなら……まぁいいかな」

「え? ……クソブラコンの義姉さんがそんなこと言うわけないやろ!? 誰やお前!」

「失礼! なーくんクソ失礼それ! 私だって嫌だけどなーくん自身が選んだ人なら1万2000歩譲歩していいかなってだけ!」

「ちな相手からなら?」

「ボコボコにする」


 前言撤回、この人はいつもの姉だった。でも俺が選んだ人なら肯定するというのは母さんと同じ意見だった。先ほども感じたことだがやはり家族、俺に対する意見は全く同じなようだ。


 いやボコボコにするって部分だけは違うか。母さんなら多分相手が選んだ場合『センスいいわねぇ』とか言うし。

 口に含んだ残りのふわふわのスフレが何故か萎んだような食感になったのは気のせいじゃないと思う。

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