-Ⅴ.歯車
⚠️本シリーズには実際に実在しているイベントやメーカー名、名称や”アイコン”、データなどが出てきますが、フレーバーとしての使用であり、全てが完全なる架空の産物であり、何ひとつとして真実や正しいところはありません。
⚠️また特別は団体、性別、国籍、個人などを指して、差別、攻撃、貶める意図もありません。
-----------------
各自の自己責任でお読みください。
当方は読んだ方に沸いた各感情ついて責任を負いません。
全ての文章、画像、構成の転記転載禁止です。
誤字脱字は見つけ次第修正します。
ご指摘・ご意見・リクエスト等は受け取りません。
-------------------------
あくまで趣味で書いているので、できるだけ辻褄は合わせますが、
後半になってつじつまが合わなくなったり、
内容が変わったりすることもあります。
諸々御了承ください。
1.
午後8時半、とっくに日は暮れ、空は漆黒の闇に染まっている。
銀座の大通りに一種、異様な空間が出現した。
いつもならほとんどの店舗が店を閉め、静けさが漂いだす時刻だったが、
今日は特別だった。
『Vanity NY』の建物半径50メートルには、車の通る道を除いて
通りの端から端まで、鉄柵が設けられ、柵の前には等間隔で警備員が立ち、
『Vanity NY』の建物周辺、赤絨毯の敷かれている、その中には
入れないようになっていた
その中は、見物客や、どこからか情報を聞きつけたのか、ハリウッドからの
ゲストを一目見ようと詰め掛けた者もいた。。
ちなみに『Vanity NY』側の歩道は、敷地の前左右10メートル範囲内に限って、
関係者以外の通行が禁止され、特別なIDがなければ、入ることは
出来ないようになっていた。
こちらの通りの店舗は、貴金属、洋装店が軒を連ねており、大体8時には、
どの店も、営業を終えていた。ショーウィンドーの明かりだけが歩道を照らしている。
ぽつぽつと点在している、食べ物屋は、『Vanity NY』、イベント企画会社側が、
それらの店と以前から交渉し、今夜限り、営業を取りやめてもらっていたようだった。
車道のセンターラインのある辺りには、赤絨毯が敷かれている。
その奥は、通りの端から端まで、鉄柵で隔離されていた。
しかし車道と歩道の間には、やはり等間隔に警備員が、立ち、
歩道に限って、立ち止まる者の規制をしていた。
今夜のイベントの、主役となる建物を背にする形で、ステージが、設けられ、
無数の小さな強いライトが、誰もいないステージを照らし出している。
人々の期待を扇情する、ディスコサウンドのような音楽が、あたりに
響き渡っている。
大通りは、端から、端まで、交通規制が敷かれ、一般車の通行が一切禁止された。
アメリカの大手デパート『Vanity NY』の、日本発上陸記念イベントが、
いよいよその全貌を現わす。
大通りのぼぼ中間に位置する辺りにそびえ立つ、現代建築様式の建物。
建物全体は、リボンをめちゃくちゃにかけたような線に覆われ、
幾何学的な形のガラス窓が、ランダムに開いている。
マゼンタ色の『Vanity NY』のロゴのライトが、建物の外壁を這うように
動き回っている。
ピンクのサーチライトが3本、漆黒の夜空を、突きかき回すように光を放射している。
国内外から詰め掛けたプレスは、建物の入り口付近の、
ステージの脇左右に設けられた、プレス用ブースに押し込まれていた。
ある者は、大なり小なりカメラを持ち込み、辺りを撮影しながら、
その時を待つ者や、熱心に異様な盛り上がりを見せている、この様子を
動画カメラで撮影している者の前には、興奮気味でカメラに向かってまくし立てている、
キャスターらしきヒトの姿もいた。
レナとアキは、なぜか、『Vanity NY』の関係者が待機している、一般プレス、
ファンブースよりも内側の、建物の入り口付近にいた。
すぐそばに、煌々と照らし出されたステージが見えた。
彼女たちが立つ10メートル後には、検問所のようにバリケードが置かれ、屈強なSPが
その門の両側に一人ずつ立っている。
そのまた2メートル向こうには、さらにバリケードがあり、多くの一般のヒトの顔が見えた。
――ドン・・・・・・
一瞬、静けさが訪れた。
全てのライトが落ちた。
ステージの上の照明が、青白い光に変わる。
フラッシュのように、パッパッパッと短い間隔で、強い光が光、
なにかが始まる予感を煽る。
――ワァッ・・・・・
遠くのほうで歓声があがった。
カメラのフラッシュだろうか、『Vanity』に続く道の左右奥が、
にわかに輝き出した。
『Vanity』とは反対側の建物左右、それぞれ最上階に設置された
スポットライトが、一斉に点灯する。
音楽が変わり、拍の強い重低音の効いたものが、響き渡った。
フラッシュの鋭い白い光と、強い光源のライトが、左右から徐々に
近付いてくる。
一般ブースの黒い人だかりのなかに、小さな無数の光が、
夜空の星のように瞬いて見えた。
レナは、「あぁ、いよいよだ」と思う。
ドキドキして、なんともいえない気分だ。
隣りに立っているアキの横顔を盗み見ると、緊張しているものの、
どこか嬉々としていた。
左右から伸びてきている赤い絨毯の合流地点、T字に設置されている、
その、横と縦の交点にひときわ強い光が当たった。
ふたつだったスポットライトが、ひとつに重なる瞬間。
そして、そこは一瞬のうちに、狂気と興奮のるつぼと化した。
ドキッ・・・・。
レナの心臓が、跳ね返る。
(・・・・エリック・エヴァンス・・・!)
彼は向かって左方面から歩いて来た人物は、Tの交点部分にまずひとりで立ち、
少し遅れて同じ方向から歩いてきた人物と、向かって右方面から歩いてきた人物、
――レイチェル・ブラウンと、パメラ・ボガード――に満面の笑顔を向け、
彼らを引き寄せて、静止した。
彼らは、周囲に、笑顔を振りまき、手を振って歓声にこたえる。
うねるような、耳をつんざく歓声、一斉にたかれるフラッシュの音、その光、
低い声のMCが声を張り、何事か英語でまくし立て、雰囲気を盛り上げている。
しばらくのち三人そろって、レッドカーペットの上を歩き、それぞれ、見物客や、プレスに、
手を振りながら、『Vanity NY』の建物前の特設ステージに上がってきた。
レナは、低い位置から、エリックの姿を、半ばぼんやりと、眺めた。
白シャツ、緩ませた艶のある黒のボウタイの上に、やや光沢のある、
タイトなブラックスーツを着た、190cm以上あると言われる程よく鍛えられた体躯、
少し日に焼けたような白い肌、長い手足、小さい顔。
モデルとして、「黄金比」と形容される、美しい姿。
生で見ても、なんて完璧な造作だと、嘆息する。
「あ、アタシちょっと・・・・・」
「え、あ・・・・」
今まで、半分呆けていたはずのアキが、すかさずステージの前の、
フラッシュ光線に晒される、プレスブースの柵の前に滑り込む。
「『Vanity NY』関係特別広報」と書かれた腕章をしているため、
一般プレスが踏み込めない位置まで、踏み込むことができる。
”本当”の『Vanity』プレスの邪魔をしないように(そう事前に釘は刺されている)、
ステージ脇に待機し、壇上のセレブに向けてシャッターを切る。
レナもは、エリックに見とれている場合ではなかった。
無理矢理我に帰り、アキの後を追い、ステージ袖付近に堂々と立った。
腕章があるので、誰も文句を言うものはいない。
パンツのポケットに忍ばせたICレコーダーを回し、彼らの声を拾う。
あとで、記事にする際に、文字に起こすかもしれないからである。
それから、メモ帳にペンを走らせる。
しばらくレナは、壇上と、白いメモ帳を交互に見やって、
仕事に”没頭”していたが、ふと顔を上げた。
――ゾクッ・・・・
目が合った。
(・・・・・今、)
その瞬間、火花が散った感覚を持ち、痺れが波のように、湧きあがって、
神経という神経にねっとりと絡みつき、
次々にカラダ中に伝播し、駆け抜けていった。
”彼”は、次の瞬間、視線を外したが、確かに、
(・・・・・見ていた・・・・?)
ふと「目をやった」程度の視線ではないと、思ったのは気のせいだろうか、と。
思わず、遠くに視線をやりながら、輝く笑顔を浮かべている、
彼の白い顎のラインを見た。
(・・・・き、気のせい・・・よね・・・・)
まさかね、と己の「自意識過剰」を恥じる。
――レナ・・・・
あの、やけにリアルだった”幻”が、脳裏をよぎった。
実際見たことはなかったが、よく聞く”青白い幽鬼”の印象そのものだった、
あの”エリック”。
(・・・・・、やだわ、・・・・なに考えているのかしら・・・・)
レナは小さく頭を振った。今は物思いに耽っている場合じゃない、と。
自分自身に叱責する。「馬鹿みたいだと」言い聞かせる。
所詮、セレブリティと一般人との間に横たわる溝は、深すぎて
向こう側には渡れない。その輪の中に、入れてももらえない。
モニタに映し出された姿を、都合のいい幻影に変換して、
追い掛け回しているに過ぎない。
”あれ”も、愚かな自分自身が創り出した妄想に過ぎない、と。
美しすぎる幻影。
心が冷えていく。
2.
顔に笑みを貼り付けていた。
心は、裏腹に冷え切っていた。
黒塗りのリムジンを降りてレッドカーペットを歩き、
言われた場所で立ち止まり、『Vanity NY』の建物を正面に見た。
全方向から一斉に向けられる歓声や、カメラのフラッシュのシャワーを
一身に浴びる。
手を振り、それに答えながら、
人々の目を輝かせるのに十分な表情を、無意識のうちに、
貼り付けられるようになっていた自分が、ただ可笑しかった。
奇声を上げ、名前を呼び、顔を紅潮させ、手を伸ばす。
また、一挙一動を捉えようと、さかんにフラッシュをたく人々。
あとで、それがいくら虚しいことなのか、思い知るとも知らず、
衝動に任せて、欲望に身を任せる。
それとも、知っているから、そうせずには、いられないのか・・・。
左右に伸びているレッドカーペットの向こうから、二人のセレブリティが、
歩いてくる。
右から(彼が歩いてきた方向)は、レイチェル・ブラウンが歩いてくる。
彼女は、デコルテの大きくV字に開いた、ニー丈のピンクのティアードドレスに、
華奢だが、ラインストーンのストラップのついた、ゴールドのミュール、
ドレスの高い場所に、スパンコールのついたベルトが輝いている。
ふわふわと甘くガ―リーな印象で、可憐な笑顔をふりまきながら、歩いてきていた。
左からは、パメラ・ボガードが歩いてくる。
彼女は、レイチェルの可憐さと対照的に、完璧な肉体と、
大人の妖しい艶っぽさを放っていた。
下着のブラを思わせる黒レースのトップス、際どいサテン地のホットパンツ、
首には幅4センチのダイヤのチョーカーを巻き、そのチョーカーからは、
ラインストーンの網が、彼女の上半身を覆っていた。
遠くからでも、キラキラと、豪奢でまばゆい輝きを放っている。
彼女たちが、彼の左右に到着するや、一層激しくフラッシュがたかれた。
向けられるカメラのレンズ全てに顔を向けるように努めて、笑顔を貼り付けた。
『Vanity NY』を背にしたステージに向かう途中で待ち構えていた、
カメラに、愛想を振り撒き、マイクに答えながら、昼間のように明るい、
ステージの上へあがる。
床の上も、真っ赤だった。
ヒトの群よりも、一団高い位置に立って、下界を見下ろすような気分を味わう。
黒い人だかりにまたたくフラッシュは、さながら”地上にある星々”だった。
ふと、向かいの建物の上辺りにある、空を見た。
漆黒の闇だった。
星の瞬きひとつさえ見えない。
地上に近い空は、ヘドロのような、濁った灰色。
「日本のファンは、どうですかぁ?」
わずかに頬を紅潮させた女が、赤い色のマイクを差し向けた。
唐突に我に返った彼は、通訳の女が彼らの背後で訳した英語を囁くのを、
聞くフリをして、ごまかす。
それからゆっくり、彼は、周りを見渡して、
「今回が初めての来日ですが、こんなに熱狂的な声援をもらえて嬉しいです」
と、熱っぽく答えた。
すると、さらにその女が、
「本国でも、大変な話題になった『Vanity NY』のCFがきっかけで、
昨年度の”世界中で最も美しい男トップ3”に選ばれたとのことですが、
どんなお気持ちでしたか」
と、聞いてきた。
彼は「ああ、来たな」と思った。
「ボクもオフでよく買いに来るので、選んでくださったみんなには、
感謝していますし、『Vanity NY』のプロジェクト関われたことを、
なにより誇りに思います」
「そうなんですかぁ~。オフで来られるんですね!
もしかしたら、『Vanity NY』でエリックさんに
お会いできるかもしれないんですね~?」
とその女が嬉しそうに答えると、黄色い歓声が響く。
「ここ『Vanity NY』銀座店は、日本人の好みに合わせて、
本場NYで展開しているショップに加えて、銀座店でしか
会えないショップも多数入っているんですよ~」
「そうなんだ、それじゃ、今度内緒で来てみようかな」
そうおどけて言うと、通訳がそれを訳した途端、先ほどより激しい奇声が上がる。
MCの女も、わずかに目を潤ませて、「ぜひ来てくださぁい」と返す。
「レイチェルさんは、気になるショップってありますかぁ?」
エリックは、笑顔を貼り付けたまま、隣りに立っていた、レイチェル・ブラウンの、
抜けるような白い肌に目をむけていた。。
ふと、視界に入った。
(あれは・・・・・!!)
カラダ中の細胞が、一気に活性化するような感覚。
モノクロだった世界が、フルカラーに輝いたときの、トキメキのようなものに似ていた。
エリックは、周囲に悟られないように勤めながら、”彼女”の姿を眺めた。
――”レナ”・・・・・・
彼女は、ステージの下にいた。
すらりとした、シルバーのピンストライプの入った細身のパンツスーツ、
白のスパンコールのインナーが、ステージの強い照明が当たって輝いている。
五分丈のジャケットの二の腕には、
「Vanity NY SP stuff」と入った腕章を付けている。
ふわり、と揺れる、ストレートブラウンの髪は、甘くてとてもいい香りがしそうだった。
(・・・・・あのヒトは、”関係者”だったのか・・・・・)
心の中に甘いものが広がっていく。
遠くを見つめるような微笑みが、自然と甘さを帯びた。
ふわふわと、夜風に舞う髪に見とれていたエリックは、
唐突に彼女が、顔をあげたのに、一瞬反応できなかった。
バチッ
(―――あっ・・・・)
視線がぶつかって、火花が散ったような感覚を持った。
感電したような、痺れを伴って。
別にエリックは、視線を外さずともよかったが、しかし、
思わず視線を外してしまった。
それから、チラチラと盗むように彼女の姿を追っていたが、
視線が合うようなことは、なかった。
(・・・・・焦らなくてもいいさ・・・・)
エリックは、心の中で、自身を落ち着ける。
その絶対的な自信は、どこから湧いてくるのかわからなかったが、
間違いなく”彼女を手に入れることができる”と確信していた。
今までだって、そうだったから。
見つめさえすれば、女はいつだって、彼の手の中に目を輝かせながら、
飛び込んで来たのだから。
3.
――プルルルルルルル・・・・・
胸に下げた携帯が、コール音を立てた。
赤い、エナメルのような光沢のボディの、背面にある小さな窓に発信者の
名前が点滅していた。
[Edward Shauler]
「・・・・ハイ、 ”エド”」
彼女は、左手に書類の束を抱え、右手に持った携帯電話を耳に押し当てると、
その場に立ち止まった。
廊下の電気は消えたままで、外からの街の明かりが、室内に
彼女の影を落としていた。
流暢な英語が、静まり返った廊下に響いた。
『・・・・キミも考えたね、”マリコ”』
揶揄を込めた言い草に、受話器の向こうから、高笑いが聞こえてくる。
高い、張りのある男性の声。アメリカなまりの英語。
「・・・・だって、”何事も他を出し抜かないと”、でしょう?」
『それで、ボクに脅しをかけるとは、いい度胸だよ、”相変わらず”』
「”相変わらず”だけは、余計じゃないの?・・・・まぁ、”脅し”の方も、どうかしらね」
砕けた口調で、マリコは、廊下の壁に寄りかかる。
『まぁ、でも、キミの”お気に入り”に会えたことだしねぇ』
「ふふふ、”なかなか”いいでしょ?」
『・・・・いいね。インタビューの内容も知的だし、よく市場を知っているし、』
「・・・・アキ・ナガイ、の方ね
・・・・そうなの、あのコ結構な”情報ツウ”なのよ」
『あぁ、なるほどそうか・・・・見る目あるね』
電話の向こうで、「そうそうミス・ナガイ」と復唱する声がする。
どうやら彼は、彼女をお気に召したようだった。
「一緒に仕事してみたいもんだなぁ」と野坂マリコに、抜け目なく申し出る。
「ふふふ、考えておくわ・・・あぁ、それで、”圧力”かけてくれた?」
『もちろんだよ、仕方ないだろう?キミの”頼み”じゃぁ・・・』
「・・・でも、どうしたの?だって急にお願いしちゃったでしょ?」
『・・・・ウチのスタッフってコトにしたよ』
エドは、「スタッフに、どう言って納得させようかと悩んだんだからね!」と、
心底疲れたような声を出す。
「で?」
真性”悪魔”とは、彼女のような人間を言うのだろう。
ウキウキさせた声で、続きを催促する。
エドが、威厳を漂わせた表面の、その内心で、
ドキドキしながら部下を呼び止める姿を、想像しているに違いなかった。
『・・・・なんか疑問を持ってたみたいだけど、なんとか了解してもらったよ・・・』
「・・・・ふふ、あらそうなの。 でも”結果オーライ”ね、エド。
偉いわ~、嘘、上手くなったわね~v」
『・・・・あぁ、そうだね・・・・』
電話の向こうの困ったような声音に、マリコは、「うふ」と、
含み笑いを漏らす。
「・・・・実は、今日の取材も、編集部のせいにしちゃったv」
『・・・・本当は、ボクの逆指名・・・・しかもそれも、キミの”圧力”・・・』
「ほほほほ・・・”嘘も方便”よ、エド」
『”鬼”だな・・・・』
マリコが、楽しそうに声を上げると、
電話の主は、やれやれ、と呆れたように息をつく。
「ふふふ、楽しんでいるかしらぁ~vv」
『・・・・マリコ、楽しそうだね・・・・』
「エド、”ご褒美”に絶品の”焼肉屋”に連れてってあげるわね~」
『”約束どおり”、だよ・・・・もちろんキミの”おごり”だろうね?』
「もぉちろんよ」
『やったね~v マツザカギュー?コーベギュー?』
「それは、お楽しみよぉ~♪」
社員がほとんど帰宅してしまって、暗いオフィスばかりの社内にあって、
浮かれた女の声が響いている。
どうせ彼女がいくら大声を出したとしても、そのフロアには、
彼女しかいないようなものだった。
ちなみに、永井アキが、直前になって、増やされたインタビューの仕事、
『Vanity NY』の日本支社営業統括マネージャーの名は、
エドワード・シャウラー
話自体は2000年ごろに書いたものなので、技術が古いです。
実際のデータ、名称などを使っていても、全て架空物であり、真実はありません。