衝撃的な事実
よろしくお願いします
小鳥の歌声が耳に届き、朝の日差しが窓を通り越し寝ている私を包む。
ああ、良かった、全部夢だったんだ。
そう、目を開けたらいつも通りに私の部屋があって、メイドのリチェルが淹れたハーブティーを飲んでから家族のみんなに挨拶しに行くの。
「バカかお前」
この声で私の妄想が崩れ、目を開けたら知らない部屋に連れ込まれてた。
そして周りをよく見たらソファーの真ん中に暗黒の髪色をした美少年腕を組んで座っていた。
「......ええっと、どちら様ですか?」
「あ?ったく寝ぼけてるのか、まだお前を助けたお礼がまだなんだが。」
......あ、ああああああああ!!!
「あの!昨日は助けていただき誠にありがとうございました。その、もし良かったらお名前を教えて貰えないでしょうか?」
「......本当に知らないのか」
「え?」
「ったく今はご飯とか食って着替えろ、それ終わったら全て教えるから。セバスチャン」
そして現れたのは黒色執事服を着たお爺さんで、ニコニコとした顔なんだけどその紫色の目がキリッとしてる。
「はい、ご主人様。では、参りましょう。」
う、うあ、前世の私が一度でも会いたかった執事のセバスチャンさんだ!とはしゃいでる間にもう着替えが済、朝食も済ませた。
食後のジャスミンティーを飲み終わり、私はセバスチャンにあの美少年の元へ案内された。
「ご主人様はこの部屋の中にいます。ではごゆっくり。」
私は部屋に入りドアを閉めた瞬間に
「ったくお前はノロ亀か?どんだけ俺を待たせる気だ」
「すみません」
「はあ、ったく俺が誰か思い出したか?」
「ええっと、昨日は助けていただきありがとうございました。」
「そのことじゃない、本当にお前は転生者なのか?」
てん、せい、しゃ......
......な、まさか!
「まさかあなたも転生者!!」
「はあ、頭が鈍いと思ったがここまでとは。じゃあ今から正直に言え、この世界の事をどれだけ知っている?」
「その前にどちら様ですか?もし貴方が日本から来た転生者なら名乗る前に自分から名乗るのは当たり前だと知ってるはずです。」
「な、まさか同郷だなんて。」
「え?」
「このサイコロみたいに小さい脳みそを使って考えろ、例え転生者でも他の世界から来た可能性だってあるし、もし同じ世界から来ても同じ元日本人だと限らないだろ。」
「でもセレナさんはゲームの世界をよく知ってたみたいですよ、では彼女が日本人って事になりますかね?」
「ホオっ、アホでもここがゲームの世界だと知ってるのか。だが忘れたのか、あのゲームは豪華声優陣でスチルも綺麗なバカ売れゲームだ。当然国外でも売れてるだろう、ったく日本の二次元文化なめんなよ。」
「じゃあ、セレナさんは」
「ああ、日本人の行動パターンでは読み取れない手強いヤツの可能性が高い。」
「。。。。。。」
「話しを戻そう、お前が知ってるように俺はペドルア・レントルス、このゲームの攻略者の一人だ。っで、お前は?」
ええっと、聞き間違いですかね、この人さっき、何て?
「あ、あの、さっきなんて?」
「はあ?だから俺はペドルア・レントルスでお前の役は?」
「ええええええええええええええええ!!!!!!」
「どうしたんだ!」
「あの三大公爵家の一つレントルス公爵家の長男ペドルア・レントルス様???」
「ああ、だがお前もプレーしてたんなら気づけただろう、ったく鈍感だな。」
「いや、すみません、プレーしましたけど冒頭までです。」
「はあ?じゃあモブキャラのお前はこの世界の知識を持たず放り込まれたって事か?」
「いいえ、多分私はモブキャラではありません。」
「どうゆうことだ?」
「すみません、申し遅れました、今世ではレオール第三王子、メリエード伯爵家長男とペドルア・レントルス様のルートで悪役令嬢を強・制・的・にやらさせてもらってるエモリア・メリエードです。」
「は?誰が、お前が、何を?」
「わかります、その気持ちは痛いほどに分かります。」
「......じゃあお前もうすぐ死ぬな。」
「い、いやです!助けて下さい、これだけは嫌です!首切りは嫌なんです!」
「なるほど、だがここが全年齢版でよかったな。」
「え?」
「喜べ、もしバッドエンドだとしてもお前は首切りだけで済む、もしここがR18版だと悪役令嬢共は最終的にスラム街に放り込まれてから虐待されて死ぬぞ。」
「いやああああああああああああ!!!!!スラム街に放り込まれるのは嫌ですが首切りは断じて避けたいです!!」
「だがこれが運命だ、ご愁傷様。」
「な、じゃあ貴方もセレナさんを愛してるの?」
「はあ??どうしてこの俺が?」
「だってセレナさんは逆ハーエンド狙いだからよ!」
「はあ?」
「え......」
「......詳しく聞かせろ。」
そして私はセレナさんと白いフードを着た女性との会話と今まで彼女が私にやらかした事を全て話した。まあ、途中で涙線が崩壊してしまい、泣きながら言ったけど。
ちなみに座って聞いてくれたペドルアさんは私が言えば言うほど怖い顔をし、最終的には立ち上がって部屋の中を歩き回る。
「......前言撤回する、お前は本当にどう仕様もないドアホだ。ほんと、お前の婚約者がかわいそうに思えるぜ。」
まあ、そうですね、もうすぐ婚約破棄されるけど。
「だが、よく頑張った。本当は一人で辛かっただろうに、心細かっただろうに、よく頑張った。」
その言葉を聞いた瞬間に私の心はなんだか暖かくなり、もう一度だけ頑張ってみようと思ったのは事実だ。だから
「ありがとうございます、レントルスさん、私、絶対に処刑とスラム行きとかのバッドエンドを回避してみせます!」
「翔」
「え?」
「今日から同じ敵と戦う仲間だろ、他人がいない時は俺をペドルアと呼んでもいいし俺の前世の名前の翔とも呼んでいい。ま、他人が知らないコードネームが必要だと思うけどな。」
「いや、その、話がよく分かりません。」
「はあ、このドアホ!ったくどんだけ鈍感なんだ。
ついて来い、いい物見せてやる。」
私は彼につられていくままその部屋を出て行った。
そして残された暗い部屋は寂しく写り、次の来客者を待っている。
だがその来客者はすぐに来て、険しい顔をし部屋のあたりを見始めた。
そう、そのとき誰も知らなかった。その来客者、セバスチャン・ロンドーレがあの事件に関する重要な人物になるとは......
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