町の人たち
1時間後、3人娘が再登場した。いやあ、なかなか素晴らしい。
「へ、変じゃないかしら?」
「よく似合ってるぞ。」
駄菓子屋にそう伝えると、照れくさそうに
「当たり前でしょ!」
と笑っていた。カフェちゃんも牧野さんもその光景を微笑んで見ていた。なんだよちくしょう。
「かなさんも牧野さんもめちゃくちゃ似合ってますよ!」
横で佐山がいう。こいつは本当にできた息子だ。
「みんな揃ってお似合いですよ」
そういいなおして、みんなで神社への階段を上った。
神社に上がると、町の人たちでにぎわっていた。屋台には居酒屋が汗をぬぐいながらガヤガヤと盛り上げていた。テント側に何人かお手伝いさんがいるが、「毎年のことなんだが、祭りに遊びに来たついでに店側に立ってもらえるんだ。まあみんなうちの常連だしな」
はえー。ここにも絵にかいたような町の良さが。
豆腐屋のおじさんにも挨拶がてら改めて話を聞こう。
「おじさん、豆乳の飲み物おいしいですよ」
そういうと
「当たり前じゃ。うちは豆腐がうまい。豆乳がうまいのも当たり前じゃな」
ふぉふぉと笑いながら
「今年の祭りは例年以上に人が良く来とる。人が良く笑っとるよ」
「それはうれしい限りですね」
「来年もこの日が待ち遠しいよ。まだまだ死ねないな」
このおじさんは長生きするだろうな。ストレスがないのと、楽しみがあるのが一番の生きる気力だな。
町の人たちから「あなたが東京からきた記者の人か」とガヤガヤと取り囲まれたり、お酒を注いでもらったり、いろいろな人から労われ、歓迎された。携われてよかったと心から思った。
それからしばらく、テント側で手伝ったり、佐山とビールを飲んだり写真を撮って回ったりと満喫しながら日も沈むころになってきた、
「今年の祭りもそろそろおしまいね」
どこからともなく現れた駄菓子屋が名残惜しそうに尋ねてくる。
「そうだな。楽しかったぞ」
「それはそれは。こちらこそ、ありがとうね。そろそろ花火が上がるわ」
そういえば最後に花火が上がるんだったな。佐山に声をかけようといるほうを向いたが、睨まれて手を払う動作をしてどこかへ行ってしまった。酔ったのか?
「さ、グランドフィナーレよ!」