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新人君  作者: くらいいんぐ
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第五話 ハッピータイム

部長が朝礼で発言した。

「ちょっと、明日から皆さんでやっていただきたいことがあります。」


部長は新人君の提案した発表の場を設けるという内容を話した。

社員の反応は、なんで?、めんどくさいといったところだった。

しかし、部長の命令でもあり、部長も参加するということだったので、仕方なかった。


「じゃあ、明日から宜しくお願いします。」


そして翌日。

朝、朝礼での報告が終わると、部長が切出した。

「昨日の件、私から発表したいと思います。」


「実は私事なのですが、ゴルフをやっています。そして先日、結婚記念日で妻が私の欲しかったクラブを購入し、プレゼントしてくれました。今週末ゴルフに行くんですが、嬉しくて、毎日そのクラブを磨いています。早くこのクラブでコースをまわりたいです。」


順番は次へ次へと進んでいく。


課長は、子供の音楽会で子供が歌ってる姿に感動した話。

中堅の先輩は、朝からジョギングで5キロ走ってとても気持ちいい、またそれはずっと続けていること。


その他、面白いゲームを見つけたとか、車で通勤中に割り込みしようとしても入れない車を入れてあげたとか。


新人たちも好きな漫画の新刊がが先日発売されたとか、宝くじを買ったので当たりそうでわくわくしてるとか。


意外と素直にみんな発言していった。

そして、最後は新人君の番だった。


「ええ私は、面白い夢を見ることができました。」


振り込み詐欺にあった老人が、お金を貸してほしいというので、いくら欲しいか聞くと100万円だと言う。

仕方ないから、銀行に100万円おろしに行ったら、張り紙に「振り込んじゃった詐欺にご注意!」と書かれていた。

あ、これってと思っていたら、まさにその老人が、振り込んじゃったからお金貸して詐欺の人だった。


その老人にはお金を渡すことなく、ホッとしていたら、次の日、その銀行の張り紙がまた変わっていた。

「振り込んじゃった詐欺を捕まえる刑事を装う詐欺に注意!」


そういえば昨日の刑事が、とりあえず100万円をおとり捜査に使うので預けて下さいと言っていたな。

今そのお金をおろそうとしていた、危ない危ない。


そして次の日、何の用事もなかったが、銀行に行ってみた。

すると張り紙には「もうネタが思いつかないので、新しい詐欺師募集!」となんか求めてる張り紙になっていた。


しかも賞金が100万円だった。


「とんちのような夢で楽しかったです。」


この話を淡々とするものだから、まわりはバカらしくて笑いをこらえている人もいた。


こうして、ハッピータイムの一日目は終わった。


社員たちは無意識のうちに、気持ちが前向きになっているのを気づいてはいなかった。

そして、このポジティブな情報の共有こそが、コミュニケーションの始まりだったのである。


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