脳内キャパシティーがオーバーしそうで
宜しくお願いします
昔々あるところにそれはそれは可愛いマカロンたちが住むお菓子の王国がありました。お菓子の王国に住むマカロンたちは大抵オレンジ色に染められて、何千年にも渡る平和な日々を送っていた。
だがある日、神様の気まぐれでこの世界に少人数のピンク色のマカロンが生まれた。そう、ただの平凡なオレンジ色のマカロンから生まれた形が同じのピンク色のマカロン。
そのピンク色のマカロンは自分の色に非常に戸惑い、オレンジ色のマカロンたちの中に紛れて暮らしていた。
そして年月が経ち、ピンク色のマカロンは自分の色を忘れかけた時、同じピンク色のマカロンが現れ、そのもう一つのピンク色のマカロンは自分の色を隠さず堂々と生きていた。
で、ここから約数万字を略して、最終的にお菓子の国は戦争となり、その戦争を勝ち取ったピンク色のマカロンたちはいつから入ってきた紫色のマカロンに騙されて死の森へと追放されたのさ。
おしまい。
揺れてる馬車に座っている私は表紙に“隠れ逃げているマカロン”と書かれてる本を閉じ、死んだ魚の眼をしながら外の光景を見る。
............うん、ええっと、この童話は子供に何を伝えたいのでしょうか?
いや、その前にこの本は童話と言うより犯罪誘発書のほうが正しいんだと思うのですが、ただ戦争と騙し合いしかないのですが。
さっきまで暑いほどを大地照らしていた太陽の光は今では雲の中に隠れ、私は約半日乗っていた庶民馬車から降り、とあるピンク色の招待状を手にして、数日前に訪れた例のホラー映画の舞台みたいな建物にやってきた。
数日前、私の兄、エルドア・メリエードとネイズ・ミラボー伯爵令息はあの性悪女との婚約披露パーティー盛大に開き、その婚約自体が貴族会だけではなく大半の庶民にも知られて、今では国中が自分たちの王女様がご結婚なさるみたいな祝福モードでございます。
ちなみに数日前私はローズガーデン付近にてミミを探そうとしたんですけどどうしてか彼女が見つからず、一周探して見つからなかったので一旦ダンスホールへ行きエーナとエベルトン様を見つけ出したらすぐにパーティーがお開きになった。
まあ、私はどうしてもミミに会いたくてエーナに連絡先を聞き出そうとしたのですがエーナ誤魔化される一方で、私も彼女の家に居候中の身でございますからあまり深く探ることができませんでした。
ですが十数時間前、私の所へとあるお茶会の招待状が届いた。そのお茶会には主催者の名前や場所は全く書かれていないがこの招待状を染めているピンク色と角に刻まれている桜のデザインで私はミミからだと直感しました。
そしてその招待状の裏には隠されていたかのように懐かしい日本語で「エーナ・セナルデン侯爵令嬢達に感づかれないよう一人で例の屋敷に来て。」としか書かれていました。
ん、どうして?
いや、確かに最近エーナも何かやらかそうとしているような、
あ、あれ?お二人さん喧嘩した?
ダメですよ、悪役令嬢達が一気団結しなければいつかあの性悪女にまた嵌められるじゃない!
よし、ここは私が!そしてついでにピンク色のマカロンも聞かないと......
......と、勢いだけで来てしまったんですけど、
うん、なんか罪悪感が。
ちなみにエーナにはとある貴族様のお茶会に出席するとメモを残した。
ええ、確かにミミは貴族で彼女からお茶会の招待状が届いたよ、だから嘘ではありませんよ、ですが、これで宜しかったのかな??
例のホラー映画の撮影現場みたいな建物に入り、私は前回みたいにスパイ映画と言えばものすごく微妙な隠れ階段を下った。
そこには数日前と同じ、家具以外は全てピンク色に染まっているガーリーなお部屋が現れ、そしてその真中の椅子に座ってる桜色の髪を持つ少女は数日前と同じ白いワンピースを着て、マカロンをむしゃむしゃと食べながら私を睨んでる。
「み、ミミ、久し振り?」
「はあ、ったく遅い!いつまで待たせる気?」
「いや、だってエーナに気付かれないようにと言われたから少し遅れて出てきて、でも念の為エーナみたいな方法でこっちへ......」
「はあ、わかった、先に座って。お茶にしましょう。」
私はミミ言う通り彼女の隣に座り、そして彼女自身から灌がれたお世辞でも香りがいいとは言えない紅茶を口にした。
「そして本題だが、エモリア、あんたエーナにピンク色のマカロンのお話したか?」
「え?いいえ、全然、」
「そ、そうか。」
あ、
「でも数日前、ミミの屋敷からセナルデン侯爵邸に戻る時エーナから『実はエモリアとベネザル男爵令嬢はピンク色のマカロンだと知っています』と言われたことがありましたわよ。まあ、その時は『どうして解ったの?』と疑問に思いましたけどですが途中からうっかり聞こえられたかもしれま「それはありえない」」
は?
「ああ、言うの忘れていたがこの屋敷の中でこの部屋だけが防音効果があってな、だから毎回重要な会議があればこの部屋に来るんだ。」
「でも、」
「要するにエーナ・セナルデン侯爵令嬢は私達の話を聞く前からピンク色のマカロンの例えを知っている、そしてその例えを知っているのは「ちょっ、ちょっと待ってください!」」
「なんだ」
「いや、だって、これはただ私達転生者を表現する例えみたいなもので、そしてミミだって“隠れ逃げているマカロン”という隣の国の童話を知っていたから私にそう例えてきたのでしょう?」
「ああ、そうだな、あの時私はこの童話を知っていて無意識に使った。」
「それではエーナも、」
「だが私は前世からこの童話を知っている。」
え、
「はあ、表現がざっくり過ぎたか。
実はこの童話はあのクソゲーのストーリーに関わる大切なキーでな、私の記憶が正しければこの童話は第一部だけではなく二部、三部にも出てくるやつだ。」
ああ、あのクソゲーですものね、
いや、この言葉で片付けられるのもこのクソゲーの凄いところなのでは?
でも、
「だからって!」
「知っている、エーナ・セナルデン侯爵令嬢は消してピンク色のマカロンではない、私が何度も試してきた。」
「じゃあ!」
「だが今では確信が持てないんだ。
だって4人の悪役令嬢の中で一人は消息不明、二人は転生者、それじゃあもう一人は普通のオレンジ色のマカロンだと思えるか!?
私は、うう......」
わかっている、私もエーナが無実だと思いたい。
だけど確かに最近エーナの言動がおかしい。
でも、それだからって、
だって私達は悪役令嬢ですもの、同じ敵に刃向かう仲間ですのよ!
でも、もしミミが正しければ......
「。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。」
「ああ、そうだ実は数日前の婚約披露パーティー付近のローズガーデンであのクソ女が白いフードを深く被った女と話してる所を見た。」
「。。。。。。。。。」
え、まさか、
「ああ、多分あんたが言っていた女と同一人物だろう。それにあのクソ女もピンク色のマカロンを知っている。」
「え、う、」
「ま、だからってエーナ・セナルデンとは何も関係ないんだが、エモリア、奴らはあんたがピンク色のマカロンだと睨んでる。まあ、私が言うのもなんだが、あまり先頭で出しゃばるな。」
「......うん、わかった。
あ、そうだ、前回ミミの弟さんに会ったよ!」
「は?」
「でもびっくりした、まさか姉弟揃ってピンク色のマカロンとは、」
「いつあいつと会ったんだ!いや、その前にどうしてあいつがピンク色のマカロンだと解った?!」
「え、婚約披露パーティーの夜ミミの弟さん自ら私に『ピンク色のマカロンです』って言っていたわよ。あ、嘘まさか、ミミ......」
「......本当だと思うか?」
「これはわかりませんけどあの人、チャラそうですけどなんか只者では無さそうというか、なんというか。」
「アイツにはもう関わるな。」
「あ、うう、」
「アイツは、鬼畜だ、いや、鬼畜だけならまだしも、うう、」
「。。。。。。。。。」
ここは探らない方がいいでしょう。
それから私達はあの婚約披露パーティーで仕入れた情報を交換し、エーナに怪しまれないように早く帰らないといけないので私は急いであの建物から出た。
太陽が西へと沈もうとして、馬車を返し貴族街に戻った私は真っ赤な夕日の光に包まれながら今日の出来事を考える。
まあ、ね、エーナは私の友達ですもの、そんなことはないよね。
うん、そう、そうですよね。
「......嬢、......リア令嬢、なあエモリア!!」
うう!!!
「え、嘘......」
眼の前に現れたのはしなやかな闇色の髪を持ち、その凛としたお姿とキリッとした目が私の心をキュンとさせる美少年。
ほんと、たった数日会っていないと頭では理解できるのにまるで数年間あっていなかったようですわ......!
あ、でもこの人さっき私の事をエモリアって、それじゃあ!!
「すみません、いきなりお呼びしてしまい。」
ああ、いけない、この人は好きな人ではなく好きな人が前世で声をあてた攻略者キャラ、ペドルア・レントルス公爵令息だしっかりして!
「いいえ、まさかここでレントルス公爵令息と会えるとは思っていませんでした。お久しぶりですわ。」
そうですわ、さっきはどうかしてました。
「そ、そうですわね。」
「では、これで、ごきげんよう」
うん、一旦頭を冷やしましょう。
「あ、ちょっと待ってください。」
ん?
「はい、何でしょうか?」
「ああ、うう、その、ええっと、」
「。。。。。。。。。」
なに、安物王子だけではなくこの人もうじうじするのですか?
「うう、」
「どうしたのです?」
はあ、やめて、あの安物王子を思い出しますから。
しかもあなたはあの性悪女にしか興味ないのでしょう?
だから頭を冷やしたいのです。
「う、その、エモリア・メリエード伯爵令嬢!」
「え、はい、」
「ぼ、僕の家に来てください!!!」
ん?
んん??
んんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!
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