15 遅かれ早かれ
待てっと言ったエルドラーナさんは、カンド村の他の村人たちの借用書を見せてくれた。
「ねぇ、アリスさん。あなたが伯爵家の借金を肩代わりした理由はわかりませんが……まさかとは思うけど、この村の他の人たちの借金も、代わりに返済するつもり?」
「……。」
「はぁ……知ってると思うけど、一応伝えておくわね。この借用書たち、貸した側と借りた側の拇印が全部同じ。それに、中央の魔法刻印からはまったく魔力を感じない。――明らかに偽物よ。」
「大丈夫です、エルドラーナさん。依頼はカースティア伯爵家の分だけです。他の借用書は、依頼のついでに手に入れただけです。」
「……あら、そう。わざとあたしにこれを見せて、ギルドの手でカンド村の人々を救おうとしてる……ってわけじゃないのね?」
え?いやいや、そんなこと全く考えてないよ。
俺自身、この世界の文字は読めない。だから、信頼できそうなエルドラーナさんに、思いつきで借用書を見せて、上に書いてある金利の話を聞こうと思っただけだ。
でも今考えれば――たとえセリーナが金利のことを理解できなくても、俺がログインした時、彼女に読ませればよかったんじゃないか……バカだな、俺。
セリーナ:うそ……村長が他の村人を騙してたなんて……
セリーナ、問題はそこじゃない。エルドラーナさんは「他の借用書は偽物」と言った。でも、エドガー伯爵――いや、今は令息か。彼の借用書は偽物じゃなかった。あのサブクエストとは違って、まさか本当に借りていたのか?それとも、その一枚だけ拇印が別人のものだったのか?
俺が何も答えずに黙っていると、エルドラーナさんは勝手に話を続けた。
「わかりました。じゃあ、我がギルドでも“勝手に”カンド村の村長のことを調べておきますね。……これでいい?」
「なんのことでしょうか?」
「そう、ではこの話はここで終わり。あなたは何も見せていない、あたしも何も見ていなかった。例の精霊石の代金、持ってくるからちょっと待っててくれる?」
「わかりました。ありがとうございます。」
俺は借用書をすべて回収し、少し待ったあと――エルドラーナさんはすぐに50万Gを用意して、例の精霊石を買い取った。
コアは領主への報告用として、そのままギルドに預けることになった。別にレアものでもないし、構わない。
応接室を出る直前――
「おお~~!変色の精霊石!これは誰にも渡しません~~!」
エルドラーナさんのご満悦な声が聞こえた。俺はそっと、応接室の扉を閉じた。
冒険者ギルドを出て、チャット欄を確認すると――見事に燃え上がっていた。
「セリーナ、詳しい話は宿屋で話しますね。」
もうすぐ昼時だ。
人通りのない裏道で一瞬セリーナの姿に戻り、昼ご飯は何にしようかと考えながら宿屋へ向かう。
部屋に戻り、カバンを下ろして一息ついたあと、セリーナに話しかける。
「では、セリーナ、ちょっと話そうか?」
チャット欄から返事はない。もう一度呼びかける。
「セリーナ、聞こえますか?」
セリーナ:え?!は、はい!
「大丈夫?」
セリーナ:いいえ……エルドラーナさんの言い方からすると、
セリーナ:もしかして……お父さん、まだ生きてるのかなって。
セリーナ:カー……なんとか伯爵って言われたから、もしかして……お父さんって貴族様なの?
セリーナ:精霊さんは、このこと知ってたの?
うん、もう隠せない。
もともと借金の件が片付いたら、彼女を父親の元へ連れて行くつもりだった。ギルド長にも村長の裏事情が知られてしまったし、村長の件は後でこの国の法で裁かれる……はずだ。
ただ、借金が詐欺だったことは今は言わない方がいい。彼女のお母さんは、その借金が原因で間接的に亡くなった。今それを知っても、虚しさしか残らない。それに、今ではその借金が本当に詐欺だったのかどうかも、はっきりしなくなってきた。
「ごめんなさい、セリーナ。お父さんがまだ生きていることは、知ってました。借金の件が片付いてから話すつもりだったんです。」
セリーナ:いえいえ!お父さんが生きてるって知れただけでも、すごく嬉しいです。
セリーナ:でも……どうして家に帰ってこないの?
「そうですね……実は、あなたのお父さま――エドガーさんは、カースティア伯爵家の三男なのです。
昔、あなたのお母さまと駆け落ちされたのですが……その後、彼が姿を消したのは、実家の方々に連れ戻されたからだと、ワタシは思っています。会いたくても、今は……そう、会えない状況なのです。」
セリーナ:そう……ですか。
「貴族の世界って、いろいろ大変だからね。」
セリーナ:貴族の世界はよくわからないけど……借金のことを片付けたら、お父さんに会いに行こう!
「ええ、もともとそのつもりだったよ。金利のことも確認できたし、手持ちの70万Gで残りの借金は全部返済できる。でも念のため、もう少し稼いでおこうと思ってます。」
セリーナ:あっ、そうだ!あの精霊石が50万Gで売れたんだよね。
セリーナ:昨日の分も合わせると、もう70万G……2日でこんな大金なんて、
セリーナ:未だに信じられない。返済が終わったら、お父さんに会えるんだ!
メッセージ越しで、彼女は嬉しそうに笑っていたと思う。当然だけど、亡くなったと思っていた父親が実は生きていたのだから。
「さてと、お昼は唐揚げにしてもいい?」
セリーナ:えっと……唐揚げですね。もちろんいいですよ!あのサラダもお願いできますか?
「いいですよ。でも今回は、先にサラダを完食してから唐揚げを食べてください。」
セリーナ:うん?……わかりました。
「実はですね、ワタシが作った料理には、ちょっとした特別な効果があるのです。サラダは、食べてから1時間のあいだ、受けるダメージが10%減少します。そして唐揚げは、2時間のあいだ、経験値の獲得速度が上がる――つまり、早く強くなれるということですね。」
セリーナ:え?!料理でそんな効果があるの?
「たぶん、このメニューで作った料理にしか効果はないと思う。だから、先にサラダを食べて、後で唐揚げ。順番を守れば、唐揚げの効果がちゃんと適用されるよ。」
セリーナ:わかりました!
俺は簡易料理台を出し、料理メニューからサラダと唐揚げを選んで製作を始める。
調理の待ち時間――その間に、メニューの図鑑を開いて、クリスタルゴーレムのボス武器〈SR 絶対零度のロッド〉に必要な素材を確認した。
【SR 絶対零度のロッド】
必要素材:
• クリスタルゴーレムのコア ×2
• クリスタルダスト ×20
• ゴーレムの破片 ×10
• フロストリリー ×30
武器効果:
• アブソリュートゼロビーム使用可能
• 凍結の発生率10%アップ
• 氷属性魔法のダメージ10%アップ
フロストリリーは氷属性の百合で、森の遺跡ダンジョン内で採取可能。残りの素材も、ディリーボスを周回すればすぐに集まる。
昨晩、攻略サイトでこの武器の性能を確認したが――固有技「アブソリュートゼロビーム」は、あのゴーレムのゲロビームそのもの、ロマン砲だ。威力は高いが、発動までに4秒かかるため、実戦では使いづらいと評価されていた。
でも、セリーナは魔法メインで戦いたいと言っていた。このロッドは、素材さえ揃えばすぐに作れるSR武器。作って損はない。
俺の一番の目的は、彼女の幸せだから。できる限り、彼女を満足させたい。
セリーナ:精霊さん!ホントにこの杖、作れるの?!
俺がロッドのレシピを見ているから、当然セリーナもその画像やデータを見ている。
「ええ。セリーナは魔法を使いたいんでしょう?このロッドは素材さえ揃えばすぐに作れるよ。」
セリーナ:あ、ありがとうございます……高そう。
セリーナ:そういえば、まさか急に領主様と面会することになるなんて。
「そうですね。ホントに予想外でした。ごめんなさい、領主様に会うのはセリーナに任せたい。その時は、気をつけてね。」
セリーナ:あ!そうだった!平日には精霊さんがいないんだ!
「この街の領主様がどんな人かはわからないけど、貴族様だからね。言葉には気をつけないといけないよ。」
セリーナ:そ、そうですね。
セリーナ:でも、ギルド長のエルドラーナさんも一緒に行くから……多分、大丈夫。
セリーナ:ミニマップでも、エルドラーナさんの点は白いままだし。
セリーナ:赤くなってないってことは、悪い人じゃないと思うわ。
「ワタシもそう思う。でも、面会中はセリーナひとりになる。ミニマップは見られない。何かあったら、すぐに逃げてね。」
セリーナ:う、うん。わかった。
料理の制作が完了した。
俺は唐揚げとサラダをテーブルに並べ、そっとセリーナに体を返した。
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精霊さんが帰ったあと、宿屋の部屋で私は自分の体を動かせるようになった。
そして、気づけば自然と微笑んでいた。まさか……お父さんが生きているなんて。
本当に、嬉しい。
どうして精霊さんがうちの借用書を持っていたのかは、正直よくわからない。でも、精霊さんだから――持っていても不思議じゃないかも。……うん、このことはもう考えないことにしよう。
鼻歌を口ずさみながら、精霊さんの言った通りにサラダを先に全部食べ終え、唐揚げに手を伸ばす。
この料理、本当に“早く強くなる”効果があるのかな?まだちょっと信じられない。
でも、精霊さんはいつも何もないところから色んなものを作り出すし、転送までできる。だったら、料理にそんな効果があっても……おかしくないかも。多分。
ほら、食べ終わったお皿も、いつの間にか消えてるし。……やっぱり不思議な人だな、精霊さん。
午後の予定は、ナイジェリアの森の遺跡に入ること。
正直、少し怖い。
でも、精霊さんは「大丈夫」って言ってくれた。それに、何かあっても転送で逃げられる。私は私で、身を守るために――少しでも精霊さんの戦い方を学ばないと。
お昼ご飯を食べ終わり、精霊さんはまだ戻ってこない。
だから私は、引き続き初級の水の魔導書を読むことにした。
内容はなんとなく理解できたけど……この本に書かれている魔法の使い方には、少し違和感がある。エルドラーナさんたちは、この本の書かれた通り、呪文を唱えて技名を口にしたあとに魔法を発動する。でも、精霊さんと私は――ただ“思うだけ”で魔法が使える。
やっぱり、魔法の使い方は精霊さんに直接教わるべきだと思う。水の魔導書を読み終え、私は次に風の魔導書を手に取った。
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俺はヘッドギアを外し、ベッドから体を起こす。
朝のうちに準備しておいた昼ご飯をレジンに入れて温める。
「領主が……。」
バールヴィレッジの領主って、ゲームのメインストーリーに登場したっけ?
ちょっと調べてみよう。
……残念ながら、メインストーリーには領主の出番はなかった。代わりに、エルドラーナさんの出番はあった。
普段は気まぐれにギルドで道具屋をやっている彼女。最近、バールヴィレッジ近くに盗賊団が現れたことに悩んでいて、偶然通りかかったプレイヤーに愚痴をこぼすイベントがあった。
話し合いの末、プレイヤーが王都から来た有名冒険者だと知った彼女は、協力を依頼。一緒にブロッサム草原に潜む盗賊団を討伐した。
その後の展開は定番。盗賊団のアジトで、彼らが悪の組織と関わっていたことが判明し、さらに謎が深まる――という流れだった。
だから、エルドラーナさんだけ妙に美人で、衣装もエッッな感じなんだ。仲間にできるメインキャラだからね。設定資料にも「正義感を持つ魔法使い」と書かれていたし、信用できそうだ。領主との面会も、彼女と一緒なら心強い。
っていうか、彼女がまだこの街にいるってことは――やっぱり、このゲームのメインストーリーはまだ始まってないんだろうな。
それと……セリーナは魔法で戦うつもりらしい。魔導士っぽいローブを作るか?うん、どうせなら可愛くて綺麗な装備がいいよね。
普通の装備じゃ性能も微妙だし、見た目もイマイチ。うちのセリーナには似合わない。
チーーン。
温め終わった昼ご飯をレジンから取り出しながら、俺は攻略サイトで魔法使い向けのおすすめ装備を探し始めた。
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午後の一時。
俺は再びセレアグの世界にログインした。
「ただいま、セリーナ。」
セリーナ:おかえりなさい、精霊さん。
「勉強中?」
セリーナ:あ、はい。でも、この魔導書に書かれてることって、
セリーナ:私たちが使ってる魔法とちょっと違うみたいで……
セリーナ:あんまり役に立たないかもです。
「そうですか。それはあくまで“属性の効果を高める”ための初級魔導書だからね。あとでエルドラーナさんのところで、他の魔導書を作るための素材を買って、作ってみますか?」
セリーナ:え?だ、大丈夫!作らなくても平気です!素材、高いですし!
「わかりました。……そうですね、エルドラーナさんは一応、信用できる人です。だから、ワタシがいない時は、彼女に頼ってもいいですよ。」
セリーナ:え?なぜ急にそんなこと知ってるんですか?
「さっき、ちょっと調べました。悪いことをしない限り、彼女は味方になってくれる人です。それに、アリスとして面識もあるから、多分助けてくれると思います。」
セリーナ:ほんとに……?でも、もしまたヤークさんみたいな人が、
セリーナ:昨晩みたいに私の家の周りに来たら……
「セリーナ、人は一人では生きていけません。誰かと支え合って生きていくものなのです。確かに、あの奴隷商人のような悪い人もいます。でも、良い人も必ずいます。それを見極めて、信じられる人と繋がること――それも、生きていく上で大切なことです。大丈夫。あなたには、ワタシがついています。それに、あなたも……なんとなく、エルドラーナさんのことは信頼できると感じているでしょう?」
セリーナ:……そう、ですよね。精霊石をもらったときの反応を見て、
セリーナ:彼女は害がないって、なんとなく思えた。
セリーナ:もし、ホントに何が遭ったとしても、
セリーナ:精霊さんがいれば、どこにいてもすぐに転送してくれるし。
「その通り。ワタシは毎晩来るつもりです。だから、もし何か伝えたいことがあれば、ワタシが来るまで待っていれば、平日でも会えますよ。」
セリーナ:うん……ありがとう。
「時間が惜しい。準備をして、ダンジョンに行きましょう。」
セリーナ:わかった。
ダンジョンの中で家具が出せるかは不明なので、先に準備しておくことにした。俺はストレージから浴槽を取り出し、ボディソープを瓶にたっぷり詰めてから、浴槽を回収する。
セリーナ:精霊さん、それは……?
「これは、ダンジョンボスに備えた秘密兵器なのです。ちょっと、試してみたいことがありまして。」
その後、調合メニューで回復ポーション、魔力ポーション、解毒薬を用意し、宿屋を出て、人がない場所で森の中心部の転送ポイントへ転送した。
森の中心部は相変わらず誰もいない。マイセットで星月ドレスセットに切り替える。
昨晩の戦闘でボロボロになった広場は、まるで何事もなかったかのように元通りになっていた。遺跡前の広場には、クリスタルゴーレムが昨晩は何もなかったのように鎮座している。まるで時間が巻き戻ったような光景だ。
セリーナ:せ、精霊さん……まさか、クリスタルゴーレムって……この石像じゃないですよね?
ああ、他のゲームで見慣れてる俺には平気だけど、高さ数メートルのゴーレムは、普通の人なら怖がるよな。
「魔法が使えれば、簡単に倒せるよ。セリーナは杖が欲しいんでしょう?だから、毎日一回このゴーレムを倒して、素材を集めれば作れるはず。昨晩も無傷で倒したし、大丈夫。」
セリーナ:……は、はは……
「今回は短剣じゃなく、魔法メインで戦う。魔法の使い方と、魔法使いの立ち位置を教えるから、しっかり覚えてね。」
セリーナ:わ、わかりました!
広場に入ると、ゴーレムの目が光り、起動した。
もし俺の予想が当たっていれば、こいつは思ったより簡単に倒せるはず。俺は前と同じく〈R 火の魔導書〉を装備し、ゴーレムの攻撃を誘発。後ろの弱点ではなく、頭を狙ってファイヤーボールを連続で撃ち込む。
セリーナに魔法使いの立ち位置を説明しながら、弾幕ゲームのように移動しつつ、胴体の真ん中にいる顔に集中攻撃を加える。
……硬い、昨晩は星月ドレスのセットスキルでステータスが1.2倍になっていたし、完凸精霊石も装備していた。さらに、弱点属性で後ろの弱点を攻撃していたから、あいつが“柔らかく”感じたんだろう。まさか、弱点以外がここまで硬いとは――予想外だった。
撃ち続けても、HPバーがひとつも削れない。やっぱり後ろの弱点を狙わないとダメか?そろそろ魔力ポーションを飲むタイミングだな――
その時、ゴーレムの胴体にいる、透明なクリスタルの顔が赤く光った。すぐに水の魔導書に装備を切り替え、その部分を冷却する。
〈ウォーターエッジ〉が高温状態のゴーレムの頭に命中した瞬間、蒸気が爆ぜ、甲高い音とともに――クリスタルゴーレムの頭に、亀裂が走った。
バキーーーーン
クリスタルゴーレムの顔は裂け目が出て、3つのHPバーは一気に2つを消える。今、ゴーレムのHPは残る少しだけ。
やっぱりだ、攻撃モーションはゲーム仕様なのに、妙にリアル寄り、他の方法でボスを倒せるんだ。
すなわち例え俺がレベル99に上がったとしてでも、弱い敵に頭を切り落とされると、死にます。セリーナのまま死ぬと…俺も死ぬか?急に心臓が冷っと来た。今後の素材集めは更に用心深いをしないとだめだね。
魔力ポーションを飲み、ゴーレムが大技のゲロビームを使う時背中に回り込み、弱点にファイヤーボールでダイレクトアタックしたら、、ゴーレムは倒れて、消え去った。このボス戦は終わった。
【名前:セリーナ】
レベル 38→39
‐魔法レベル13→15
【勝利報酬】
・ルーンストーン ×1
・クリスタルダスト ×7
・ゴーレムの破片 ×4
【頭部破壊報酬】
・クリスタルゴーレムのコア ×1
戦闘は3分も無かった。今度は弱点に熱膨張と冷収縮すると、即死できると思う。
頭部破壊報酬でコアゲット……でも弱点でコアよね、コアが欲しいければ弱点を破壊しないほうがいい?それともゲームと同様で確率か?明日試ししよう。
「って、こんな感じで、基本魔道士は発動が速い初級魔法で敵を牽制して、隙があれば中級魔法で攻撃する。中級魔法はまだ習得していないが。初級があれば、なんとかなります。中級や上級は発動前に隙があるので、パーティーの場合、前衛が守られてる間で溜めるのです。セリーナ、大丈夫?わかりますか?」
セリーナ:はい!先ほどのように初級を連発で良いですよね。
「いやちが……そうですね、ゴーレムみたいな堅い相手には熱膨張と冷収縮は有効、だからさっきの戦いはファイヤーボールを連発は必要ですが、普通のゴブリンやウルフみたいなモンスターでは、今のセリーナでは多分1~2発で倒せるよ。」
セリーナ:ねつぼうちょうとしゅうしゅく?
「うん…………ダンジョンを周回しなから、ゆっくり説明しますね。」
初心者には罪はない、初心者には罪はな…セリーナは初心者中の初心者だ。解説…頑張ろう。
クリスタルゴーレムを倒して、俺は〈ナイジェリアの遺跡〉の中に入った。




