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この子を忘れてはいけません

本当は数日前に掲載したかったのですが予約掲載日を間違えて二週間後に設定してしまいました(本当にごめんなさい!!)


宜しくお願いします

“ドス、ドス!”


と、そんな副音声が聞こえる中眼の前にいる美少年二人の目は獣如くギラギラし、近づいてくる。


「あ、あの、ちょっ、ちょっと話しません......?」


「話す?誰を夫にするかについてですか?」


「いや、その」


「案ずるな、責任は取る」


ですからその責任自体面倒です!!


そうやってハニーゴールドの獣は私の左側に、暗色の獣は私の右側にベッタリと座り、私をどんだけ愛しているかとか未来の設計図とか体を少し震わせながら言う。




う~ん、そうですね、

もしこのような言葉がこういう状況以外で言われたら私はすこしときめいたと思う。

うん。

でもね、コレね、多分ね、酒に飲まれた例の先輩が言っていた『男はベッドの上で平気に嘘つく』というあれだ。


うん。

あれって確か生物的な欲望を満たすためにつく嘘で、そして女は嘘を信じてあらゆる惨劇が起こったとか..................







......先輩、色々ありがとうございました、そしていつかあなたに幸せが訪れるよう全力で祈ります。



「エモリア、聞いてる?」


「まさか僕たちが必死で告白してるのに、他の男を考えてたんじゃないよな。」


「いや、それは違いますが、」


思ってたのは男ではなく女です。



「へえ~それじゃあ誰かな?僕が分かりやすいよう詳しく説明してくださってもよろしいでしょうか?」


「そうだな、僕も君の婚約者として知る権利はある。」


「いや、それは、」

前世で色々不幸にあった先輩って言えない。


「ほう、じゃあ君の体に聞くしかないな。」


ええええ、一周回ってまたこれ??

やっぱり先輩は正しかった、不幸だと言って申し訳ございませんでした!!!!!!



「キャ!!」


「ほら、エモリア、いい子だ」


「です、から......やめ......」


「ふ~ん、でもそうには見えないな、」


「エモリア嬢、可愛い、離したくない、他の誰かに晒したくもない。」


そうやって両方側から聞こえる言葉は耳の鼓膜を溶かしそうで、私は流石豪華声優陣とか言う暇もなく意識を奪われそうになる。



ああ、私はここで彼らと関係を持ち、弱みを握られるのでしょうか?

そして、あの性悪女から自分自身の未来を勝ち取れないままここで終わるのでしょうか?



嫌、嫌ですわ、

それなのに、う、悪役令嬢は気安く涙をお見せしちゃならないのでしょう、それなのに、うううううう、



「エモリア......」


「エモリア嬢......」


気がついたら私の視界は湿気に溺れてて、その湿気から作られた塩分を含む水は現在の悔しさと簡単に流された自分への怒りを乗せている。


「エモリア、違う、僕は、」


「離して、」


「あの、エモリア嬢、」


私は悪役令嬢として、いいえ、普通の令嬢として軽率すぎた、

そう、最初っから相手がどれだけ好きな人と同じ顔と声をしてるとしても婚約者ではない殿方と気安くお茶会など、


ええ、私が何度もレントルス公爵庭に行っても悪い噂一つ浮かばなかったのはやはり翔さんがなにか手回ししたのに違い無い。


だから、


「私は貴方達の道具でも何でも無い、今すぐ離して、そして私をこれ以上怒らせないで。」


私はこれ以上私自身にがっかりしたくないの。




沈黙が部屋を満ち、眼の前にいる獣はようやく理性を取り戻したかのように私に布団を回す。


はあ、本当は今すぐ鎖を解いてもらいたいのですが、

今は何も言えませんわね。





“コンコン”


「なんだ、」


“コンコンコンコン”


ん?窓から音が......


“コンコンコンコンコンコンコンコン”


ペドルアは私から離れて窓の方へと向かい、安物王子は私を寒くしたくないともう一つの布団を回す。


いや、だから鎖を解いて、


「ん?なんだ、こいつ、鳥?」


え、鳥?


そしてペドルアが窓を開けた瞬間、一羽の闇色の鳥が金色の何かを口に食えながら部屋の中に飛んできた。


「なんだこれは!」


ま、まさか、


「闇ちゃん!?」


「は?」


そして闇ちゃんはあの安物王子のところへ行き、彼の頭を嘴で何度も突っついた。


「う、やめろ、何をする?!」


「闇ちゃんやめて!」

万が一何かあったらあなたは食べられる!!


闇ちゃんは私の言葉を理解したのか突っつくのをやめ、私の鎖を突っつき始めた。


「闇、ちゃん?」


「何だこの鳥は!」


「エモリア嬢、この鳥はなんですか?」

え?闇ちゃん本当に賢いし翔さんが飼ってた鳥だからついレントルス公爵家専用だと思ってた!


「あああ、その、」

やがて闇ちゃんはどんなに突っついても鎖は解けないと知り、キレイな闇色の羽をバサバサと広げ、部屋を一周回ったところで窓側に羽を休ませ、そして片羽を窓の方へと向けた。




これは、私たちに何か言いたいのですか?


「ねえ、闇ちゃん、これは、窓の方に何かあるの?」


“コクリ”


「エモリア?」


「エモリア嬢?」


「あ、あの、窓の方を見て「どうして入らせていただけないのですか??!」」




あ、この声は、


「もう!今日はペドルアとレオール様との大事な日なのに!!」




ああ、うん、もう何がどうなっているのか分かりましたわ、






ほんと、闇ちゃんは賢いですわね......









誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)

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