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心の中にできたファンタジー世界は現実世界とつながっていた

俺は朱霊高校3年の八竜みこと。


全国に300社もある八竜神社総本社の宮司の息子。


大学は神道科のある大学に進む予定。


特に頭がいいわけでもないけど、大学のレベルは余裕で合格できる中堅大学だから勉強もロクにしていない。


大学卒業後は八竜神社を継がなきゃならないから、大学も自分で決めたわけじゃないし、就職も決められたもの。


ただ、毎日を淡々と過ごしているだけだ。実につまらない。


つまらない毎日だが悩みはない。テストだって良い点を取らなきゃならなきゃいけないわけでもないし、就職難の荒波を渡り歩く必要もない。神社は無くならないからね。公務員より安定した職業さ。


悩みはないが、友達がいない。


小さいころからみんなが見えないものが見えていた。


幼なかった俺が「あ、おじさんこんにちわ」なんて誰もいないところに話しかけてしまうもんだから、周りの人はドン引き。


小学校から現実世界に友達と呼べる存在は1人もいなかった。


うるさい幼馴染が1人だけ。


俺の話し相手はいつも過去の人達だ。



俺の親は小さいころから修業を強要する。


やれ滝業だ


やれ山を登れ


祝詞のりとは奏上したのか


休みの日は全国の神社をすべて回れと。


「徳を積め」が親の口癖だ。


嫌いじゃなかった。初めのころは霊が見えるだけだったが、


今となれば話したり一緒にさんぽできたりする。


誰よりも友達多いんじゃないかって思うくらいで楽しいんだけどな。



そして、2019年7月7日。日曜日。


東京の蛇ナダ神社という白蛇、龍神を祀る神社へお参りに行った。


道には迷わなかった。道端で知り合った少年が道案内してくれたので。


神社へ着くと少年はすーっと消えてしまった。


成仏というやつだ。


神社に来ただけで成仏できた人を今まで見たことがなかった。


不思議の思いつつも、蛇神さま、龍神さまに手を合わせた。


そして、心が現れ、秋ということもあり、いつも以上に気持ちががれバレしていたので

遠回りして帰ることにした。



夕焼けのキレイな坂のてっぺんでオレンジ色の町を眺めていた。


その時だ


―「目を閉じて。心の中に入って。」


どこからともなく声が聞こえた。


周りには人はいない。


―幽霊も。


いつも神社へ行くと、社殿の波長に自分の心の波長を合わせて、神様に祝詞を奏上してきた。


でも、心の中にはいるとはなんだろう。


言われるがまま、ゆっくりと目を閉じ、自分の心の中を観た。


真っ暗闇の中に浮かぶ青い球体。


始めてみたその球体に触れた。


目の前が真っ暗になり、目を開けると


周り一面黄金のススキ畑。


「ここはどこだ!僕はおかしくなっちゃったのか?」


―叫んだ。


―グルル


変な鳴き声が聞こえた。


小さい。


うん、小さいけど


竜だ。


「えーーーーー」


逃げる俺。


追いかける龍。


戦えっていうのか?てかココどこだよ。


夢?


現実と異世界の区別がつかなくなっちまったか。


漫画やゲームをやりすぎて頭おかしくなっちゃったのか?


だめだ、目を覚まさなきゃ。早く!


―ドスン


「いたいっ」


個体?この竜はホンモノ?


冷静になれ。俺は何百もの漫画、アニメ、ゲームを見てきたオタクのプロだぞ!


魔法だ、こういう時は魔法でババーンってやっつけりゃいいんだろ。


腕を振り上げて、相手に掌を向けて・・・・・・


「ふぁいやー」


でるわけない。


竜の猛攻を避けるだけで精いっぱい。


龍の爪が俺の体を切り裂く。


だめだ。死ぬ。


・・・・・・


―「よくおいでデ 勇者サン♪」


僕の目の前に現れた男はマジシャンのような風貌に大鎌を持った胡散臭いオッサン。


「だれ、助けて 助けて」


「なんて弱い勇者なんでしょう、マ、勇者も初めは最弱なんですかねぇ」


「いいデショウ、この世界で生き延びるなら、コレくらいはしてクダサイ」


―「ドラグフレイム」


竜は消えていった。血も流さずに蒸発するかのようにゆっくりと。


そういえば、俺、さっきケガしたはずなのに、体の傷口から血が出ていない。痛いのに。


「不思議ですか?」


「そりゃそうだよ。夢だよね、なんで覚めないの」


「現実世界デスよ」


「こんな竜が出てきたり魔法を使えるオッサンがいたりするファンタジーみたいな世界が現実世界なわけないでしょ」


「心の世界は初めてなんデスね」


「心の世界?」


「心世界デス」


「なんだよそれ」


「ここでのあなたの姿は、あなたの霊体デス。」


「ここの世界にいる人たちは、あなたの言う現実世界にいる人たちですよ。」


「どういうこと?」


「現実世界の人の中には、意識してこの世界に来る人もイマス」

「でも、意識していなくてもこの世界で独立して生活しているイマス」

「つまり、ここの世界の最低人口は、あなたの言う現実世界の住民と同じ人口なんデス」


「パラレルワールドみたいなこと?でも、さっきの竜は?」


「八百万の神という言葉はご存知デスか?」


「神社の息子ナメんな」


「神社の息子なんデスか」

「あらゆるものに命は存在してイマス」

「木々や昆虫にも」

「ここにいる邪獣や邪龍なんてのは、人や動物の悪い気から生まれたモノたちでデス」


「じゃあ、現実世界の人口プラス悪い気で生まれたモノたちが人口?すごい数じゃん」


「ハイ。だから、今みたいに邪者じゃしゃを倒すと、あなたの言う現実世界の邪の気が消えたってkトですネ」


「僕が死んだら?」


「死にますネ」


「はやく現実世界にもどしてよ」


「いいですよ、目を閉じて、外の世界に入って下さい。かんたんでしょ、あなたは」


「わかった、帰るわ、もう来ないから、さっきはサンキューな。」


「お待ちしてマスよ、きっと戻ってくるでショウ」


「じゃあな」










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