第4話進化は唐突に
何から始めようか、いや何から始められるだろうか。
俺は希望が見えたおかげで変に焦っていたのだろう。
考えが纏まらず、行動に移そうにも動けないから何も出来ない現状。
(そうか、まず現状を整理しよう)
今の状況はスキルによる効果によって起きている。
スキルの説明によれば、俺がこの空間で死ぬことはない。
その上、時間だけはたっぷりある。
打開することが出来れば元に戻ることもできる。
なら何からすればいい？
死を回避しその状況を再現した空間を作り出し移動する。
それがこのスキルなら、今は川沿いで岩に押しつぶされた状態のはずだ。
(そりゃ動けない訳だよな)
スキルでこの状態を作れたなら、スキルでこの状態も何とか出来ないか？
そう考えるのは普通のことだろう。
俺はもう一度スキルを確認した。
(望みがあるとしたら、土魔法か)
説明はとても抽象的だ。
土魔法・土を使った魔法を使用できる
これだけじゃ何もわかんないのと一緒だ。
何しろ魔法なんか誰も使ったことがないのだから。
(ステータスみたいに最初っから使えりゃいいのに)
思わずそんな言葉が浮かんでくるが、文句を言ってばかりいても始まらない。
俺は必死に魔法を発動しようとした。
土魔法！と念じたり、動け〜と全身に力を入れたり、考えられるだけの呪文を思い浮かべたりした。
しかし魔法が発動するような事はなく、何も出来ないさっきまでと、変わったところは何もなかった。
(何で発動しないんだ〜)
何かが足りない、何かが出来ていない。
助かりそうな希望のスキルがあるのに、そもそも使えないんじゃ意味がない。
もう一回1から考えるか。
そう考え直した時、神と名乗った者の話を思い出した。
あの話はで何と言っていた？
とても重要な事を言っていなかったか？
そうやって何とか思い出していると、これだっと言う考えが思いついた。
"魔力"
"動物たちは進化する"
"進化の種"
これが重要なキーワードなんだ！
魔力によって魔物が生まれるとも言っていた。
動物の進化も魔力によるものじゃないか？
進化の種のスキル効果は何だ？
進化の種・進化の時はすぐそこだ
適応せよ
努力せよ
意味が分からずに流していたが、この‘‘適応せよ‘‘って重要なんじゃないか？
人間も魔力に適応できるんじゃないか？
でも今って魔力存在するのか？
考えては新しく疑問が生まれる。
そもそも大改編が1ヶ月後じゃなかったかと。
なぜ魔力が発生していない今スキルは発動したのかと。
そして一つの結論が出た。
あの地震は前触れだと言っていた。
なら地震の発生は魔力で引き起こされ、あの瞬間だけ膨大な魔力が生じ奇跡的にスキルが発動した。
その瞬間を再現しているならこの空間にも大量の魔力があるのではないかと。
（俺のやることは決まった）
（魔力に適応することだ）
やることを決めたのはいい。
でもどうすればいいのかがわからない。
狂ったわけではないが、この暗い空間。
指一本も動かせない中で、口をこじ開け岩を歯で削って食べた。
勝算がなかったわけじゃない。
魔力について何もわからない中、魔力に適応するには摂取するしかないと思ったんだ。
それに俺はこの空間では死なない。
なによりも今はここを出てみんなに会いたいんだ。
今できることは何でも試すつもりだ。
すぐに効果が出たわけじゃない。
少しずつ少しずつ岩を削った。
体を動かせないためそんなに食べれたわけでもない。
でも効果が表れるときは、意外と一瞬なんだ。
（痛い!痛い!痛い!心臓が破裂しそうだ!）
急激な心臓の痛みに藻掻くこともできず、急速に熱を持ち始めた体に死なないことも忘れ、死を覚悟しながら意識を失った。
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意識が浮上し、今までに感じたことのない力を心臓部分から感じる。
俺は無意識にステータスオープンと念じた。
すると進化の種に変化が生じ、進化をしていた。
槌屋金仁郎 Age17
進化の種
↓世界で初めての進化を確認。特殊進化により魔人に進化しました。
進化の苗
↓人類で初めての進化を確認。特殊条件を緩和。特殊条件を達成により土魔人に進化しました。
進化の木
（俺人じゃなくなったのか？）
（もしかして俺も魔物みたいに？）
もうみんなに会えない化け物になってしまったんじゃないかと思ってしまう。
短絡的な行動を起こした過去を消したくなる。
でも、そもそも死ぬしかなかった状況。
最後に一目でもみんなを見れる可能性を思い出しここから出る努力を決意した。
読了ありがとうございます。
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