計略と不安と温もりと......
本日二回目
よろしくお願いします
ストロベリーレッドの髪が太陽の光に反射されて、少し神々しい感じがする。
まあ、さすが傾国の美小女ていうところだ、その証拠に私の実の兄が頬を赤くし固まっている。
「セレナ......」
そう、出てきなのは今私が一番会いたくない頭のいい性悪女。そして彼女も私に気づき、前回と同様に影で不気味な笑顔をしている。
「先に部屋に戻ってお茶をしよう。」
「え、ええ、あ、あの、その、ごきげんよう、エモリア様」
まあ、何ということでしょう。
男は家族にでさえ見せない優しい顔で女を見て、女は私を本当に恐れてるかのように男の胸の中へ顔を隠そうとする。なんですかこれ、どっかの月九ですか?
「ケレンドル公爵令嬢、一つお聞きしたいことだあるのですが、宜しいでしょうか?」
「エモリア!」
「姉さん!」
「え、あ、はい」
「先日はレオール様達とご一緒にお見舞いに来てありがとうございます。そしてその時私の専属のメイドがお世話になったと。単刀直入に聞きますわ、どうして私のメイドが不敬罪になったと。詳しい話を聞かせてもらいます?」
聞かせて、その醜い欲望のためにした事を、そしてあなたはどんな言い訳をするのだと。
「な、躾がなってないぞ、早く謝れ。」
「エルドア様は先に帰っていいですわ、私はケレンドル公爵令嬢と話がしたいのです。もしケレンドル公爵令嬢が私に本当に虐められる事を恐れているのでしたらここでお茶をしながら話しましょう。」
あなたが苦手のハーブティーでね。
「姉さんそれは、「いいですわね、」」
「え、セレナ?」
「いいですわ、私も一度はエモリア様とお話がしてみたいのです。」
「では、座りましょう」
「いいえ、ここでいいです。エモリア様、残念な事にあなたのメイドは私に手を上げた挙げ句レオール様を罵倒しました。」
は?何言ってるの?
「ほう、罵倒とは?」
「実話その時私はメイドに叩かれショックを受けてましたのであまり覚えてないのですが、レオール様達によりますとレオール様が婚約者を置いといて私と一緒にいることが許せないと彼女のご主人様に何度も聞いていて。同時に彼女は私達がエルドア様に招待されてメリエード伯爵邸に遊びに来てるのを見て、私とレオール様の関係を誤解したのだと。」
は?ふざけないで!?
確かに私はリチェルに何度もレオール様の愚痴をこぼしたよ、手紙で。
でもメイドに叩かれる?それじゃあ証拠は?お医者さんぐらい行ったんですよね。
それに......
「本当に残念ですわ、私は彼女が淹れたハーブティーが大好きだったのに。」
え?
「そうでしたかケレンドル公爵令嬢、ですがあの時のハーブパティーサンドもどうでしたか?」
ハーブパティーサンド?それってお母様の一番得意な料理だ。
でも彼女は食べたの?
「ええ、それはそれは美味でございましたわ。」
「嘘よ、」
「え?姉さんさっきなにか?」
「嘘よ、だって!」
は!
一瞬頭の中にとある結論が浮かび上がった。
これは、本当にやばいかも。
「どうされたのですか、エモリア様?」
さっきまで可憐に笑ってた顔が、私に向いた途端軽蔑的な目で不気味に笑ってる。
そう、今私は試されてるのだ。
多分彼女は自分が全種類ではないがハーブアレルギーだとしっている。そして私が転生者だという可能性に気づいてた。
だから彼女はリチェルを使って私に言わせたいんだ、「彼女はハーブアレルギーだ」と。
もしかしたら彼女はとっくにアレルギーを克服してるか、誤って食べても大丈夫のような薬を飲んでるかも知れない。そして彼女は最後にまた傷ついた顔で攻略者達に“チクる”のでしょう。
「......嘘ですわ、私のメイドは、リチェルはこんな事しません!」
ごめんなさいリチェル、今回だけは許して。
「え?嘘、どうして?」
ああ、本当に思った通りなのですね。
「ケレンドル公爵令嬢?」
「セレナ?」
「え、いいえ、何も」
「絶対に何かの間違いです、彼女はこういう事をする人ではありません。もう一度、もう一度だけ思い出してください!」
いやあ~前世のお母さんが昼ドラや復讐劇が大好きで、たまに私を引きずって見ていた事に感謝しますわ。
そしてもう少し、もう少し演技したらセレナに転生者だという疑いが晴れます。その時までの辛抱ですわ。
「エモリア!」
なんですの、まだ演技の途中ですのに
そしてリビングの入口に立っていたのは何年も私の名前を呼ぼうともしなかったこの国の第三王子、レオール様。
ふ、そういうことでしたか、どおりで冷静さを取り戻したのですね。
「エモリア・メリエード、僕は今あなたの婚約者として命令する。今から部屋に戻って先程セレナ・ケレンドル公爵令嬢に対する無礼を深く反省しろ。」
それは私の婚約者としてですか?それともセレナを愛する一人の男としてですか?
「レオール様、」
「これはレナレード王国の第三王子としての命令でもある。」
「......そうでしたの、ですが最後に聞かせてください、私のメイドは本当にセレナさんを傷つき、レオール様達に失礼な真似をしたのですか?」
「何だ、婚約者の僕の言うことが信じられないとでも?」
ええ、そうですよ。
「いいえ、ただもう一度だけ確かめたかっただけですわ。そしてセレナさん、先程は失礼いたしまてすみませんでしたわ。
それでは皆さん、ごきげんよう。」
私は歯を食いしばり、もう一度彼らに背を向けて、毎日のように住んでる冷たい部屋へもう一度向かった。
さっきまでリビングを照らした太陽の光は今では雲に隠れ、私の冷たい部屋の温度は一気に下がっていく。
私は気づいたらドレスの裾を強く握っていて、離したらドレスの裾にくっきりとした跡が残り、汗ばんだ手のせいで濡れていた。
はあ、どうしよう、これはレントルス公爵邸からのお借り物なのに。
“コンコン”
誰、今は一人になりたいのに
「姉さん?」
はあ、エリティでしたか
「ごめんなさい、エリティ、一人にし「入りますね」」
「ちょっ、エリティ!」
「ごめんなさい、姉さん。でも姉さんがほっとけなくて。」
そうだ、エリティ最初っからこういう子だ。
「ありがとう、それとごめんね。」
ごめんね、家族なのに疑ってしまい。
そしてごめんね、こんなお姉ちゃんで。
「姉さんは悪くないよ。それとさっきこっそり兄様と話したんだけど、兄様はリチェルがケレンドル公爵令嬢を叩いて王子様に失礼な事をした場面は直接見ていないと言ってたよ。」
「え、それでは、」
「兄様は本当に何も知らないかもしれない。僕達は家族だから、大丈夫だよ、絶対に。」
そうだね、エリティ、以前の私もそう信じてた。
だけどこの世には自分の欲望の為に他人を嵌めたりドン底まで貶める人がいて、同時にその様な人に騙される権力を持っている人もいる。
そして騙された権力者は下のものに怯えられ、命令一つで下のものに大切な人を裏切らせる。
多分私もそうやって裏切られるのだと思う、まあ、時間の問題だけど。
「......さん、......姉さん、ねえ姉さん聞いてる?」
「え、ええ、」
「。。。。。」
「。。。。。」
“ガバッ”
え?
気づいたら私はエリティにギュッと抱っこされて、寒い部屋の中にある彼の温もりがとても心地よく、だけど心の何処かでこれは嘘だと言っている。
「ごめんね、姉さん。僕は今まで兄様にメリエード伯爵家と姉さんを託していた。多分兄様みたいな優秀な人がこの家と姉さんを守れるのだと。」
「。。。。。」
エリティ......
「だけどちがった、例え兄様が優秀な人でも家族と愛情に挟まれたら愛情を取り、家族を裏切る。
だから今日から僕がこの家と姉さん守る、だからもう悲しまないで、一人で抱え込まないで、姉さん。」
小さい頃からエリティは優しくて、芯が強い子供だった。
それなのに私のせいで15歳の彼に、まだ遊んでいい年頃なのに、こんな目をさせてしまい、こんな重い責任を負わせた挙げ句に彼を少しとはいえ疑ってしまった。
最低だ、私。
ああ、
まだいたんだ、私の周りに、私の味方が
「でも約束して、姉さん、断じて危ない事はしない、そして何か悲しいことがあれば一人で抱え込まないで。まだ僕達がいるよ。」
僕達?ああ、エリティとリチェルの事ですか。
太陽は地面の中に隠れ、まあるいお月さまが姿を現せた頃、私はベッドの上で今日起こった事や、今後の事を考えている。
ちなみに今日セレナとレオールはメリエード伯爵邸でディナーをお召しになるらしくて、私はさっきエリティが運んでくれた非常食を食べたばっかりだ。
はあ、今後どうしよう?
今の私は未来への期待は全然なく、あるのは自分の将来と大切な人達を傷つける事への不安。
どうしよう、彼からゲームの内容ぐらい聞いておけば良かったのに......
“コンコン”
また誰?
「はい、どうぞ。」
「。。。。。」
あれ?
“コンコンコンコン”
この音はドアからじゃない、窓からだ。
でも、どうして?
私は外を覗き、窓を開けるとそこには闇色の鳥がいた。
でもその鳥の左足首には見たことがある家紋かついた小さな楕円形状のチューブがあり、その鳥はずうっと右の翼でそこを指している。
外して、ということですか?
そしてそのチューブを外してみたらそこにはメモ帖みたいなことが書いていて、その内容を見た私は居ても立ってもいられず、もう皺だらけになったドレスを着たまま直接フードを被り大至急屋敷から飛び出した。
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