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31 セリーナの初陣?

今週、精霊さんは忙しく、こちらに来られない。だから私なりにできることを考えた。


私は翠夢の森にある木の小屋を出て、森の中へ入った。精霊さんみたいに効率よくフェアリーイーターを狩れるとは思わないけれど、試しに一体だけ倒して、ガンド村のガインおじさんに剥ぎ取りを頼むつもりだ。


昨日、精霊さんと一緒にこの森を歩き回ったけれど、この森は本当に何もない。ただ今はミニマップもないから、小屋に戻れるように歩いた場所に目印を付けながら、ゆっくりとフェアリーイーターを探した。


森を一直線に歩いてから約半時間。周囲に何かの気配を感じる。……フェアリーイーター?


その気配の方向へ進むと――まさか、本当にいた。私はすぐ近くの木の後ろに身を隠す。フェアリーイーターは動かず、背中の花を高く掲げている。その花からはキラキラと光が漏れていて、魔力らしい。昨日も見た、妖精を誘うための擬態だ。


敵はまだ私に気づいていない。


初めての実戦。心配だけど、感覚的には素手でも倒せそうな気がする。……いや、流石に素手は無理。遠距離から魔法を撃とう。もし倒せなければ、精霊さんのように護身用のダガーで戦えばいい。昨日の精霊さんの動きを真似すれば、なんとかなるはず。


どの魔法を使うべき?植物っぽいから火が一番効きそう。でも森の中で火を使えば火事になる。水はない、土は無理、氷で凍らせても持ち運べない。風魔法で首を斬る?擬態中だから首の位置がわからない。闇魔法は……耐性がありそう。


ここは光の下位魔法〈シャインショット〉にしよう。使ったことはないけれど、説明では小さな光弾を撃ち出す魔法らしい。でも無垢晶を壊したら困る。だから狙いを一点に絞る。


私は木の後ろで集中し、擬態の隙間を狙う。


「〈シャインショット〉!」


指先から放たれた小さな光弾が一直線に飛び、狙い通りフェアリーイーターの擬態した横の部分を撃ち抜いた。


「当たった!」


フェアリーイーターは擬態を解除し、こちらに頭を向ける。どうやら前足を吹き飛ばしたらしい。まだ戦えるようだ。


でも、もう頭の位置はもうバレている!


「〈ウインドカッター〉!」


薄緑色の刃が横から首へと走る。


「通った!」


……と思った瞬間、フェアリーイーターは跳び上がり、刃は尻尾だけを切り落とした。


着地した敵がすぐ隣に迫る。私は反射的にロッドを振り下ろし、その頭を殴った。


「あ……。」


フェアリーイーターは絶命。


「う、うん……結果オーライ。」


幸い、血のような緑色の液体はローブにかかっていなかった。……いえ、それ以前に問題なのは、この死骸をどうやって持ち帰るかということ。緑色の体液で、この可愛い装備を汚したくない。


「やっぱり、精霊さんのメニューの力はすごく便利ですね。仕方ない、体の蔓みたいな部分を引っ張って小屋に戻るしかないわ。」


重そうに見えたが、蔓を引っ張ると意外と簡単に動かせた。昔の私なら、このモンスターの死骸の半分を動かすのも怪しかっただろう。やっぱり、精霊さんが言っていた通り、私は確実に強くなっている。


剥ぎ取りは鮮度が命。私は早足で蔓を引っ張りながら木の小屋に戻り、扉を通ってガンド村の自分の家へ運んだ。


絶対零度のロッドは派手すぎるので家に置き、護身用のナイフを持ち、ローブで装備を隠したまま死骸を連れて村の狩人ガインおじさんを訪ねた。


彼は昔、お父さんが狩ってきたウルフの解体を手伝ったことがある人だ。お父さんがいなくなってからは服の修繕を頼むくらいで、長く話すこともなかったが、先日の宴で「手伝うことがあればいつでも言ってくれ」と言ってくれた。


「ガインおじさん、いる?」

「いるよ……お、セリーナちゃんか。なんだい?うわ!なんだこのモンスターは!」

「えっと、森でフェアリーイーターに遭ったのです。剥ぎ取り方がわからなくて、そのまま連れ戻しました。」

「フェアリーイーターか……俺も大昔に一度だけ見たことがある。」


死骸を見たガインおじさんは、「確か……」とつぶやきながら、私には腹のように見える部分へナイフを入れた。すると、ぐちゃぐちゃの花びらが出てきた。


「これは……なんだ?」

「あ、これはこのモンスターが食べた妖精さんです。」

「お、おう……。」


おじさんは花びらを軽く拭いて私に渡した。さらに胃袋のような部分を剥ぎ取ると、半分結晶のような謎の器官が現れた。


(無垢晶?!でも少し小さい。精霊さんが見せてくれたものの半分くらいのサイズ……拳の半分ほど。でも、無垢晶は無垢晶。集めないと。)


「あの、おじさん。この結晶みたいなものが欲しいのです。」

「うん?!これか?セリーナちゃんはこれを知ってるのか?」

「え?いいえ、キラキラしていて、アクセサリーに使ったら綺麗だなぁと思って。」

「そっか。あとで綺麗に剥ぎ取ってやるから、待っててくれ。」


ここで、おじさんは少し大きな声で言った。


「他にいい部位はないが、蔓の部分は普通の紐より頑丈そうだ。貰っていいかい?」

「いいですよ。この花びらと結晶だけが欲しいです。」


おじさんはさらに背中の花を指差し、声を潜めて話した。


「昔聞いたことがあるんだが、こいつの背中の花には妖精の好物である魔力を含んだ蜜が取れるらしい。真偽はわからんが、もし本当にあるなら結晶と一緒に渡しておく。高値で売れるだろう。ただし、言いふらすなよ。」

「わ、わかりました。ありがとうございます。」


(おお……金の匂いがする!今の私でも数十万Gは持っているけど、金は多くても困らない。いつも精霊さんが稼ぐのも、なんだか気が引けるし。)


「そうだ、セリーナちゃん。このモンスターにまた遭ったら、今度はこの部分を横に斬ってみろ。多分一撃で倒せるし、死骸の状態も完璧に保存できる。」

「お~!なるほど……。」

「今の君なら簡単だろう。傷を見れば、強力な魔法で一撃だったとわかる。」

「あ、あははぁ……。」


剥ぎ取りには時間がかかるので、私はおじさんと別れて家へ戻った。


これからどうしましょう。一応、無垢晶は出てきましたが……小さい。使えるのかなぁ。まあ、金になるし、少しずつ狩ってみましょう。


私は再び翠夢の森へ戻り、フェアリーイーターを探し続けた。


数時間歩き回り、擬態中のフェアリーイーターを見つけた。今度はガインおじさんに教わった通り、背中の花と体を繋ぐ部分より下――その擬態中の花を丸ごと〈ウインドカッター〉で切断した。

変な液体も噴き出さず、フェアリーイーターは絶命。


(なるほど……おじさんの言った通り、このモンスターの弱点――脳?は花の下の部分なのね。)


毎回ガインおじさんに剥ぎ取りを頼むのは良くないし、頻繁に死骸を持ち込むのも怪しまれる。無垢晶の場所はわかってきたので、試しに自分で剥ぎ取りをしてみた。


胃袋のような部分を確認すると花びらがあり、無垢晶を取り出すことができた。さらに花を分解すると蜜壺を発見。卵のように意外と大きい。瓶がないので、そのまま蜜壺を回収した。さらに謎の器官を調べると、同じサイズの無垢晶が2〜3個追加で見つかった。


「よし!このまま狩るぞ!」


その日、丸一日狩った結果――フェアリーイーターは五体しか倒せなかったが、小さな無垢晶を七個入手。花びらは三つだけ。


夕方、ガンド村に戻り、ガインおじさんから最初の一体の死骸を剥ぎ取った素材をもらった。予想通り、体内から無垢晶が三個。これで今日の合計は十個になった。蜜も手に入れ、蔓は剥ぎ取り代としてすべておじさんに渡した。


その後、村でガラス瓶を買い、家に戻って集まった蜜壺の中の魔力蜜を瓶へ移し替え、保存した。精霊さんが戻ってきたら、この蜜について聞いてみよう。


精霊さんの力がないとローブは汚れる。白いからすぐに汚れが目立つ。このお嬢様装備は高そうで、擦るのは不味い。


そこで魔法で水を呼び、軽く洗い流す。水を魔法で移動させれば乾燥も不要。魔法は本当に便利。


夕飯前にお風呂に入りたい。着替えを持って木の小屋へ戻り、エルフのランタンを灯す。薄緑の光の中でお風呂に浸かる。


「うっはぁ~!気持ちいい~!……これで私も精霊さんの役に立てるのかなぁ……。いいえ、たとえ使えなくても、蜜と結晶は売れる!金になるし、明日も狩りましょう。」


その夜、綺麗な花びらを髪飾りにしようと思ったが……妖精の残滓なので、加工して装備にするのは良くない気がする。呪われそう。


結局そのまま放置し、狩った分は精霊さんに渡すことにした。


フェアリーイーターは夜に動き出すと昨日精霊さんから聞いた。だが、私一人で夜の森に入るのは危険すぎる。ミニマップもない状態では無謀。夜は大人しく家で魔法の練習をした。




こんなふうにフェアリーイーターを狩り続けて三日が経ち、金曜日の夜。


風呂上がりの今、私はテーブルの前に座り、ここ数日の戦績を数えていた。


昨日――木曜日。精霊さんの言った通り、バールヴィレッジから兵隊さんたちがガンド村にやって来た。元村長はすぐに連れ戻されたのだろう。残った兵隊さんたちは村人たちに事情聴取をしているようだ。


私は家の窓と扉をすべてロックし、不在を装って兵隊さんたちを避けていた。昨日も今日も、ずっと家と繋がったこの木の小屋で生活している。……まあ、実際に家にはほとんどいなかった。森でフェアリーイーターを探していたから。不在なのはホントなのです。



この数日間、私は翠夢の森で狩りを続けた。精霊さんが取った無垢晶より小さいが、合計で三十二個を集めることができた。使えるかどうかはさておき、フェアリーイーターは魔法の実戦相手としては最適だった。擬態している花を見つければ、ゆっくりと弱点を狙えるからだ。


色んな魔法を試した結果、私は風と水の中級魔法を習得したと脳内で認識した。習得方法は普通の人とは明らかに違うけれど……そこは気にしたら負けだと思う。


さらに寝る前の日課として、妖精の花びらに回復魔法をかけ続けていた。復活できないことはわかっている。それでも、花びらは淡い緑色に光るだけで何も変わらない。……ただ、試すだけでもいい。結果として、自然回復の魔法と中級回復魔法を習得できた。精霊さんもきっと驚くだろう。


「ふう……今日の日課も終わり。明日、精霊さんは来れるのかな?きっとびっくりするでしょう。ふふっ。」


そして、もうひとつの戦利品――魔力を含んだ蜜。知らないうちに、カップサイズのガラス瓶三つ分を集めていた。


「これ、食べられるのかはわからないけど……精霊さんに相談して、大きな街で売りましょう。きっと高値になるはず…多分。」


しかし、この蜜のせいで、こんなことになるとは――。当時、蜜を見てニヤけていた私は、まだ知らなかった。


「そろそろ、寝ようか。」



――ゴン! ゴンゴン!!


――ゴンゴンゴン! ゴンゴン!!



「な、なに?!」


乱暴な音を立てて、誰かが小屋の扉を叩いていた。

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