最後の楽しい楽しい日常
読み専だった自分が触発され、投稿をしてみたがよくわからずすぐ挫折。
今回はいつもより本気で書いてみたけど、話の区切りとか説明とか登場キャラの会話、心情とか小説ってバカ難くね⁉と驚愕している筆者。
世の小説家、漫画家さん
特に初投稿や、仕事をしながら、何作も面白い作品を世に生み出す方々を尊敬してやまない日々です。
今日もいつもと変わらない日常が始まる。
日が昇りきる前の時間、田舎とは言え麦わら帽子を被るだけじゃ防げない夏の暑さによりかいた汗を、首にかけたタオルで雑に拭う槌屋金仁郎。
長男だけど、尊敬していた祖父が亡くなった次の年に俺が生まれたから二郎という名前をもらった誇らしい名前だ。
いつも急に変なことをしたがる両親により、田舎で家庭菜園を始めて4年目、高校三年の夏休みに入っている。
時には世界を巡り、時には海外の経験を活かし飲食店を経営し、建物にもこだわりDIYに目覚め古民家を改造するような両親。
わりかし高齢出産だったこともあり、俺が生まれてからは少し落ち着いたと思われたが、中学三年生に上がるくらいに急に東京の古民家風カフェを閉め、田舎に行こうと言い出した時は我が両親ながら馬鹿かと思った。
そんな両親は2年前、昔の知人に誘われ会社の経営をしに家のことを俺に任せ海外に飛び立った。
今思えば、落ち着いて見えた両親は自分たちの経験を子供に教えるのにハマっていただけなのかも知れない。
両親は愛情深い人たちで、仲睦まじく子供の俺にも無償の愛を際限なく注いでくれた。
海外に行くときも誘ってくれたが、中学の時に学友たちとの別れを経験したため、高校まで途中でいなくなるのが嫌で家の管理を理由に何とか家に残り続けた。
だから家庭菜園の規模を超え始めた庭や家の管理をしっかりこなすのは、俺のプライド的なものによるところが大きい。
でも今は高校最後の夏休み、管理だけじゃなくて遊ぶ時間もたっぷりある。
今日も高校の友人が家に迎えに来る予定だ。
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「金ちゃ~ん、遊びに来たよー」
「お~、銀いらっしゃい」
「金ちゃん、今日はお邪魔するね!」
「金ちゃん今日すっごい楽しみにしてたよ~」
「蓮ちゃんと美っちゃんもようこそ」
学友である畑田銀、武田蓮華、神代美姫。
銀の家はここらで一番の農家で、両親が料理人だった時にその味に酔いしれ使わせてもらっていた野菜の生産者でもある。そのため野菜作りからしたいと思った両親が田舎に行こうと思ったきっかけでもあるので、俺も銀とは田舎にくる前からお互いに少しの面識はあった。
そんな銀は、畑仕事により鍛えられた立派な体躯と日焼けに白い歯が輝く太陽のような少し不器用な偉丈夫だ。
蓮ちゃんの家は有名な武家の血を引き、古くから続く武道を教える道場をやっている。この田舎にある道場が本家であり宗家の中には警察の外部顧問をやっているところもあるため、年末年始は大きな武家屋敷に大勢の人が集まることで有名だ。
そんな蓮ちゃんは、きりっとした印象を受ける顔立ちに背中まで伸びた黒羽色の髪をポニーテールにし、女性にしては高い身長のモデル体型のたまにポンコツな美人だ。
美っちゃんの家は、日本有数の財閥で両親は海外を飛び回っている。そんな折り俺の両親と知り合い東京に店を出していたときは足繫く通ってくれていたため俺は美っちゃんの両親と面識がある。
どうして美っちゃんがこんな田舎にいるかというと、小さいころから病弱で入退院を繰り返していたが空気のいい田舎で静養をという医師の勧めにより、家が田舎に引っ越すときに一緒に付いてくることになる。
それに伴い美っちゃんとともにいる時間も増え、俺の初恋の人であり未だに想い人である。
そんな美っちゃんは、おっとりとした性格に大きな胸を持ち白い肌も相まって、深窓の令嬢という言葉がよく似合うかわいい系の実は一番芯のある美人だ。
「今日から、美っちゃんの家の持ってる川沿いのコテージに行くんだよな?」
「おう!うちの新鮮な野菜も持ってきたし存分に楽しむつもりだ」
本当に楽しみにしていたのだろう銀が満面の笑みで答える。
「美っちゃんもこっちに来てからどんどん元気になってるんでしょう?」
「病弱なところを想像できないけど、今回は美っちゃんの思い出作りも兼ねてるのよ」
「う~んやっぱり新鮮な空気とおいしい水、あと銀ちゃんの家の野菜のおかげかな~」
「銀もいい仕事するわね!」
「そりゃ良かった、一生懸命作っている甲斐があるってもんだ!」
姉妹かと思うほど仲のいい美人二人に褒められ、銀もまんざらでもなさそうだ。
そこに関しては俺も感謝してもしきれない思いだ。
今じゃいつも一緒にいる四人だが、最初はいろいろとあったもんだ。
もともとそんなに人口が多くない田舎の学校に、中学三年の時に2人も転校生が来たもんで学校中の注目の的になり、まだまだ病弱で学校にあまり来れなかった美っちゃんが軽いいじめにあってしまった。
それを許せなかった俺は、学校でいろんな人に絡み悪目立ちしてしまった。そこでもともと面識のあった銀がとりなそうとしてくれたが、不器用なやつだから最終的に対立することになったりと大変だった。
そんな怒涛の中学生活を終え、高校生活を迎えると中学で宗家に修行に出ていた蓮ちゃんが戻ってきた。
悪気はないが、負けず嫌いと少しのポンコツをいかんなく発揮し、元気になり今までの分をというように溌剌とし始めた美っちゃんをライバル視して絡んでいたのが、気づいたら姉妹のような仲良しになっていた。
男にはわからない何かがあるんだろう。
今じゃかけがえのない友人達だ。
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「みんなようこそ~」
「皆様ようこそいらっしゃいました」
「「「おじゃましま~っす!」」」
俺たちは、美っちゃんの家が所有するコテージまで来た。
言ってもそんなに離れた場所にあるわけではない。
過保護な美っちゃんの両親が、いつでも静養に使えるようにと近場にわざわざ作ったのだ。
ここには、美っちゃんのメイドさんである九条沙良さんが運転して連れてきてくれた。
九条さんは、メイド服よりもスーツが似合いそうな眼鏡をかけた美人さんだ。
「とりあえず、BBQしてそこから川に遊びに行こう」
昼前くらい着いたため、準備をして丁度いい時間になるだろう。
みんなも俺の提案に異論はないようで各々準備をし始めた。
とりあえず俺は、家から持ってきた簡易のピザ窯でピザを作ろう。
両親仕込みの生地から作る本格派ピザだ。
俺が生地の準備や窯の準備をし終わったくらいで、声がかかった。
「金ちゃん、みんなもそれぞれ準備終わったぞ」
銀の声のほうを向けばみんながそれぞれ食材や鍋をテーブルに並べていた。
「俺はもちろん今朝採れたての野菜を」
「私は、父と趣味でとってきた猪と鹿を持ってきたわ」
「私は沙良さんとカレーを作りましたよ~」
どれも美味そうだ。
すべての食べ物が輝いて見えるようだ。これもレジャー効果ってやつかな。
みんながそれぞれの食材をコンロにのせて焼き始める。
俺もピザを窯にセットしてコンロのほうに混ざる。
「「「「いただきま~す」」」」
「いただきます」
食べごろまで焼けた食べ物たちを和気あいあいと食べる。
そこかしこでそれぞれが用意したものを褒める言葉が相次ぎ、照れ隠しでほかを褒めるの繰り返し。
みんながお腹パンパンになるまで楽しそうな会話が途切れることはなかった。
「食休みも兼ねて川までゆっくり歩いてから遊ぼう」
俺たちは食休みを兼ね、釣り竿などを持ち出発した。
川までは整備された道を、5分ほど歩き、階段を下りれば着くため丁度いい食休みになった。
着いた川は、川に削られた玉石が敷き積まれ、岩肌を削った場所を川が流れる雄大な景色を誇る美しい川だった。
ここには去年初めて来て今年で2度目になるが初めての時と同じようなリアクションをとってしまう。
俺たちは景色を堪能した後、これまた美っちゃんの両親の立てた縁側とベンチ屋根がある建物を基地に遊ぶ準備を始める。
「泳ぐのは明日にして、今日は軽く水際で遊ぼう」
「水鉄砲も持ってきたぞ!」
俺たちは、この時いつも通りの日常を過ごせると思っていた。
ただただ友人たちと楽しく過ごす、高校最後の夏を。
読了ありがとうございます。
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