リア充爆発しろ
宜しくお願いします
“ヒュルー”
同じパーティー会場の中なのに、さっきの室内とは真逆でこの色んな種類のバラが咲くこのローズガーデンでは少し風が強めでちょっと肌寒い。
でもその前に私は知りたい、この人は、この眼の前にいる人はまだゲームの強制力にかかっているのか。
だけどやはり相手を刺激するのもなんだし、うう、どうしよう。
「へクチュ」
もう、どしてこんな大事なときに!
「よかったらどうぞ。」
その人はいつの間にか自分のコートを脱ぎ、紳士がレデイーに対する礼儀を慎みながら私の肩に自分のコートを回す。
ああ、やっぱり目の前にいる人はペドルアさんでしたか、はあ、
うん、ちょっと、ちょっとだけ期待してたからなんか、ねえ。
「すみません、お見苦しい所を見せてしまい、それとコート、ありがとうございます。」
「ええ、ですが大丈夫なのですが、なんか顔色が悪いですよ。」
「え?」
「どうしました?」
「いいえ、でも、フフ、やっぱり、」
やっぱりあなたはゲームの強制力にかかっていようがなんだろうがあなたはとても優しいのですね。
「メリエード伯爵令嬢?」
“ズキン!”
なにか心が一瞬刺されたような、
うう、そうですね、そうですわよね、だって、私は今、あなたの何でもないんですもの、
そして、今のあなたは、あなたの心の中には多分、あの性悪女が住んでるんでしょう......
“ツーン”
......あ、あれ、おかしいですわ、私、どうしてそんな事考えるのでしょう??
「いいえ、ですが助けてくださってありがとうございました、やはりレントルス公爵令息は優しいのですわね。」
そうだ、今の私では翔さんのことを「翔さん」とも呼べないんだ、もう、あの頃みたいに翔さんを頼れないんだ、もう、二度と......
「メリエード伯爵令嬢......」
ああ、いけない、もうちょっとで翔さん、いいえ、ペドルアさんの前で泣く所でしたわ。
「ええ、どうしました?」
「僕は、僕は優しくなどございません、本当は小さい頃から愛してた幼馴染に振り向いて欲しい情けない男なんです。」
ああ、それって、
「本当にその人を愛してるんですね。」
「ええ、ほぼ一目惚れでした。
ほんと、あんなに可愛くて、可憐で、聡明な御令嬢にあったことは無くて、
でも、そのご令嬢はにはもう婚約者がいて、」
“ツーン”
痛い、心が壊れたかのように痛い。
どうして、どうして私の目を見ながらあの性悪女の愛の告白を言うの?
そうだったらもう私に話しかけないで、優しくしないで、私に、その手の温もりを与えないで......
「メリエード伯爵令嬢??
どうしたのです、どこか具合でも悪いのですか?
あの、少しだけ頭をお上げしてくれてもよろしいでしょうか??」
「う、うう」
「......その、無礼は承知してますが、触りますよ。」
やめて、もうパーティー会場の時みたいに、翔さんみたいに私の頭を触ろうとしないで、
もうあなたの温かくて大きな手を、あなたをこれ以上頼りたくないの、
もう、胸を痛くしたくないの。
だから、
「い、いや......」
「。。。。。。。。。」
うう......あれ?なにもない。
見上げるとペドルアさんの顔がなぜか悲しく歪んでいて、同時に彼の瞳には怯えた私が写っている。
ああ、もし私が自惚れていなければ彼は私のせいで悲しんでいる。
ちなみにこの国は確かにもう多夫一妻制度に移っているけどまだ権力が高いご貴族様たちには賛成されてない。
だから3大公爵家の一つのレントルス公爵家次期当主のペドルアさんは絶対一族にあの性悪女とのご結婚を一時的に反対されるでしょう。
でも彼にとってこの反対が一時的何だと知らないから彼は今日絶対に幼馴染に振られたと思ってるんでしょう。
まあ、そうですよね、今日はあの性悪女が他の男どもと婚約して、そしてその夜、その婚約披露パーティーにて彼は他の、しかも友達でも何でもないほぼ無関係な少女にも断られる。
もし私が彼だったらもう金輪際自分に自信を持てないでしょう。
どうしましょう、なんだか私が悪者気分になってきました、いや、その、最初っから悪役令嬢ですが、
ですが何か言わないと、
「あ、あの、今のは、そのちょっと胸が痛くなったといいますかなんといいますか、その、ええっと、」
わたしはなにいってるんですの!!
「あの、ですから、」
“カチャ!”
「あ、ああ、こちら悪役令嬢1号、ただ今ターゲットを確認、ターゲットは現在馬車止場からダンスホールに移動する模様、悪役令嬢2号、3号、それと私達のおまけ、聞こえたら応答せよ、OVER」
ああ、これって、
“カチャ!”
「こちら悪役令嬢3号、現在私達のおまけとダンスホールにいます、悪役令嬢2号、さっきフードエリアでなんかあったみたいだけど大丈夫ですの?
もし大丈夫でしたら大至急ダンスホールへと移動してください、OVER」
もう時間切れだ、行かなくちゃ。
「あの、メリエード伯爵令嬢、さっきなんか変な音がしませんでしょたか??」
ああ、多分私達が近くにいるから通信機の声が漏れたと......って近い、なんて言っても近すぎます!!
「あ、あの、その、レントルス公爵令息??」
「ペドルアでいいですよ。」
“ドクン”
うう、やはり近い内にお医者さんを診たいです、ええ、心臓内科医で宜しくお願いしますわ。
「ええっと、その、今日はありがとうございました、その、後日お礼を申し上げに行きます。」
「いいえ、僕こそパーティー会場でいきなりレデイーの腰をつねてしまい申し訳ありませんでした。」
「え、ああ、それは、」
まあ、その時心臓がすごくうるさかったですが、気にされなくてよかったです。
「やはり許していただけませんでしたか......」
うう、やめて、そんな捨てられた子犬みたいに私を見ないで!!
「あの、そんな、全然気にしてません!」
“ギロッ”
「全然気にしていない?」
「いえいえいえいえ、その、気にしていましたがもういいのです、誤って頂けましたし!!」
う、嘘、反射的にこう言ってしまったもののすこしだけびっくりしましたわ、
しかもなんですの、さっきの、なんか、ものすごくヤンデレ感が......
「そうですの、よかったです!
そうだ、もうこのことはお合い子として後日一緒にお茶しませんか??」
いや、その、手、手!!
どうして両手で私の手を握るのです?
しかも恋する乙女ではあるまいし、そのキラキラとした目をどうにかしてください!!
「え、ええ、光栄ですわ。」
やはり言えません、だってお相手は公爵令息ですもの......
ううう、この格差社会め!
「良かったです、では後ほど招待状を送りますね。」
「ええ、非常に楽しみですわ。」
“カチャ!”
「悪役令嬢2号、どうした、応答せよOVER」
「エモリ、悪役令嬢2号、どうしたの、やはりさっきの騒ぎはあなたのものでしたのね!!
お願い、答えて、応答して!!」
「エーナ、OVER、言ってない。」
「OVER!!!」
「エモリア、どこ?一緒に、遊ぼ、OVER」
ああああ、もう完全に忘れてた!!!
「やはりなにか聞こえます、何でしょう、なんかハエの声みたいにブンブンしてます。」
「え、それは、そう、ハエ!!
今の季節じゃあいっぱいいるとか!?」
「そうでしたの、やはりレデイーの白い足に赤い点をつけたら行けないので中に入りましょう、
ああ、でも、確かお酒に弱かったような、そうだ、パーティー会場の隣にいくつかの個室がありましたような、そこに行きませんか??」
え、その、個室?
誰と、誰が??
ええっと、え?
誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)




