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Sの悲劇 影~革命の時

作者: Alrik



2032年5月15日 早朝 


早朝から出勤準備を始めた「八谷司」は不意に嫌な予感を感じて手を止める。 


「なんだろう、今日は何か起きそうな気が・・・」 


嫌な予感がするときは必ず何かに巻き込まれるんだよな・・・


あの時も別の事件に巻き込まれて囮にされたっけ・・・


・・・


【回想】  


(ヴーッヴーッヴーッ) 潜入捜査途中、突然の電話に警戒しながら小声で出る。


「もしもし」


「私だ、捜査中に悪いが別件で協力要請が来ている」


「別件ですか?」 


「今君がいるビル内に囚われている子供を救出するため、救助チームの囮をして貰いたい」 


「捜査中の件とも関連があるのですか」 


「君が捜査している件の大元に関連している事件だ」


「これが片付けば芋ずる式に解決できるかもしれん」


「あまり楽観視はしませんが、了解しました」



(回想終了)



はーーーーーッ 深いため息をつく 


・・・


あの時は酷い目に遭ったな。 ・・・・・・遠い目をしながら上を向く。


「考え過ぎか?」・・・


パシンッ 司は勢い良く顔をはたく 


「考えるだけじゃ何も起こらん、行動あるのみ」


不安を感じながらも準備を終えた司は愛用のバイクを走らせる。 

庁舎に近づくと異様な光景に気づく。


庁舎の前にプラカードを掲げ、白い衣装で統一された不穏な集団が集まっていたのだ。


「なんだあいつら?」




「武装警察反対~」 「警察の横暴を許すな―」 「権力者の支配に屈するな~」




「抵抗運動家?」  先週提出された法案関連か❔ 


警察権の強化を主軸にした法案だったか・・・




「支配に抗あらがい真なる自由を我等の手に~」


「特高警察を創らせるな~」




(ヴーッヴーッヴーッ) 不意の振動がスマホの着信を知らせている。


バイクを路肩に止め、電話に出る。


「はいっ八谷です」 


「榊原だ。突然ですまんが、君には至急総理公邸に急行し、現場周辺の状況を観察してほしい」


「現場周辺の観察ですか?」


「未明に首相が襲撃されたとの匿名の情報が入っている。信用できる筋からの情報でも襲撃は確実にあったようだ。公邸側に襲撃の関係者がいるかもしれん。


現状もっとも動きやすい貴君に特命を下す。現場経由で出勤し、観察と状況報告をしてくれ」


「特命受領しました」


通話を終えて一息入れる。


さてと、まずはあの集団の情報を・・・ 




司は集団を傍観している一人の青年に近づいて声をかけた。


「あれは一体何なんだ?」


「ああ、早朝から一時間はああして集まっているらしい。私もさっき隣の人に聞いたんだが、どうやら爆竹まで持ち出していたらしい。迷惑な話だ」 


「爆竹って、下手したら捕縛されても文句言えんだろうに」 


「昔の学生運動よりはいいんじゃないかな」


「お前なぁ、なん十年前の話だよ」


「昔うちのじいさんから聞いた話だと、何度か死にかけるようなこともあったらしいですよ」


「警察の記録にも学生運動活動家なんかの記録が結構残されてるんだよな。あの時代の警察にできた最善策と後の検証で何ができたのかなんかも書かれてたからな」


「今回はもっと根深いものがありそうですよ」


「というと?」 


「聞いた話によると、丑三つ時(午前2時頃)の道路を旧日本軍の軍服を着て旭日旗を掲げた集団が目撃されているんですよ」


「なんだ、都市伝説とか怪談話の類か?」 


「事実ですよ、いくつかの監視カメラにも映っていたみたいだし」


「頼む前に調べてくれるとはなんとも頼もしい。やっぱりあの話に乗らないか」


「警察への協力はしないよ、司だから協力しているんだし。前から言ってるけど組織ってやつが苦手なんだよ」「それはそうと今回の情報だ。その中に入れてあるから見たら廃棄しといてくれ



「そうか。気が変わったら連絡をくれ、情報ありがとう。またな」 


お礼を言って振り向くと青年はすでに居なかった。


「早速公邸へ行くか」




司がバイクへ向け歩き始めるとブツブツと何かをつぶやきながら歩く通行人とすれ違う。


「アノヤロー、必ず呪い殺してやる。フフッ 全身から流血したらいいな フフふ」 





…なんか通ったな(・・;)  まあ、気のせいってことにしておこう。 




バイクで疾走し、公邸付近の駐輪場にバイクを預ける。(もちろん法定速度を守っています)






公邸周辺に到着し、周囲を見回したが人の影すらない。


「静かすぎる」 



そこに一台の車が公邸前に止まり、中から見知った男が現れた。


「何であいつがここに」


「まさかあいつもSなのか」




データバンクで調べるとして、先に中にはいるか、




司が門に近づくと警備担当者が話しかけてきた。


「ここから先は関係者以外入れません」


「失礼ですが、身分証を提示してください」


「警察庁警備局危機対応本部緊急対応特命係に所属する八谷司だ」


懐から出した警察手帳を見せて名乗りながら、妖しい動きを見せる二人に不信を抱く。


「警備責任者に話がしたい」




「少しお待ち下さい、すぐに確認を取ります」 




少しして人影が近づいてくるのがわかる。




「まさか君が動くとは思わなかったよ。」


「噂はかねがね聞いているよ。」


「あんたこそ、内調の機能強化は進んでいるのか?」




「皮肉屋は相変わらずだな 


お前も相変わらずのようだな」。 


 


今回は互いに協力できないか?



「それは無理だな、こちらにも事情があるんでね」



「とりあえず中をみる事はできないか?」


「それくらいの便宜なら図れるが、中で何を見ても俺は責任もてんからな」 


「それこそ大きなお世話だ 俺はできることをやるだけだ」 


二人は言い争いながらも屋敷の中に入っていった・・・


そして・・・


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