第2話さようなら日常、初めまして新しい世界
目覚めると真っ暗な世界にいた。
やはり俺は死んだのか、ここが死後の世界ってやつか。
何もわからない。
ただただ暗い中、何も見えず指一本すら動かないのに苦しいとも思はない。
あの時俺は助けられたのか、みんな無事なのか。
美っちゃんを銀に預けた光景だけが鮮明にずっと繰り返される。
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川で楽しく遊んでいるとき、何の前触れもなくとても大きい揺れを感じた。
それだけで済めば楽しい日常を続けられただろう。
しかし、さっきまでは美しくみんなで遊んでいた自然は時として人類に猛威を振るう。
「みんな無事か!?」
俺の言葉にみんなが返事をし安全を確認したとき、雄大な岩肌から嫌な音がし始めた。
「みんな走れ!階段を上がって安全な場所まで逃げろ!」
叫ぶように上げた声にみんなが動き始めたとき、一番川に近かった美っちゃんが声を上げた。
後ろを振り返ると玉石に足を取られ、足首を抑えながら蹲る美っちゃんが目に入る。
その時少しづつ壁と見紛うような岩が倒れてきているのが見えた。
俺は考えるよりも先に体が動いていた。
火事場の馬鹿力を発揮したのか、一瞬で美っちゃんの元までついた俺は、美っちゃんの腕をとり強引に立たせお姫様抱っこの状態で走り始めた。
もう少しで階段に到着するという時、他を上がらせ自分だけは下に残っていた銀から声が届く。
「金!!やばい!追いつかれるぞ!」
その声を聴いた瞬間、思い切り美っちゃんを銀に投げつけ声を上げる。
「銀!美姫を頼んだぞ!早く上がれぇぇぇ・・・ 」
ドォォォォォォォォォン
周りが呆然と涙を流している中、銀の叫ぶような名を呼ぶ声だけが響く。
本人には届いていない悲しい声だけが。
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真っ暗な空間の中1時間が過ぎたのかはたまた2時間が過ぎたのか、いや意外と5分とかなのかも知れない。
その時、頭の中に声が響いた。
{全世界の人類よ。
私は神である。
信じる信じないは別にせよ、今から伝えることは全て事実である。
心せよ。
今この時から1月後世界は大改編される。
地球の資源を増やすため魔力を導入する。
全世界に起きた地震は前触れである。
動物たちは、あらゆる進化を果たすだろう。
魔物という魔力に適応した怪物も多く生まれる。
人類の生存圏は大幅に狭まるだろう。
地震による被害は甚大だが、大改編後はこの比ではない。
しかし、人類を滅ぼしたいわけではない。
それに伴い、ダンジョンと呼称する、建造物のような生物を創造し世界各地に設置しよう。
そこに魔物を詰め込む。
さらに主要都市や人口密集地をセーフティエリアに設定し10年間の猶予を与えよう。
ただし、魔物がダンジョンから飽和した時「オーバーフロー」が発生し魔物が溢れ出す。
阻止するには魔物を間引くしかない。
だが、人類がダンジョンに踏み込めばコアと呼ばれる生物もまた成長する。
ダンジョンが成長すれば、飽和までの時間は伸びるが「オーバーフロー」の規模は大きくなりより強大な魔物も増えることになる。
人類にも希望はある。
ステータスとスキルだ。
スキルの取得は特別なアイテムなどにより取得できるが、先天的に取得しているのは10人に1人といったところか。
進化の種というスキルだけは全生物が持つスキルだ。
人類が進化を遂げることは難しいが、できれば大幅なパワーアップになることは間違いない。
ダンジョンには資源も多く人類の役に立つことは間違いない。
勇敢にも立ち向かいさらなる発展を遂げるか、恐れをなし何もせずただ衰退していくかは人類次第だ。
今後の地球の未来に幸あれ。}
言葉が頭の中でとても大きなインパクトを残す中、新しく魂に刻まれるような感覚を覚える。
その瞬間今まで出来なかったのがなぜかわからないくらいすっと心で呟いた。
「ステータスオープン」と。
槌屋金仁郎 Age17
進化の種
土魔法1
ユニーク
起死回生
生活の達人
頭の中に自分の情報が流れる。
ステータスにはスキル情報が表示される。
スキルはより詳細を求めると情報が見れる。
進化の種・進化の時はすぐそこだ
適応せよ
努力せよ
土魔法・土を使った魔法を使用できる
起死回生・死に瀕した時に発動する
現実世界の1000倍の時間が流れる世界に移動する
その世界では死ぬことも老化することもない
死に瀕した原因の状態が再現され、回避できる力を手に入れると現実世界に戻ることができる
このスキルは発動すると特別な条件を達成するまで使用不可になる
生活の達人・料理、炊事、洗濯から建築、生産、農業、牧畜、狩猟まで生活に必要なすべての事象に補正
よくわからない説明もあれば、とても詳細にわかるものまでスキルによって色々ある。
とりあえず今の状況は起死回生により、岩に挟まれた状態ということか。
ならば俺がやることは一つ。
この状況を打開しみんなに会うために。
そして会えたら美姫に想いを伝えるために。
ここから出るための努力をしよう。
読了ありがとうございます。
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