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1 新しいゲームの始まり

「はぁ~もうそろそろサービス終了か…」



フルダイブVRMMORPGが流行ってすでに何十年の現代。VRヘッドギア型のデバイスだけでゲームの世界にフルダイブできるのは、もはや当たり前の時代になった。


あ、俺?俺はただの冴えないサラリーマン、高橋悠希、32歳。


隠れオタクで、当然独身。自慢だけど、彼女いない歴=年齢だ!普通にマンションを借りて、ひとり暮らししてる。ガチのオタってほどじゃないけど、アニメ見て、ゲームして、漫画も楽しむ、極めて普~通~な人間だ。


俺のことはさておき、今日は学生時代から長く遊んでたフルダイブVRMMORPG〈ドラゴンの遺産〉のサービス終了日だ。今、俺はクラン屋敷の中で、仲間たちと並んで座っている。愛用してきた装備や、集めたコレクションを眺めながら――このゲームの、最後の瞬間を静かに見届けている。


「「11:59分…残り3…2…1…ゼロ。」」


視界が黒くなった。そして、お知らせが表示された。



ドラゴンの遺産はXXXX年08月31日0時00分をもちまして

すべてのサービスを終了いたしました。

皆様のご支援、ご愛顧

誠にありがとうございました。



俺はゲームを終了し、VRヘッドギアを外してベッドの横に置いた。


ゲームの世界に入った?そんな小説みたいな展開、ちょっとは期待してたけど…あのゲーム、長年やってたからね。微課金戦士だけど、装備とアイテムは結構揃ってる。愛用の装備を持ったままゲームの世界に転生できたら、きっと楽しいだろうな。


まぁ~できるわけないよね。


大好きなゲームがサービス終了するのは仕方ない。スマホを手に取って、ゲーム仲間たちのメッセージに返信して、ちょっとスクショを整理したら、ささっと寝よう。




翌日、俺は普通に出勤。何も変わり映えのない一日が終わった。


駅で電車を待ってる間、スマホにメッセージが届いた。


──おい~飛べる豆腐!

──なんだ?午後のタピオカくん。

──一緒にセレアグやらない?

──セレアグって、あのセレスティアル・アグリーメント?

──そうそう、今買うと半額だし、オレは今日帰宅後始めるつもり。お前も来いよ。

──へぇ~他のヤツは?

──あいつらは前々からやってる。まだやってないのはオレたちだけ。

──わかった、俺もやる。

──おk、また一緒に遊ぼうぜ。


スマホをしまって、目の前の広告がすぐに目に入った。


そこには、アニメ調の二次元美少女やイケメンたちがパーティードレスやスーツを着て、ワインを手にこちらに乾杯しているイラストが描かれていた。


その広告はこう語った。


~~~~~~~~~~~~~~~~


ファンタジーの世界の主人公は君だ!

冒険者として、仲間を育成し、共に自由気ままに冒険できる!

七竜伝説に隠された秘密を見つけ出せ!


最高峰フルダイブVRMMORPG

セレスティアル・アグリーメント、二周年になりました~!

二周年記念で、全ユーザーに二周年限定装備を無料配布中!


~~~~~~~~~~~~~~~~


セレスティアル・アグリーメント。


このゲームは遊んでいないけど、あまりにも人気だから、やってなくてもある程度は知ってる。


アニメ調のアバターが自由に作れるし、ゲームの自由度も高い。装備や家づくりはもちろん、ゲーム内のメインキャラは自分好みで育成できる、それと爽快感のある戦闘。最近のアプデでは、自分好みに魔法をカスタムしたり、オリジナル魔法を作れるらしい。確か、昨年はたくさんの賞も受賞してたよな。


あ、電車が来た。


電車に乗った俺は、暇つぶしにスマホであのゲームの公式サイトを見ていた。ゲームシステムを見てみると、やることも多くて面白そう。周年記念だから貰えるものも多いし、他のゲーム仲間もすでに始めてるし――やるしかない。



-------------------------------------------------



電車はうちの駅に到着。夕日に背を向けて帰路につく。


帰宅の途中、遠くから女性の声が聞こえた。


『…めを………おね……』


(うん?あの路地裏の神社か?)


いつも通り、神社を通りすがり………いや、俺は自宅に向かう足を止めた。


(ちょっと健康のために祈りますか……ついでに他のゲームのガチャ運も上がりますように…)


引き返して、その小さな神社に向かった。


細い路地の先に、緑豊かな小さな神社がある。この辺に数年住んでるのに、俺もここに入るのは初めてだ。失礼かもしれないが、実際どんな神様が祀られているのかもよくわからない。


鳥居をくぐり、神社特有の静けさを感じる。数メートル歩いて祠の前に到着。


先ほど声が聞こえた女性はまだ祈っている。えっと…合掌ではなく、海外の祈り方で、両手を胸の前で組む姿勢?そんな感じ。


俺は静かに彼女の隣に行き、5円玉を賽銭箱に入れ、自分の家族の健康とガチャ運を祈った。最後にもう一度深いお辞儀。


「変わったお祈り方ですね。」


(?!)


びくっとした!隣の女性が俺に話しかけてきた。


落ち着いて彼女の方を見ると……。


彼女の身長は俺より少し低いが、見た目は30代前後の苦労人っぽい感じ。ミントグリーンのボサボサな長い髪を束ねて結び、肩の前に垂らしている。その髪型は、2次元では死亡フラ…コホン、ルーズサイドテールってやつだ。


服装はすごく古風で、時代を感じるような服。顔は少し痩せているが、()()()()()()――そう、完全に家の中にいるときのシンデレラって感じ。


すごくきれいな人だ…あれ?この俺が3次元の女性を美しいと…おっと、彼女に返事しないと。


「こんにちは。日本ではこの祈り方は普通…と思いますが、作法の順番は間違ってないと思います。」

「こんにちは。ごめんなさい、急に話しかけてしまって。」

「いいえいいえ、大丈夫です。」

「わたしもここに来るのは初めてで、ここは神様がいる場所ってことしか知りません。もしよければ、その祈り方を教えていただけますか?」


やっぱり海外の方か、日本語お上手。海外の方なら参拝の作法を知らないのも仕方ないよね。


「いいですよ。まずは…」


俺は普通に参拝の仕方を彼女に教えた。


「お金が必要…ですか?」

「あ~失礼ですが、何をお祈りしたいんですか?」

「はい、娘の健康と幸せです。」


俺は財布を見て、中に入っていた100円玉ひとつを彼女に渡した。


「これを使ってください。」

「いいえ、そんな!銀貨だなんて、こんな大金は受け取れません!」

「大した金額じゃないですよ。その願いには、それ以上の価値があるでしょう。」

「……あ、ありがとうございます。」


彼女は100円玉を両手で受け取った。


「先ほど説明した参拝の仕方、覚えていますか?」

「はい、覚えています。」


不安そうな彼女を見て、俺は腕時計を確認し、こう言った。


「大丈夫、自分も一緒に祈りますから。」

「ありがとうございます。」


そのお母さんと一緒に参拝した。


「娘の健康と幸せを願いますように…。」


両手を下ろし、最後にもう一度深いお辞儀をした。お母さんはこっちを向いて、俺にお礼を言った。


「本当にありがとうございます。」

「いいえいいえ、では自分はお先に失礼します。」

「はい、わたしはもう少しここにいます。」

「そう、では…。」


彼女に一礼し、神社を離れて帰路に戻った。


うん…俺もあとで両親にメッセージを送ろう。


もう夕日は沈み、俺は普通にコンビニで弁当を買って、住んでいるマンションに戻った。



-----------------------------------------------



「ただいま~!」


帰宅したあと、真っ先にパソコンをつけて、セレスティアル・アグリーメント……セレアグを購入してインストールする。


その後はお風呂に入って、アニメを見ながら買ってきた弁当を食べる。


夜の9時、水を飲んで軽く準備運動をする。


「ヨシ!準備完了。新しいゲームをやろう!」


VRヘッドギアを装着して、ベッドに横になる。インストールしたセレアグを選んで、ゲームスタート。



-----------------------------------------------



目を開けると、暗闇の中で見えたのは、見たことのない、ちょっとボロい感じの天井。


ベッドから半身を起こすと、なんだか視線が少し低い。


(あれ?もう始まった?ゲームスタートのあとって、普通はサーバー選びとかキャラ名入力、キャラクリがあるんじゃなかったっけ?)


硬いベッドから立ち上がると、真っ先に感じたのは強烈な空腹感。


(すげぇ~リアルな空腹感。最新のフルダイブゲームって、もうここまでリアルに作れるのか?)


周囲を見渡すと、時間は夜。ここは木板で作られた民家で、1DKくらいありそう。


明かりをつけたいけど、ランプを見つけても「オン」の表示が出ていない。どうやらこのランプはただの背景らしい。


木製の窓を少し開けると、月の光が家の中に差し込んできた。


窓から外を見ると、ここは明らかに“始まりの村”って感じ。この家は村の外れにあるらしい。空には、大きいのと小さいの、2つの満月が昇っている。


とりあえず……最初の感想は……めっちゃリアル!グラフィックに力入れすぎ!!五感まで再現できるなんて予想外だ。


まぁ~〈ドラゴンの遺産〉はもう十年以上運営してたゲームだからな。こんな最新技術で作られたゲームと比べたら、サ終も仕方ないか。


でもキャラクリもチュートリアルもなし?これって仕様?あ!もしかして、チュートリアルはストーリーの序章で、何か世界に大きな影響を与えた事件を追体験してから始まるタイプ?


ありえるな、これ。


とりあえず、試しにメニューを開いてみよう。他のゲームと同じように、メニューを開くと念じると、半透明なメニューが目の前に現れた。


えっと、まずは2周年ログインボーナスや、新参冒険者のボーナスなどなど、自動的にいろいろもらえた。


モブキャラだけどステータスページは見られるのか?ステータスページを押すと、普通に表示された。


そこで、俺は今の自分のキャラの全身像が見えてきた。現れたのは、アニメ調で多分15~17歳くらいの、可愛らしい女の子。


身長は…女性の平均くらいで、多分155センチくらいか?腰まで伸びたミントグリーンの髪は雑にまとめられている。


初期装備の、ちょっと古めの村人っぽいスカートを着ていて、定番の村人スタイルって感じだな。


「フムフム…名前はセリーナね。モブの村人なのに、けっこうかわいい。お!声もかわいいね。……あれ?その顔、どこかで…」


ステータス画面のこのキャラを見て、なんだか見たことがあるような気がした、その時……。


「あ~もう、我慢できない!!腹減った!!空腹値があるゲームって、あんまり好きじゃないんだよな。

確か二周年のプレゼントには料理系のアイテムがあったようなぁ…。」


すぐにストレージを確認する。


「あるある!たくさんあるね。」


二周年のケーキや、バフ効果のある料理がたっぷりもらえていた。


どうせあとでメインストーリーを進めるから、一定時間経験値1.5倍の焼き鶏丼を食べよう。新参冒険者のEXPアップボーナスと重ねれば、レベルもさらに早く上げられる。


テーブルの前に座り、ストレージから焼き鶏丼を選ぶと、料理が目の前に現れた。部屋の中でスプーンを探して、それを使って食べる。


「おお~焼き鶏丼の味もめっちゃリアル!美味しい!あ~待て…この子は俺のアバターじゃない。バフ料理を使う意味…ま、いいか。この料理が食べられるってことは、EXPも俺のキャラに継承されると思うし。」


「いただきます~!」


さすが最新のゲーム。感覚の再現度がリアルと区別できないくらい高い。食感、嗅覚、味覚まで完璧。まさに本当にご飯を食べているような気がする。すごい!


腹がすごく減っていたので、あっという間に焼き鶏丼を食べ終えた。最後の一粒の米まで食べ終えた瞬間、手に持っていたお碗は消えた。


お腹がいっぱいになったあと、メニューをいじって、今やるべきことを確認する。


ワールドマップを開いて、イベント発生の場所をチェック。しかし、マップはほぼ真っ黒。見えているのは今いる村──カンド村周辺だけ。


この家には転送ポイント〈セリーナの家〉と表示されている。やっぱり未発見エリアは黒塗り。マップをさらに拡大すると、北東方向のかなり離れた場所に、黄色い「!」マークがついている。


そこを押すと、『ノルンの神殿で祈る』という文字が表示された。


「ちょ…次のイベント、遠すぎない?バグ…じゃないよね。こんなバグがあったら、最初から炎上してニュースになるだろ。」


ま、まぁ~このゲームは重厚なシナリオがあるって聞いたことあるし、序章もこれくらい大事ってことだよね。


このまま初期装備のまま移動するのもアレだし、確か無料でもらえる二周年限定装備があったよな。


メニューから二周年イベントのページを確認して、配布装備のページに入る。


トップイラストには、金髪の女騎士が紫のドレスを着て、対のダガーを持っている。あの女騎士は確かこのゲームの看板キャラの一人……名前は覚えてないけど。その女騎士は深い紫色のドレスに身を包み、裾が軽やかに揺れるたびに星屑が舞っているように描かれている。


胸元には繊細な金と銀の刺繍で描かれた星々がちりばめられていて、まるで夜空の一部を身に纏っているかのよう。ウエストラインには細い三日月のメタリックな装飾が施されていて、彼女のシルエットをさらに引き立てている。


イベントのページの紹介動画を見て、ドレスが舞い上がるたびに、幻想的な雰囲気が溢れ出す。ハイローヘムデザインで、スカートの前が短く後ろが長いため、ポーズに優雅さが加わり、さらに彼女はそのダガーを持って、光の軌跡を描くようにしている。


彼女の隣には、ゲームを遊んでいなくても知ってるレベルの人気イケメン騎士団長がいて、白いパーティースーツを着て、同じ対のダガーを持ち、別のポーズを取っている。


「おお~!綺麗なドレスじゃないか!カッコイイ!」


受け取りボタンを押して、ドレスの方を選んだ。


さすが二周年限定装備。綺麗でカッコいい。新参者にはありがたい。


え?なんで迷わずドレスの方を選ぶのかって?当たり前だろ!!遊ぶなら当然女性キャラ。服も男性より多いし、綺麗だし、かわいいし。フルタイプじゃないゲームでも同じ。俺は男だから、野郎の尻を見ながら冒険するのはまったく嬉しくない。


ストレージにある限定衣装〈星月のドレス(上下)〉を確認した。



UR 星月のドレス(上下)


セット効果【月と星の祝福】

夜間すべてのステータス1.2倍(1/4)

夜間の移動速度+15%

スキルクリティカル率+10%

スキルクリティカルダメージ+10%



やっぱ、UR装備のステータスは強い。


指でドレスのアイコンを押して、今着ている〈村人の服(女性 上下)〉の欄に置く。すると、今俺が着ていた古い村人の服は一瞬で、あの紫の星月のドレスに変わった。


「きゃっ!」


思わず甲高い声が漏れた。いや、だって、仕方ないだろ! このドレスの滑らかな手触り、肌にまとわりつく感触が、まるで本物みたいなんだから。まるで誰かに着替えさせられたような、妙にリアルな感覚にドキッとした。


まぁ、いつもゲームでは女キャラを選ぶんだけど。前のゲームは感覚なんて再現されてなかったから、ただの「見た目の変更」って感じだった。


女装? リアルじゃ絶対ありえない、俺にそんな趣味はない。 でも、このゲームは違う。リアルすぎるんだよ、感覚が。ドレスの胸元が大胆に開いてて、なんだか視線が気まずい。スカートの隙間からスースーする風を感じるたび、顔が熱くなる。なんなんだ、このゲーム。


落ち着け、これはゲームだ。ただのゲーム……。深呼吸して、立ち上がって、試しにくるっと回ってみる。うわ、なんだこの動き! ドレスの裾がふわりと広がり、髪がサラッと揺れる。物理演算が完璧すぎるだろ! かわいいアニメ調プラス、この滑らかな動き、すげえ……カンベキ!


このゲーム、アニメ調なのにやたらリアルだ。序盤のキャラ、セリーナの胸は、いかにも日本2次元な「軽~中装甲未満級」のボリューム。動くたびに、物理演算がバッチリ働いて、ゆさゆさ揺れる。


うわ、ちょっと待て、この感覚! 試しに……いやいや、リアルでも揉んたことないが、 でも、触れた瞬間、柔らかさがリアルすぎて、思わずドキッとした。いや、ダメだろ、これ、なんでこんなエッな感覚まで再現されてんだよ! なんか、だんだんヤバい気分になってきた……。


いや、待てよ。感覚をリアルに再現できるって言っても、こんなとこまで再現する必要あるか?!


混乱したままベッドにドサッと座り、装備画面を開く。隣のタブに「インナー装備」って項目が……え、ちょっと待て、こんなのあったっけ? 恐る恐る開いてみると――


「ちょっ!?」


思わず声が裏返った。な、なんだこれ! モザイクなしでいいのかよ、このゲーム! 画面にはセリーナの姿が映ってるけど、〈村人のインナー(下)〉は履いてるのに、上は何もなし! 胸の……その、リアルすぎる豆も丸見えだ!


待て、待て待て! このゲーム、18禁なのか!? いや、まさか、そんなわけないだろ! でも……試しに、普通じゃ解除できない「下の装備」を外してみると――


「うわっ!?」


なんだこの感覚! まるで本当にパンツを脱がされたみたいに、スースーする! 実質、俺、いまノーパン状態だ! こんなオンラインゲーム、紳士向けのゲーム以外で初めて見たぞ! 装備画面には、ピュアな心の持ち主の俺には絶対に見ちゃいけない光景がバッチリ映ってる。


いや、ちょっと待て。紳士的な好奇心で、この「神秘」をじっくり探究したい気持ちは山々だけど……いやいや、ダメだ! これ以上深入りしたら、俺の理性が絶対ヤバいことになる! よし、直接確認するのはやめよう。ピュアな心を守ろう。


ノーパンのままじゃ落ち着かない。 慌てて装備画面に戻り、星月のドレスの残りのパーツを急いで装備する。


頭:星のヘッドピース

手:月光のオペラグローブ(パールホワイト)

足:宵闇のシューズ

インナー:月のガーターストッキング(黒・下)


よし、これで完璧! 装備画面の「月と星の祝福」ってセット効果が、灰色から白文字に変わってる! 効果発動、 夜間のスキルが1.2倍になるらしい。


「はぁ~、月のガーターストッキング、めっちゃリアルだな……。村人のキャラがこんなエロい下着着てていいのかよ?」


装備画面でガーターストッキングをセットしたら、なんかヤバいくらいリアルな感触が。うわ、肌にピタッとくる感じ、普通のゲームじゃ絶対ありえない。 試しにスカートをめくってみたら、星空模様の紫のパンツがバッチリ映ってる。いや、ちょっと待て! なんでこんな可愛いディテールまで高精細なんだよ!? 顔が真っ赤になってるのが自分でも分かる。てか、なんでこんな感触まで再現してんだ、このゲーム……。




「………」


………その時の俺は、急にありえないことを考えた。


何の迷いもなく、メニュー内のログアウトボタンを押した。


……そして――。




視界がパッと暗転して、いつものホーム画面に戻った。VRヘッドギアを外すと、目の前に見慣れた天井が広がる。


「うん…見慣れた天井だ、そして俺の部屋だな…。」


ベッドから半身を起こして、ふと思う。ゲームの中で食べた焼き鶏丼の満腹感、ドレスの感触、全部消えてる。現実じゃ何の違和感もない、いつも通りのカラダだ。


「……ほんとにゲームだったのか。」


いや、待てよ。あのリアルさ、ヤバすぎだろ! なんか、いてもたってもいられなくなって、VRヘッドギアを再びかぶった。


再びゲームの世界にダイブ。目を開けると、そこはボロい村の家の中。ベッドに倒れたままの体を起こすと、またあの感覚が戻ってきた。焼き鶏丼の満腹感、ドレスの感触、胸あたりの違和感。


俺はセリーナに戻った。


よし、さっそく戦闘システムを試したいところだけど、その前にまずシステム周りをチェックしとかないとな。製作ページ、案の定ロックされてる。まぁ、序盤で素材なんて持ってないし、開放されてても何も作れないか。


序章をクリアすれば、キャラを作って、初期の街で製作チュートリアルが始まって、システムも解放されるはず……たぶん。


え?じゃあ初期武器もないまま、あの遠くにある「!」まで行くってこと?!


安心してください。二周年の限定装備セットには、対のダガー――UR武器「月影」と「星光」が付いてる!!



UR「月影」と「星光」


攻撃速度+15%

通常攻撃のクリティカル率+20%

自身が狙われていない敵の背後を攻撃する時、クリティカル率+20%、クリティカル倍率+40%アップ



配布武器としては、かなり優秀。


まあ、UR武器だし、序盤なら十分すぎる性能じゃない?装備画面でセットしたら、他のゲームと同じく、欲しい時に“出ろ”と念じるだけで武器が出てくれた。うん、いいね。


ヨシ、装備OK。ポーションは持ってないけど、全身UR装備なら序盤は無双できるでしょう。



【名前:セリーナ】

レベル 5


スキルは…走るレベル4、料理レベル5、片手剣レベル2、鍛冶レベル1…。あ~なるほど、たくさん走ると走るレベルが上がるってことか。レベルによって技やスキルの習得、追加ステータスもあるっぽい。おおお~~やり込み性高い!


では…早速、序章を始めますか!いざ、出陣!

はじめでゲーム物を書くですが、意外と難しいです。

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