姉さんがもうすぐ嫁に行きそうで エリティ視点
本日二回目
宜しくお願いします
おかしい、何かがおかしい。
実は僕には頼れる兄一人と優しい姉が一人いて、それはそれは普通で幸せな家庭に育った。
あ、いや、確かに僕の家は総合的に普通で幸せなんだけど、ただ、一つだけ、僕の兄上は僕がドン引きする程のシスコンとブラコンだったのだ。
まあ、その、うん、これは僕が敏感すぎるのか分からないけど兄上は何かあれば姉さんと僕の所へ来て、同時に僕と姉さんが一分でも門限に遅れたら騎士団に通報しようとする。
いや、これはまだいいほうだ。
僕は絶対に忘れない、いいえ、忘れられない。
そう、11歳のある日、僕は授業で家を離れて寮に来て剣術を習い始め数日が経ったある日、姉さんは僕の様子を見に来るためクッキーを焼いてきたあの日、兄さんは姉さんの身の安全の為と言いつつ家の護衛全員に姉さんを護衛させ、兄さん自らも学校を休んで姉さんの護衛についた。
正直に言おう、兄さんと姉さんが来るのは嬉しいがその後学校で悪目立ちして指導室の常連にもなったからもうこのような事はもうしないで欲しい......
......コッホン、話が少し変になっちゃった。
僕が言いたいのはそんなシスコンとブラコンだった兄上がある日突然人が変わったように姉さんを遠ざけたのだ。
いや、確かの僕も最初は兄上がようやく他の女に興味出したとバンザイしながら喜んでいたけど、でも、その兄上がセレナ・ケレンドル公爵令嬢と付き合ってから兄上は姉さんのことを親の仇かのように憎み、侮辱し、姉さんを悲しませた。
勿論僕は何度も兄上とこの件で口論になり、父様も母様もこの件で兄上をメリエード伯爵家の後継ぎの座から引きずり降ろそうかと本気で考えてるらしい。
でも、やっぱりなんかが引っかかる、言葉に表せない何かに僕は違和感を感じる。
「どうしたのです、最近なんか変ですわ。」
そんなとき、僕の近くに偶々あの人がいて、僕は自分が見てきた全部と抱いてる疑問をあの人にぶつけた。
正直その時はただ聞いてくれる人がいればそれでよかった、でもあの人
「私はその“言葉に表せない何か”の正体をご存知ですわ。」
と胸を張りながら偉そうにそういい、僕はその時初めてこの世界が何なのかと“テンセイシャツ”という人種がいると聞かされた。
まあ、聞かされた時は正直半信半疑、いいや、大半的に信じていなかった。
だけどあの人が言う“イベント”とやらは次々と起こっていて、そしてとうとう彼女が言う“ギャクハーエンド”の序章、姉さんの専属メイドのリチェルが不敬罪で捕らわれるイベントが起こってしまった。
はあ、今まで何してたんだ、僕。
もし最初からあの人の言葉通りにしてたら姉さんはそんな悲しく泣かないですんだかもしれないのに!
どうして、僕は姉さんに笑ってほしいのに、泣くんだったら嬉し泣きのほうが良かったのに、僕は今まで何してたんだ!!
でもこれではっきりした。
やはりあの男は家族より女を取るのだと。
だから僕はもうメリエード伯爵家次期当主の、兄上のスペアキーなんてゴメンだ、全力であの男を潰し、この家と姉さんを守ってみせる。
と、思っていた。
そう、僕は本心で姉さんを守ろうとした、だがいつか僕は理由もなく姉さんを嫌と感じ、遠ざけてしまう。
そのかわりになぜかセレナ・ケレンドル公爵令嬢が一輪の美しい花と見えて、いつしか僕はあの男あにうえと同じくあの女にメロメロになっていた。
まあ、正直に言うとそのとき僕は姉さんなんてどうだってもいい、僕にはセレナさんがいるだけで十分だと思い、同時に僕は“この叶わない恋”に焦らされながら未来の姉さんセレナさんを守っていくんだと今の僕にしてみればバカバカしい事を考えていた。
そしてとうとう迎えた“失恋”の時、僕は兄上とセレナさんが結ばれる婚約パーティーに参加し、表向きではニコニコ笑っていたものの内心では非常に悲しんでいた。
だから僕は来るとは思っていなかった僕の実の姉さんを見て、彼女に僕の“悲しみ”を態度でぶつけてしまった。
どうしてこうなってしまったのだろう、本当は僕は姉さんに笑ってほしかったのに。
それなのに今回は誰でもなく僕が姉さんを悲しませた。
僕は姉さんの目に溜まった真珠みたいな水滴を見て自分が何をしてきたのかやっと理解し、慰めようとする。
「ごめんなさい、メリエード伯爵令息、さっきの件についてお姉さまともう少しお話したいのですが、」
だが、もうすべてが遅かった。
姉さんの目にその大きな手を乗っけながら僕を見る闇色の髪を持つ男の目には怒りと失望と他の何かの感情がゴチャゴチャと混ざっており、同時に彼は姉さんを大切な宝物のように抱いている。
ああ、なんかこの人、以前の僕みたい。
だけどどうしてだろう、彼は僕と、兄上と違って一生姉さんを守っていけると思う。
「プッ、」
ほんと、何考えてるんだろう、姉さんには婚約者がいるのに......
でも、あの兄上と、前の僕と同じ女を愛してしまったあの王子に、姉さんを幸せにする能力があるのか?
「どうしました、お見苦しいところでもお見せしましたでしょうか?」
「いいえ、それでは良かったら僕の代わりに姉さんと外で散歩してくれませんか?実は僕の姉さんはお酒にとても弱く、ただ匂いを嗅ぐで酔ってしまうのです。
ですから、いいですよね?」
悪く思わないでください、一様姉さんはまだあなたの女ではないんですから。
さあ、どうします?
「ええ、もちろん、光栄です。
メリエード伯爵令嬢はどう思います?」
だから手、人の姉さんの腰に何してるんですか?
「スッ!!」
それは痛いよな、思いっきりつねられたみたいだし、
って、え、なに、姉さんの顔が真っ赤なんだけど!
え、ちょっと待って、この二人ってまさかあの人が言う“リアじゅう”、“バカップル”とやらなのか!?
ど、どうしよう、姉さんが、姉さんがもうすぐお嫁に行きそうだ......
だめだ、絶対にそうはさせない、せめて1年ぐらい姉さんを独り占めさせて!!!
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