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第3話その頃みんなは

声が枯れるんじゃないかと思うほど叫び続けていた銀。

 何も出来なかった自分を責め後悔の念に押されている蓮華。

 自分のせいで金仁郎を死なせてしまい、その光景を目の前で見てしまったが生かしてくれた金仁郎の事を思う美姫。

 自分がいた位置により、本来なら自分がお嬢様を助けなくてはいけなかったと思う沙良。


 それぞれの想いを秘めながら神の言葉を聞く4人。

 神の言葉により一縷の望みをいち早く見出したのは美姫だった。


「神様お願いします!金ちゃんを助けられる力を!!ステータスオープン」


 美姫の言葉の意図を察した3人もそれぞれにステータスオープンと声を出す。


 神代実紀 Age18


 進化の種

 回復魔法1

 健康


 ユニーク

 結界魔法(特殊)


 畑田銀 Age18


 進化の種

 植物魔法

 鋼の肉体


 ユニーク

 植物の博愛


 武田蓮華 Age17


 進化の種

 柔剛同体

 悪路走行


 ユニーク

 武芸百般


 九条沙良 Age24


 進化の種

 念話

 生活魔法


 それぞれがスキルを確認するが、今すぐに金仁郎を助け出すことが叶いそうな物は見つからなかった。

 藁にも縋るように周りに目を向ければ、みんなが同じような顔をし絶望を深める。


 その時階段から音がして、そちらに目を向ければ階段が崩壊するところであった。

 金仁郎を助け出す事よりも皆んなの安全を確保するために銀が言う。

「皆んな悲しいだろう、俺も悲しい」

「でも金が犠牲になってでも助けた命だ、安全なところに一旦避難するべきだと思う」


 各々言いたいことはあると言うような顔だが、一応の納得を示し銀を最後尾に歩き出す。

 あんなにも楽しかった道のりが、長く辛いと感じ歩みはとても遅い物だった。


 コテージの安全を確認し、中でスキルの説明をし合い通信手段が使えるかを確認した。

 しかし地震の影響か通信関係は使えず、沙良のスキルにより家族へ連絡を取ることにした。



 ここにいる全員の家族への連絡は幸にして繋がったが

 、念話も万能な物ではなかったために金仁郎の両親への連絡だけは出来なかった。

また、全員が金仁郎の死を信じられずに伝えることは出来なかった。


「これからの事を考えよう」


 銀の言葉に何も言えずにいる3人を見てどんどん話を進める銀。

 ここにいても何も出来ない事。皆んなの安全を確保するため一度戻る事。状況を確認し、改めてここに戻ってくる事。

 無理矢理に納得をさせて、沙良の運転で戻ることに。




 しかし車で30分で来れた場所だったにも関わらず、コテージのためだけに山に整備された道は寸断されていた。

他の山道を通るにも整備されていない山を碌な装備もなく降りることは現実的ではない。


 そんな状況なため、コテージに逆戻りし整理することにした。

 状況を整理すると、コテージには多くの備蓄がされており、当面の食事だけは何とかなる事がわかった。


 次に沙良の念話により各家に連絡を取り、もちろんのこと心配をされ何とか出来ないか確認をしようとしてくれたが、通信機器が使えず頼りにする警察や自衛隊に連絡が出来ないため何も出来ないことが分かった。


 また、沙良が急な疲れにより念話が使えなくなりその日の連絡手段の全てがなくなってしまった。




 コテージにあったランプに火をつけ、その灯を囲む4人。暗い雰囲気が流れるなかいつもはおっとりしている美姫が口火を切る。


「みんなに話したいことがあるの」


 皆んなの注目が集まる。


「現状出来ることは少ないと思う

 でも、私は力を手に入れた

 今後新しい力が手に入るかもしれない

 だから私1人でも、せめて少しだけでも金ちゃんの遺品を掘り起こしたい」


「美姫、何を言ってるかわかってるの?」


「そうだ、言いたいことは痛いほどわかるが」


「お嬢様のメイドとして看過出来ません」


 美姫の発言により議論が起こる。


「みんなの言いたいことも分かるわ」

「でも現状帰ることも出来ない、やれることもないってこともわかるでしょ?」

「それに私は金ちゃんに助けられたんだよ!?」

「大好きな金ちゃんに助けられて彼は…」


 目にいっぱいの涙を溜めて、言葉を出せなくなった美姫を見つめる3人。

 3人で目配せをして美姫に近寄る2人と対面する銀,


「わかった、でもやるなら全員で力を合わせてだ」


 遂に美姫の目からは涙が溢れ落ち、そのまま止まらなくなってしまう。

ランプの火だけが灯るコテージに美姫の泣き声だけが響く。

 

読了ありがとうございます。

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