【なぞなぞ1】魔王ちゃん、いじられる
今作は会話劇となぞなぞを楽しむ読み物です。
なお、なぞなぞは小説の後半にございます。
ここは魔王城。魔王の住居であり、魔王軍の本拠地である。
現魔王は女性初、しかも9歳の若さで即位した魔王である。
その幼くて可愛らしい容姿から、部下は親しみを込めて「魔王ちゃん」と呼んでいる。
さて、そんな年頃の魔王ちゃんにも悩みがある。
それは……『アレ』を持て余しているということ。
「ひまじゃー!」
魔王ちゃんは自室のベッドの上に寝そべり、手足をばたばたさせて叫んだ。
そう……魔王ちゃんはめっちゃ『暇』を持て余していた。
「勇者はいつになったら魔王城に来るのだ。さすがに暇だぞ……そうだ、使い魔を呼んで暇をつぶそう! ラムザー! ちょっと我の部屋に来て――」
「お呼びですか、魔王ちゃん」
「ひゃあっ!? い、いきなり転移魔法で現れるでない! びっくりするだろうが、ばかたれ!」
ラムザは「失礼しました」と謝罪した。
ラムザは黒猫の姿をしている使い魔だ。主に魔王ちゃんの話し相手をして生活をしている。
ちなみに補助魔法は得意だが、肉弾戦は苦手である。
「それにしても……魔王ちゃんの驚いた声、可愛いですね」
「うぐっ。つい素がでてしまったのじゃ……」
「普段は「若い魔王はナメられる!」と言って、一人称を『我』にしたり、語尾に『じゃ』をつけたりして、頑張って威厳だしているのに……『ひゃあっ!?』って。にゃはー、魔王の威厳ゼロww」
「おい。あまり我をいじるとクビにするぞ」
「クビとか言いつつ、私との『アレ』なしでは生きていけない体のくせに」
「普通に『暇つぶしのおしゃべり』と言え! 『アレ』だとなんか意味深じゃろ!」
「さぁ! 早く私の『アレ』をくださいと懇願しなさい! この豚が!」
「いや魔王! 我、魔王じゃから! 王を豚呼ばわりするのダメじゃよねぇ!?」
「どうかお許しください。私の生きがいは、魔王ちゃんを全力でいじり倒すことなのです」
「目を輝かせて言うことか!」
「まぁまぁ。そう怒らないでください。そういえば、何か要件があったのでは?」
「おお、そうであった。ラムザよ、我は暇じゃ。何か暇をつぶせる方法を考えよ」
「ちっ、めんどくせぇ……」
「おい! 聞こえておるぞ!」
「ひゃあっ!? 魔王ちゃんが怒ったぁ! ひゃあっ!? 怖いよぅ!」
「すぐいじる! お主、すぐいじるではないか!」
「当たり前ですよ。何故なら私の生きがいは―― 」
「我を全力でいじることじゃろ! さっき聞いたわ、ばかたれ!」
「失礼しました。暇潰しがしたいのでしたね。なぞなぞはどうでしょうか?」
「言葉遊びのとんちクイズか。人間の遊びじゃな。面白い。ラムザよ、一つ問題を出してみよ」
「では、問題です。パンはパンでも、食べられないパンはなーんだ?」
「『鉄板』じゃろ。ふん、暇つぶしにもならんわ」
「お見事、正解です。今のは易しすぎましたね。では、次の問題は難易度をドン引きするほど上げます」
「かかってこい――って、ドン引きするほど上げるの!? 」
「では、問題です」
【なぞなぞ1】
『犯人はこの中にいる!』
名探偵まおーちゃんは、慎ましい胸を張って、偉そうにそう言った。
貧乳のまおーちゃんの前には、A~Dの四つの物体が置いてあった。
Aの物体は、謎の甲冑。見ただけでは、中に人が入っているかどうか確認はできない。
Bの物体は、謎の着ぐるみ。こちらも見ただけでは判別できない。
Cの物体は、謎の球体。人が中にいてもおかしくはない大きさだが、中の様子は確認できない。
Dの物体は、謎の箱。人は入れそうだが、例によって中は確認できない。
さて、ロリまおーちゃんは、どの物体に犯人が隠れていると推理したのでしょうか?
つるぺた☆ろり~ん。
「問題文の悪意がすごい! 繊細な我、ちょっと傷ついた!」
「さあ、魔王ちゃん。早く答えてください。 5、4、3…… 」
「制限時間みじかっ! ええい、カウントダウンするでない! えーっと、えーっとぉ……」
「さて、読者の皆様はもうわかりましたよね? なお、解答は次回本編の後書きに記載されています」
「お主、誰に話しかけておるのじゃ? とうとう頭がおかしくなったか……」
「読者です。私たちの会話を聞いている、不特定多数の者たちです。読者はなんでも知っています。その昔、魔王ちゃんが先代の魔王様におしりぺんぺんされて大泣きしたことも、 読者は全部知って―― 」
「ぎゃあああああ! 読者こわいよぉぉぉぉー!」
次話の後書きに【なぞなぞ1】の答えが書かれています!