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忘れかけていた公式設定 (顔と声は同じなんだけど )

今更ですが15歳未満のお方はUターンすることをおすすめします。(特にこの回からは)


宜しくお願いします

久し振り来たレントルス公爵邸(別邸)は相変わらず敷地が大きく、迷子になりそうなぐらいだ。


だけど違うのは私の隣りでエスコートしてくれてる人が私の好きな人ではない事と、




「ん?どうされましたかエモリア嬢?」


「いいえ、なんでもございません。ですが相変わらず大きな屋敷ですわね。」


「え、ああ、すみません、以前うちのパーティーかお茶会に参加してましたでしょうか?」


“ツーン”


痛い、心が、痛い。


「え、ああ、いいえ、ただ友達から聞いただけですわ。」




そう、そしてこの屋敷には以前みたいな心地良さが感じられない事。




「......そうでしたか、ではお茶が終わってまだお時間がありましたらゆっくりご案内しますね。」


「あ、はい。」




ほんと、昨日街で「僕の家に来てください!!!」と言われた時は一瞬プロポーズされたのかと自惚れてしまい正直焦れましたがまさかお茶のお誘いでしたとは、



ああ、勿論お断りしようとはしましたよ、そう、私はあの誘惑的なお誘いを心にしてまで「もう日が遅いので後日また改めましてよろしいでしょうか?」と、断ろうとしたんですけど......


まさか翌日ペドルアが直々にレントルス公爵家御用達の豪華な馬車を使って向かいに来られて、


ええ、最終的にエーナと偶々遊びに来たエベルトン様に生暖かい目で見送られながらペドルアにエスコートされました。




うう、だって私はやっと翔さんから自立しようとしたのですよ、しかもペドルアは翔さんの声と姿で。勿論、ペドルアにはなんの罪がないのですが、ですがどうしてか私は彼を見るたびに心がドキドキして、でも彼が私に敬語を使ってくるたびに心が刃物に刺されたかのように痛くなる。




「付きましたよエモリア嬢、どうぞお入りください。」




エスコートされて入った部屋は客室用のサロンでもアフタヌーンティーを楽しむような空間でもなかった。


ただそこには女の子用の可愛くて大きいベッドと落ち着くような木造の家具が置いてある。


「こ、ここは......」


そう、ここは私がレントルス公爵邸で療養してた間に使わせてもらいながら翔さんと一緒に笑いながら過ごした思い出の場所。




でも、どうしてペドルアがここに私を連れてくるのでしょう?


もしかして、この世界の強制力が解けたとか!?




“バタン!!”


「ヒッ!」


びっくりした!




ですが私がドアの方向を見たら顔を黒くしてるペドルアがポーカーフェイスでドアの前に立っている。




「あ、あの、レントルス公爵令息?」


「。。。。。。。。」


なんか、怖い。




そこから何分経ったか、いや、もしかしたら何秒しか経っていなかったかもしれません。


“タッ”


ヒッ!


ど、どうして一歩前に来るのです?


そこで話しましょうよ!




「。。。。。。。。。」


「。。。。。。。。。。」

この人、

「。。。。。。。。。。」


「......あなたは誰なんですか?」


「。。。。。。。。。」


「レントルス公爵令息ですか、それとも......」


翔さんなのですか?




「さあ、どうでしょう。その前にエモリア嬢はこの部屋を見てどう思います?」


え、それは、その、


「す、素敵なお部屋ですわね。」


ほんと、教科書並みのお嬢様発言ですわ。


「そうでしょうか?僕が初めてここを見つけた時は正直この部屋を壊したかったです。」


「え?」


「僕はセレナ・ケレンドル公爵令嬢を愛してます。」


「ああ、やはりそうでしたか......」


うん、大丈夫、最初っから知っていたことでしょ、だから、


「ですが、いつも夢に出てくるのです。」


は、


「夢、ですか?」




“タッ”

気づいたらペドルアの顔は目と鼻の先にあり、私の右腕は彼に優しく掴まれていた。


いやいやいや近い、顔が近すぎです!


そう言いたいのだが彼の手から伝わってくる温度が私の右腕を通し頭を刺激し、それはまるで甘い毒を飲まされたように頭が回らなくなり、体も理性の叫びに答えられなくなっていく。



「僕はセレナを愛してるのに、それなのにどうしていつもあなたが出てくるのですか?」


「。。。。。。。。。。。。。。」


......え?


「大丈夫です、責任は取ります。


ですがこれはあなたのせいで起きたことです。」


“ドクンドクン”


「......い、いや、近すぎます。」


息が、息が顔に当たってる!!




「ねえ、エモリア嬢、あなたは一体誰なのですか?僕は、どうしたあなたを......」


 これは、翔さんが私を大切にしてるからと自惚れてもいいですか?


 そうでしたら、ちょっと、嬉しい......




“チュ”


「ヒヤッ!!」


私の首筋に降った突然のキスは麻痺された私の脳内を直接刺激し、体の力を強制的に抜かす。




「ダメですよエモリア嬢、眼の前に僕がいるのに僕以外のことに気を取られるなんて。


 ああ、やはりあなたは僕の家に来て永遠に僕の胸元で僕の事だけ思いながらとろけていればいい。」


「......は!」


おおっといけない、もう少しで持っていかれるとこだったわ!


それにしても、ペドルアさん、なんか変なスイッチ入ってません?


「そうだ、エモリア嬢はどこに住みたいですか?レントルス家の領地、それとも王都?」


なんということでしょう~


ペドルアの公式設定が『ヤンデレの幼馴染』だってすっかり忘れていましたわ~オホホホホホホ




それにしても、このタイミングでヤンデレスイッチオンですか!?






「だ、ダメです、私には婚約者がいるのですよ!」


「それはもう冷え切ったと、それにもう時期婚約破棄されるじゃないですか。」


「な、」


どうして私が婚約破棄されなければいけないのですか!


私だって婚約破棄をしようとお城へ向かったのですのよ、ただ門番さんが相変わらず入れてくれませんだけですもの。


うう、絶対に速く登城して国王陛下の前で婚約破棄させて見せますわ!!


  ああ、でもその前に、


「ですがセレナ・ケレンドル公爵令嬢はいかがなさるのですか?あなたはさっきも彼女を愛してると!」


「ち、」


え、


“カチャッ”


   ええええっ!!




   気づいたら私は太い鎖で手を縛られていた。


   そしてペドルアの顔は何故かパッと明るくなっていて、目がキラキラどころかギラギラ光っている。




   私は前世で色んなゲームをやってきた、だから私がもうすぐ監禁されるという危険ぐらい察知できる。監禁される理由はわからないけど現在最重要事項はこの危なっかしいフラグをどう折るかですわ!!




 「いや、ですからレントルスさん、これは、そのやばいんじゃ......」


 「やばい?フフ、僕は君に気持ちいいことをするだけだよ。


ああ、最初は少し痛いかもしれないからその時は僕の体を思う存分噛んで、そしたら僕、もっと頑張るから。」


これってなんの理屈!?


 「ですから......ん、」


 “チュッ”


 気づいたら闇色の髪を持つ少年の顔がドアップされて、数秒前まで瞑っていた目は突然と開き、目の中には独占欲の他に色んな感情が混ざっている。

 

 そんな彼にみつめられた私は一瞬何も考えられなくなり、そして数秒間彼と私以外の周りは真っ白く見えた。





 あれ?え、私今、彼にキスされてんじゃ......


 えええええ!!!



 「んん!んんんんんんんん!!!!!!」


 “プハッ!”


 「。。。。。。。。」


 「。。。。。。。。。」


 「......ねえ、」


 「え、ああ、はい!」


 何さっきのイケボ、うううう、私は生粋とした立花雄踏ファンなのに!!




 “ガバッ”


 あ、れ?


 なんか、変ですよ、


 この体勢、どうしてペドルアが私の上に乗っかっているの?


 いや、その前に私達いつからベッドの上に来たの??


その時私の小動物並み危険本能が緊急ベルを鳴らし、頭の中ではこの状況をどうやって改善するか考えながら背中には冷え汗がダラダラ流れていた。


「フフ、やっとできた、」


「あの、何するのですか、降りてください!」


「何って、君にここで泣いてもらって僕だけを永遠に思い続けながら僕は「あああああああああ!!いいです、もういいです!!」


 き、聞きたくない、ペドルアはともかく翔さんのイメージが壊れる!








 でも、これは何とかしないと、そう、こんな時こそ冷静になるのよ。




 “チュッ”


「離してください、」


 “チュッ”

「で、ですから、離して......」


自分に冷静になれと言い聞かせると裏腹に先程まで無視し続けた甘い熱は無視できなくなるほど身を蝕み、彼の少し早い息を聞くたびに唇が寂しくなっていく。


 だめだ、ペドルアが翔さんと同じ顔や声だとしても彼は所詮あの性悪女を愛し、“失恋し”、ただ慰めを求めてる攻略者。


 そうわかっているのに、それなのに、流されちゃっ




「や、め、」


「だめだよ、僕しか考えちゃだめ、ずっと、ずっと、永遠に僕だけを考えて!」


まるで私の中の何かが壊れ、身を蝕む甘い熱はそのすきに脳髄の奥まで侵入し、人間の本能を引き立てる。





だめ、もう、何も考えられない......





これはまさかのメリーバッドエンド?

次回はペドルア視点です


誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)

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