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新人君  作者: くらいいんぐ
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第一話 新人君現る

とあるソフトウェアハウスの新人研修会の発表会。

ホワイトボードには、A~Dグループの名前が書かれている。

総務部の部長が言う。

「みなさん、2週間にわたる研修期間はどうでしたか。社会人になって最初の仕事です。みなさんがこの2週間で学んだことを生かして、グループごとに発表して下さい。」

それは、会社でどんなもの(ソフト)を作りたいかという企画発表だった。

「それでは、Aグループ。グループ名は『アドレナリン』。どうぞ。」

「はい、私たちはこんなソフトを紹介します。」

それは、会社の残業代を体力インジゲーターで換算するというものだった。

キーボードを打った回数、マウスの軌跡を計算して、あなたはこれだけ仕事をしていますよと表示する。

常にパソコンの脇にインジゲータ―(棒グラフのようなもの)があり、パソコンの使用度によって増えていくというものだった。

「これだとおじさんはキツイな。。でも実力主義という意味ではいいですね。」

「次に、Bグループの『Big Piece』。」

「私たちは、世界の子供たちが学べる環境を考えます。」

それは、映像チャットをリアル翻訳する機能だった。

世界の受けたい授業をリアル翻訳付きで映像配信することによって、世界の誰でも好きな授業を受けられるというもの。

しかも、さらにランキングをつけて、人気の先生を日々更新していく。

「グローバルというか、でかすぎるというか。。それを実現できる技術を身に付けましょう。」

「それでは、Cグループのん?何て読むんだ・・?」


「『L’amore e tutto』ラモレトゥット。愛がすべてという意味です。」

「私たちラモレトゥットは、愛のお届け人です。」

告白を代行するというものだった。

日時と場所を指定すれば、プレゼントとビデオレター(前もって撮影)を選出して相手に伝える。

告白には、友達、彼女、結婚と3段階あって選べるらしい。

里親への感謝の言葉代行プランもオプションであるみたいだ。

「まあ結婚や感謝の言葉は、自分で言いましょうね。次、最後の『少年よ、大志を抱け。サラリーマンよ、大金を抱け。』グループ。」

「はい、私たちは、これからはバーチャルの時代だと考えています。」

「今だに各国では、戦争や争いが続いています。それを人と人の争いではなく、ロボット対ロボットで決着をつけるのです。戦地に行くのはロボットです。そのためのソフトを作るのです。人の血は流しません。」

この男こそ、期待の新人君だった。

会社の入社試験でトップの成績をとり、上役の間でも話題の新人君だ。

「う~ん、もうちょっと世間を知った方がいいかもね。」

「まあ、さまざまな企画があって、とても面白いと思います。その自由な発想を忘れないで下さい。」

総務部長はそう言うと、研修の終わりを告げた。

みんな、研修の終わりを聞いて、ワイワイと騒いでいたが、期待の新人君だけは違っていた。

窓の外で桜の花びらが散るのを静かに見ていた。


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