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ルポライターの仕事  作者: みやもり
8/25

事務所の風景

 翌週明け、今日は事務作業をする日だから、ひとまず事務所に出社しよう。

「おはようございまーす」

「あ、あおはようございます」

 牧野さんは何故かたまに俺におびえている。すごく悲しい。

「今日は1日事務所ですか?」

「うん、その予定です」

「じゃあ、お茶入れますね」

 え、じゃあって言った?もし「半日です」とかだったら、お茶もらえなかったのかな。少ししょんぼりしていると

「前の週末、居酒屋さんにいましたよね」

 と聞いてきた。おお、いたいた。「牧野さんもよく行くんですか?」と聞くと、

「私はカウンターによくいますよ。今度ご一緒させてください!」

 となんか急に勢いついてきた。ほんと読めない、この子。「そうだね!課長も連れて行こうか」と伝えるとなんかすごく喜んでいた。この地域の女性は、みな素直に喜ぶ。

「飲みに行く友達も全然いないものですから」

 そういって、パタパタとお茶くみに行った。うーん、近い世代が多くないって、結構大変なのかね。

 そんなやり取りの後、事務所に電話がかかってきた。「はい、杉浦堂出版です。」いうや否や

「お忙しいところすみません、そちらに在籍されている西野さんにお伺いしたいことがあるのですが、今いらっしゃいますか?」

 電話口は女性だ。そして要件は俺宛。なんだろう。「はい、私が西野ですが…」すると

「なんだよー出たときに名前まで名乗れよ!」

 といつもの調子でしゃべりだした。こりゃ駄菓子屋か。かしこまってしゃべれるんだな。

「どうしましたー?今仕事中なんですが」

「職場にかけてるんだから仕事の話に決まってんじゃん!今日商工会の会議みたいなやつやるけど、遊びに来るかい?」

 なるほど。商工会の人たちが介する場に招待してもらえるのか。

「それはありがたいっす。何時からですか?まさか飲み会じゃないよな…?」

「ちゃんとした会議…だと思うよ!昼間だよ!2時から。場所はうちなんだけど…」

 知った場所ならなおありがたい。「じゃあ、お邪魔させてもらいます。よろしくね」

 はいよーばいばーいと言って電話が切れた。なんともありがたい話だ。とりあえず牧野さんに

「すみません、今日は午後から外出です」と伝えると、牧野さんは残念そうな顔をして、牧野さん分と課長のお茶だけ持ってきた。マジでお茶もらえないんかい。そのあと

「私も行きたい」

 と課長に駄々をこねていた牧野さんも、同行になった。


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