今日のお話は名前占いのことを書こうとしたのに、ぜんぜん違うお話で終わります。ごめんなさい!
以前のエッセイに「生年月日がまったく同じ15人で集まったオフ会」を書きました。生まれた年も月も日付もまったく同じ日の、同じ年齢の15人です。もともと同じお誕生日のネットサークルがありまして、一度くらい会おうとなってオフ会が実現しました。
都内で集まってみたら顔つきも性格もバラバラで、ぜんぜん共通点はありませんでした。そしてとある美形男子(広末涼子にそっくりな男子!)に肉食の女子(千と千尋の神隠しの顔ナシにそっくり!)が襲い掛かかったり、男子が酔った勢いで女子の頭をはたいて激怒させたり、波乱万丈なオフ会でした(涙)。やっと解散の時間になり、みんなでホテルまでわたしを送ってくれると言ってくれたのですけれど、それはご遠慮して一人で歩き出した途端、韓流ドラマに出てきそうな可愛い韓国人の男子に道を聞かれ(今思えばナンパ)、「今夜はずうっとお姉さんと一緒にいたいな♡」そう言ってどこまでもついて来られ、アイドルみたいな可愛い顔立ちときめ細かな肌と(韓国の方って、ほんとに肌が綺麗ですね!)、可愛い顔立ちと裏腹に逞しい身体つきに恐れをなしたわたしは、「ムリです!」そう言って逃げ出してホテルの場所を見失うという……(涙)。あまりに造詣が綺麗すぎると、恐れ多くてムリです!
このオフ会で星座占いはあまり当たらないんじゃないかと思うようになったのですけれど、名前占いは当たるんじゃないかと思う出来事がありまして……。
以前に大阪府枚方市に住んでいました。その頃は人妻で、夫の会社が借り上げたアパート(マンション?)に住んでいた。鉄筋コンクリートの建物だから一応、マンションになるのかな? 4階建ての団地みたいな建物で、エレベーターはなかった。ボロボロでもないし新しくもない、特徴のない3LDKの部屋だったのですけれど……、思い出した! ここで見てはいけないものを見たんだった!!(← ここから話がどんどんズレてゆきます。ごめんなさい!)
福岡県からこのアパートへ引っ越してきた日、一所懸命に荷物を整理していたのです。天気の良い日曜日で部屋には明るい日射しが差し込んでいました。気持ちの良い日だったのでどの部屋の窓も全開にして、わたしはせっせと作業をしていました。夫は他の部屋で片付けをしていた。
カウンターテーブルの前で食器の入ったダンボールを開けて、カウンターに積み上げていたのです。すると目の前、ほんとに目の前、鼻先30cmくらいの距離に、いきなりおじさんが現れて、わたしの顔をのぞきこんだ! 「えっ!?」と驚いた次の瞬間、おじさんはいなくなってた! 見たのはほんの一瞬ですけれど、ちょっと伸びてきた白髪を七三に分けて眼鏡をかけていて、ちょっとくたびれた白いカッターシャツの第一ボタンが開いていたのはおぼえています。定年退職で仕事をやめたお父さんが、もったいないからと普段着にカッターシャツを着ている感じと言ったら、伝わりますでしょうか?
もちろん家族におじさんはいません! ドアに鍵はかけていますし、誰か入ってくれば必ずわかる! なにより一瞬で消えたので、生きている人とは思えません! 見てしまった! 見たらアカン人を見てしまった!
でも昼間だったし、コワイ感じもしませんでした。亡くなってフラフラ外を散歩していたおじさんが、新しく引っ越してきた住人を見にきたのかな? そう思った。夫はそういう不思議なことを信じないタイプですし、言うと気持ち悪がるだろうと思って、黙っていました。そしてその後におじさんを見ることは、二度とありませんでした。お散歩中の通りがかりだったのかもしれない(ただし、生きてる人じゃない)。
ここまで書いてまた別の話を思い出したので、書かせてもらってもいいですか?
上記の夫と別の夫(わたしはバツ2)と暮らしていた頃、家を買おうという話になりました。どういう流れだったか忘れましたけれど、わたしの発案で中古の「精神的瑕疵物件」を見てまわっていた。安いんですよ……。精神的瑕疵物件は……。
夫はそういうの(物件で誰か亡くなったとか、事件があった)を気にする人じゃなかったので、不動産屋さんにお願いして精神的瑕疵物件を見てまわっていました。せっかくなので担当さまにあれこれ話を聞いて、取材もしていた。当時はお話を書くようになるなんて夢にも思っていなかったのですけれど、その頃からすでに取材はしていました。たんに知りたがりなだけです。
その中で、ほほぅ!と思ったことをシェアします。
その頃すでに精神的瑕疵物件は告知義務がありましたけれど、できれば言わずにおきたい……という不動産屋さんは多いです。だって「この家で亡くなった方がいるのです」なんて、できれば言いたくない。言えば一気に家の価値が下がりますから。でも告知義務があるので、言わないといけない。すると、どうなるか? 限りなくマイルドに、ボカした表現になるのです。「この家で誰か亡くなったそうですけれど、どういう経緯で亡くなったかよく知らない」とか「高齢の方が老衰で亡くなったと聞いている」とか。法律の詳しい内容は忘れてしまいましたけれど、告知義務は前の住人に関してだったと記憶しています(違ってたら、すみません)。その家で誰か亡くなって次の住人に物件を売る時は、前の住人がこの家で亡くなったと言わなければならない。隠して売ると、法律違反になる。けれども前の前の住人が亡くなったということは、知っていても言わなくて良かったはず(たぶん)。
当時はその辺の法律をお勉強して、家探しをしていました。不動産屋さんにはダイレクトに「精神的瑕疵物件を探しています。ご紹介ください」そうお願いしていた。その中である担当さまが教えてくださいました。いつか何かのお役に立つかもしれませんから、ここでシェアします。
担当:僕たち不動産業は、言わずにすむ家の短所は言いません。精神的瑕疵物件は告知義務があるからお伝えしますけど、それだって100%正直には言わないです。そして告知義務がない他の短所は、言わないです。
ソウ:他の短所? たとえば?
担当:隣の家にとんでもない住人がいて近隣トラブルになって家を売りに出したとしても、それは告知する義務はありません。だから知っていても、言いません。
ソウ:それは困りますね! 知らずに引っ越したら、えらいこっちゃ!
担当:そうでしょう? でも僕たちは、言いませんよ。損することは言いたくないですから。
ソウ:なんとか回避する方法はありませんか?
ここからが大事です! ぜひおぼえておいてください!!
担当:不動産屋の言うことだけで、家を買ってはいけません。僕たちは良いところしか言いませんからね! 悪いところは言わないです! ですから本当のことを知りたい場合は、自分で調べたほうがいいです。近所の家を訪ねてまわって「あの家を買おうと思うのですけれど、あの家について教えてください」そう聞いてまわるのは大事ですよ! ご近所さんはちゃんと知っていますから!
貴重なアドバイスをありがとうございます! 肝に銘じて家を探します!!
親切な担当さまの持っている物件は間取りが希望と違っていたり、立地が不便だったりしたので難航しました。そうこうしているうちに、精神的瑕疵物件を専門に取り扱う業者さんを見つけた! その道のプロです! ぜひお会いして話を聞いてみたい!(← 家探しという本来の目的からズレている)
電話でお願いをして、いくつかの物件を見せてもらえることになりました。普段なら会えない業種の方に会える! ワクワクしながら約束の場所へ行くと……、
ものすごくヤクザっぽい男性がいらっしゃいました。目つきがただ者じゃない! いくつもの修羅場をくぐってきた目です! そして乗っている車も服装も派手! いかにも高そうなネックレスや時計がジャラジャラいってる! お会いできて光栄です! 今日はよろしくお願いします!
2軒ほど見せてもらったのですけれど、やっぱり間取りが築年数が希望とちがう。一緒に行動するうちにヤクザさんも心を開いてくださって、アレコレ話をしてくださるようになりました。でも3軒目の家に関しては、異常に口が重い。誰か亡くなったのは確実らしいが「俺は詳しく知らない」の一点張り! どうにかこうにか聞きだせたのは、どうやら若い男性の自殺者が出た家らしい。でもどうやって自殺したかは教えてもらえませんでした。焼身自殺などだと家の構造がいたむのでそれも心配だったのですけれど「家の構造に問題はない!」そう断言されたので、燃えたとか水漏れとかはないらしい……。
わたしのエッセイをずっと読んでくださっているお馴染みさまはご存じでしょうけれど、わたし、自殺に関してはかなり大らかな受け止め方をするタイプです(苦笑)。ほら、色々とあったから(苦笑)。「死にたかったのなら、しょうがないよねぇ……。」そういう考え方です。ですから自殺者の出た家は、ぜんぜんOK! 気にしません!
そして案内された家は、素晴らしくキレイなおうちでした! 立地もバツグン! 閑静な住宅街に立つ真新しくて素敵なおうち! お若い男性の方が一人で暮らしていたのは、たった1か月間だけらしい。そしてお料理をしない方だったので、最新式のキッチンはほとんど使われていない! ほかのお部屋も使った形跡がありません! お仕事で忙しくて、家では寝るだけだったらしい。
しかも値段はその辺りの新築物件の相場の半額以下! 安い! その頃にはヤクザさんと冗談の一つも言い合えるようになっていたので、わたしは切り出しました。
ソウ:あと300万円安くなりませんか?
ヤク:無理! 今だって赤字なんだから!
ソウ:そこをなんとか! もうすぐクリスマスです。わたしへのクリスマスプレゼントだと思って、300万円安くしてください!
ヤク:ブハハハハ! クリスマスプレゼント!? 意味わかんねぇよ! わかったよ! いいよ!ww
ソウ:やった! ありがとうございます!
そしてわたしはヤクザさんに言いました。
ソウ:ちょっと近所の方々にお話を聞いてみたいので、今日はここで失礼してもいいですか?
するとヤクザさんは真面目な顔になりました。
ヤク:うん。そうしたほうが良いと思う。ちゃんと聞いときな。俺は帰るわ。
ソウ:ありがとうございます。
閑静な住宅街なので、どこも立派で素敵なおうちです。わたしはチャイムを押して数軒のおうちへ突撃しました。どこのおうちも親切な方ばかりで、わたしが家を買うかもしれないと言うと、玄関に出てきてお話をしてくださいました(その節は、ありがとうございました)。
お話を聞く中で、家のどこで自死なさったのかは知ることができました。場所の詳細は伏せますけれど、そこもすごくキレイだった。痕跡は一つも残っていなかった。
けれどもどなたも方法になると、固く口を閉ざします。どういう方法で実行したのか聞いても「それは、ちょっと……」と教えてくださらない。こうなってくると、是が非でも知りたい。 今日はわかるまで帰らない。 そう思って次のお宅へ行きました。 次のおうちは若いご主人が出てきてくださいました。小さなお子さんもいっしょに出てきてくれたけれど、話の内容がアレなのでママがお子さんを連れて家の中へ戻っていった。ご主人と玄関先でお話をしました。教えてくださった内容は、すでに聞いたお話ばかりです。家を買うからには、前の方がどういう方法で亡くなられたのか知りたい、ぜひ教えてほしいとお願いしまいた。
ご主人:ぜひ知りたいとおっしゃる気持ちはわかります。
ソウ :お願いします。教えてください。
ご主人:でも……。
ソウ :住むとしたら、納得した上で住みたいです。お願いします。
ご主人:僕の口から具体的な方法は言いたくないです。ただ……。
ソウ :ただ?
ご主人:あれは、ひどかった。そしてもし僕なら、あの家は買いません。
ソウ :………………。
お礼を言って辞去しました。そして夫と話し合いました。精神的瑕疵は気にならないけれど、どういう方法だったか言えないところを見ると、よほど……だったらしい。そういう家でずっと方法を考えていたら、ろくなことにならないと思う。たぶんわたしは病むでしょう。申し訳ないと思いつつ、ヤクザさんにお断りとお詫びの電話をしました。ヤクザさんは断られるのに慣れたようすで「はいはい、わかった。 縁があったら、またな!」そう言ってくださいました。
いまだにどういう方法だったのかは、わかりません。でも世の中には、知らなくていいこともあると思います。
そしてこのおうちを買った方を、ひょんなことで後で知ることになります。田舎なので、すぐにウワサが広まるのです。誰が買ったかというとですね……、
めっちゃ陽気なブラジル人のご家族がお買いになったそうです☆ そういうの、ぜんぜん気にしてないらしい! そして可愛いお子さんたちが楽しそうに、ドタバタと家じゅうを走り回っているそうです! 週末には仲間を呼んで、底抜けに明るいパーティーが繰り広げられるそうです☆ きっと亡くなられた方も、幸せなご家族を見て喜んでいると思います。どうぞ成仏してください!! 心からご冥福をお祈りいたします。