戦争準備なの~~
あれから、三日後、
「王都内のゴトー軍、鎮圧しました!こちらは、負傷者、22名、死者はないです!捕虜10名、後の者は、弾切れ、銃を捨て、逃走。行方不明です!」
「すごいの~」
「陛下!各国が続々支援を表明しています!」
「すごいの~」
何だ。トムの騎士団は忠実に、近接戦闘不可を実践し、
サムの外交団の成功は、民衆による王権打倒を警戒して、支援をしてくれた感じであろう。
中には、いらんことをする国もあった。
☆アリッサ王国
『ツメラギ王国への侵略は、断固非難する!政体は王権のみである!』
と火に油を注ぐだけの声明を出した国、この国は我国から遠い。
また、態度を明瞭にしない国もあった。
共和制を主体にする国である。
本来なら、ゴトー軍に協力する立場だ。
☆ニスバ共和国
『検討を加速します』
・・・・
まあ、いい。商業ギルドを通して、資金や、中には、魔法袋ごと、使者に金貨をくれた国もあった。
しかし、この戦いは負けだ。
銃を持った数百人の冒険者の群れ。
どこの国の軍隊も勝てないだろう。
私は、どっかに、亡命をして、寿命を延ばそう。
ザルツ帝国以外がいいな。あそこは、ガチの戦闘狂だ。
「ヒン、ヒヒ~ン」(お嬢、考え込んでいるね)
「どうせ、国終わりだから、減税をするの~、市場税は旧来通り10パーセント!窓税廃止!・・・・」
と戦時下なのに、減税をしまくった。
いや、各国と同じにした。
窓があるだけで、税金、今までが重税だったのだ。
だが、思わぬ方向に行く。
「「「「メアリー女王陛下に、万歳三唱!!」」」
「「「バンザイ!バンザイ!バンザイ!」」」
「なんなの~、これ」
騎士団、王都市民に、大歓迎をされた。
こういった時は、露骨に人気取りの政策をしやがって、とならないか?
「フガーなの!」
「「「「オオオオオオーーーーーー」」」
「何という雄叫び!勝利間違いなし!」
ダメだ。この状態では、何を言っても、歓迎される。
フム。なら、こうしよう。
『薩英戦争』戦略。
近距離の戦いでは、旗艦の艦長が戦死するほどの激戦を繰り広げられたが、アームストロング砲は、薩摩軍の大砲の四倍あった。
沖合に出て、アウトレンジの戦いになったら、圧倒された。
しかし、薩摩藩は、予想していて、城下の人達は、避難していた。
イギリス軍は、弾薬を使い果たし、撤退した。陸兵は、多く見積もっても、千はいない。
薩摩兵の士気の高さを恐れて、陸戦をしなかったか。それとも、脅せば、幕府のように、簡単に譲歩を引き出せると思ったのか。私には分からない。
そして、イギリスは薩摩藩を高く評価して、仲良くなったのだ。
もし、ペリーの時も幕府が戦う決断をしたら、ペリーはビビったと思う。
100万都市に砲撃、当時の世論としても、非難されるに決まっている。
なるべく、被害を少なくして、負けて、次は、講和だ。仲良しさんになろう。
これで、資金を提供してくれた国々も、『仕方ないよね~』となるか?
「フム、ここに、長城を築くの~」
「「「「御意!」」」
王都へ続く道は、一本だ。
もともとは、この王都周辺の小国だった。守りやすく攻めにくい。
南は海。三方を山に囲まれている。
山と山の間に道があり。頂上に小さな砦がある。
道を塞ぐように工事を命じた。
「空堀をほるの~」
「「「御意!」」」
戦車壕だ。戦車が通りそうで通れない幅の空堀をほらせる。
壁は、板と板の間に土嚢を挟ませる。土嚢はもっとも安価な防弾設備だ。
「待避壕を作るの~」
「「「御意!」」」
砲撃が始まったら、すぐに避難させる。
しかし、訓練が必要だ!必要なことだけを前世の記憶から、抜き出し教える。
まずは、号令だ。
手をパッとあげて、
【集まれ~~】
ダダダダダダ~~~
で集めさせて、
【別れ~~】
パーと、別れさせる。
集合と分散だ。
伏せの姿勢を教える。砲撃や銃弾が来た時、避ける姿勢だ。文字通り地面に伏せるだけである。
トコトコトコ~~
「走って~~、右足の踵を、進行方向に向けて、ブレーキにして勢いを殺して、伏せるの~~」
バタン!
「演練なの~~」
「「「御意!」」」
次は、模擬実戦だ。
「パン!パン!パン!なの~~」
と銃撃の口真似をして、
【伏せろー】
「「「「伏せだ!」」」
「隠れる所がない者は、伏せの姿勢!」
次は、迫撃砲の音を口まねする。
「ヒュ~~~、ヒュ~~~なの~~」
【待避!】
「伏せろーーーー」
「だんちゃ~く、今なの~~!ボン!なの~」
如何に被害を少なくして負けるかがコンセプトだ。
次は銃後だ。
「グスン、グスン」
「お祖父ちゃん。じゃない、宰相!何故、泣いているの~」
「ワシは、孫を生け贄に延命をしようとしました。職を辞します」
「フガー!ダメなの~」
と引き留め。
「戦力を算出するの~!」と命じた。
魔道師
やっぱり、若手しか残っていない。学徒動員生を含めて81名だ。
基本的な魔法は使える。せめて、爆裂魔法使いは欲しいものだ。
「あら、私、爆裂魔法が使えましてよ」
「よろしくなの~、ところで、何で逃げなかったの~」
「・・・フン、いえ。お父様が、義妹の方を連れていきましたわ」
あら、悪いことを聞いた。気位が高い公爵家令嬢エミリー、
「聞きたいの。爆弾を作ることは、出来るの?」
「・・・概念はあります。魔力を充満した魔石に、魔力を過剰に与えると爆裂します。もちろん、陛下はご存じだと思いますが、爆裂には、時間が掛かりますし、術者との距離が短いですから、戦場では使えないとなっていますわ」
「時間は?」
「一分でございます」
「合格なの、作るの~~」
と、兵器工廠に命じて、あるものを作らせた。
指向性散弾だ。記憶を頼り指示を出す。
ドン!
実物よりも大きなものが出来上がった。技術的に難しい。何だ。荷馬車が必要だ。いや、機動戦を行わないから、これで、OKだろう。
「へえ、どうして、この箱は、わん曲しているのですか?」
「モンロー効果なの。指向性をつくるためなの」
つまりだ。この指向性散弾の中に、丸い弾を入れておく。わん曲している方向に爆裂は向かうのだ。爆裂すると、破片と弾が、扇状に散乱する。
だから、後ろの人は、50メートルも離れていれば、安全とされる。
「魔力が、通じやすい繊維でヒモを作るの~」
そして、この箱につなげて、魔力を流す。遠くから、魔力を流すことが出来る。
実験では、
ドーーーーーン!
「ヒィ、こんな馬鹿な?!」
効果ありだった。
これで、突撃してくるゴトー軍を削れるな。急ぎ、8基作った。
しかし、最後は、やっぱり、迫撃砲で圧倒されるのであろう。
☆
残存宮廷魔道師隊で、分隊を作った。8個分隊で、各騎士団で、配置する。
「これが、パジェロなの~」
ブロロロロ~~~
「ヒィ、動いた!」
「ここが、給油口なの~、ここにファイヤーボールをぶち当てるの~」
後は、絵を描いて、
「何ですの?これは?長い鼻?鉄の箱?」
「ディーゼルで動く、戦闘車両なの~、ファイヤーボールで燃えないの~」
「この場合は?」
「逃げるの~~~」
☆怪鳥部隊
「女王陛下に、編成かんけ~~つ」
バシ!
「「「クワ!」」」
怪鳥は、18羽、一人を乗せて、飛ぶのがやっとだ。
「任務は偵察と、通信、爆撃のみなの~」
「え、私ら、怪鳥騎士は?」
「頭上から歩兵を援護するのがセオリーです」
「それだと、やられるの~」
松ヤニと油で、焼夷弾を作らせた。後は、高価な望遠鏡を配置する。
しかし、ゴトー軍こないな~、情報ギルドに依頼するか・・・
最後までお読み頂き有難うございました。