突然のご都合主義と悪役令嬢たちの会話
宜しくお願いします
昨日と同く月と星が綺麗に煌き一つの劇を奏でている、そうなっているはずなのに、今の私には周りにあるパーティーの明かりと吐気がするほどのお酒の匂いに縛られてる。
だけど私にはそんな事に気を取られてる時間も精神もございません、そして私はパーティーの廊下に行き、何度も周囲の目がないと確認した上で耳元にかけてあるイヤリングに見える小型通信機に手を伸ばした。
「あ、あ、こちら悪役令嬢2号、廊下付近にてターゲットはまだ現れてない、そちらはどうですか?OVER」
「え、ええっとこちらエーナ、ではなく悪役令嬢3号、ダンスホールにてターゲットはまだ現れてません。OVER」
「ったくなにもたもたしてんだあのクソ女共が、もうパーティー開始時間とっくに過ぎてるぞ。あ、今馬車止場、ターゲットまだ来てない、OVER」
「みんな、どうして、コソコソしてるの?ダンスホールで、お話しよう......」
「。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。」
「......OVER」
「コホン、これから悪役令嬢2号はフードコーナーにてお偉いさんたちとはお話できたらそう聞いてきます。OVER」
「え、エモ、悪役令嬢2号、大丈夫ですの、私が行ったほうが?OVER」
「いいや、悪役令嬢2号が一番いいと思う、ほら、ダンスホールは人が多いから学校の後輩令嬢に会えると思うし、OVER」
「ええ、エー、悪役令嬢3号はそこで情報を取り寄せてください。OVER」
「ねえ、僕は?」
「ほら、エベルトン様行きますわよ。」
「でも、僕、」
「あ、ケベレダ第二王子ですわ、行きますわよ。」
「う、うん」
「では、私達はここで一旦通信を切りますわね、OVER」
“カチャ!”
「。。。。。。。。。」
「ね、誰があのイヤリング渡したのよ。OVER」
「いや、その、2組ありましたので......OVER」
「はああああ、ったくこっちは遊びじゃないんだから、OVER」
「。。。。。。。。。」
ああ、怒られました。
まあ、ですがミミの言う通り今回は遊ぶためにパーティーに来たのではありません。
いや、確かに私は遊ぶためにパーティーへ出席したことはありません、でも、今回は格が違います、しかもこれは私達悪役令嬢の運命がかかっていると言っても過言ではありません。
そう、これはたった一週間前に私達の国、リナレード王国から作られた新しい法律が作られたことから、いいや、元はといえばこれは29年前、この大陸で起きた戦争が原因で多くの殿方があの世に行ってしまったかも知れません。
まあ、そのせいで各国の王家は毎年戦争が収まったその日に神殿へ行き、国に男の子がいっぱい生まれてくるようにと願ったそうだ。
そしてこの世界の神様に各国の祈りが届いたのか、戦争が収まった6年後に何故か男の子の出産率が女の子の倍になり、当時各国から歓声が聞こえたとか。
いや、ここまでは良かったらしいですけど、その戦争が収まった6年後から男の子の出産率が毎年女の子の倍、いいや、あるところは約3倍になり、そしてその状況が年を重ねるたびに悪化しているとか。
そして今年、私達の国、リナレード王国は女の子と男の子の出産率が1対15の割合になってる現状にもう耐えられなくなったせいか多夫一妻という新しい法律を作ったらしい。
......うん、わかります、痛いほどわかりますわ、ほんと、よくこのご都合主義なクソゲーが売れましたね。
しかもこのゲーム本当にコンプリートした人いる?本当にいて、しかもこの世界にいるのでしたらぜひ会ってみたいですわ。
「はあ、でも私達悪役令嬢は総合的に貴族界の中で嫌われてるからその多夫一妻の法律の中でどの数だけ夫を貰えるかわからないですもの......ああ、OVER」
「貰えるって、そうだな、この夫を貰える最上限まで知ることさえできたら今後私達悪役令嬢がどうするか予想できたのに、OVER」
「ええ、しかもあの性悪女はこれを機にネイズ・ミラボー伯爵令息とバカ兄様とご婚約してしますし。」
「ま、一様言っておく、ご愁傷様。」
「ううううう、今のパーティが終わったら私はあの性悪女をお姉様と呼ばなきゃいけないなんて、ああ''、しんどっ!」
「おいおい、キャラブレてるぞ、でもセナルデン侯爵令嬢も良くついてきたな、」
「え、ああ、うん」
まあ、昨夜まで行くの反対されてたんだけどね、でもまさかミミも引っ張ってついてくるなんて、でも、
「ったくセナルデン侯爵との約束ちゃんと守れよ。」
「ええ、今回は情報収集以外何もしません。」
「それだといいんだがな、」
「もう、信じてくださいよ、私だって、あ、誰か来ます、先に切りますね。」
“カチャ!”
私はそのままフードコーナーへ行き、できるだけ多くの人と会話しようとした。
だがなぜか毎回話しかける相手は私の名前を聞いた途端に顔の色を変え逃げていく。
まあ、多分、いや、絶対にあの性悪女がなにかしたに違いない。
「はあ、」
一様私はこのパーティの主役の一人の実の妹ですのに、いや、その、確かに縁切り間近ですが、うん、一様。
「あれ、姉さん?」
ん?この懐かしく可愛いこの声は、
「エリティ!」
「ああ、本当に姉さんだ、でもどうしてここに?」
え?
「今日って、兄様の婚約式では?」
「ああ、うん、そうなんだけど、確か姉さんの所にもセナルデン侯爵のところにも招待状は出してないはずなのに、」
なにかおかしい、まるであの安物王子達と話してるみたいだ。
「え、ええっと、それは置いといて、もう兄様ったらどうしてこんな大切な時に呼んでくれないのでしょう、ねえ、エリティ」
「フ、何言ってるの、姉さんが自分でしたことでしょう。」
うそ、待ってこの感覚、どっかで、
「し、新鮮な空気が吸いたくなりましたわ、エリティ、一緒に来てくださる?」
「はあ、本当にしょうがないな、一緒についてやったらもう帰ろ!」
元からこっちをチラついてた貴族たちはざわつきを見せ、そのなかの数名は“ざまあ”と言ってるかのように私を見る。
うそ、うそ、うそ!
神様お願い、嘘だと言って!!
これはただエリティが反抗期だからって、本当は違うんだって、お願い!!
「どうしたの、姉さん、早く行くぞ。」
「え、うう、」
だめ、ここで泣いてしまうと私の立場が、悪役令嬢たちが、でも、いや、堪えるんだ、じゃないと......
でも私の体は私のことを聞いてくれず、視線が霞み始める。
うう、だめ、これだけは......
「ごめんなさい、メリエード伯爵令息、さっきの件についてお姉さまともう少しお話したいのですが、」
その言葉が合図になったのか私の目の前が突然暗くなり、その代りに目元がなにか温かいものに被された気がする。
ああ、これは、この感触は......
タイトル通り本当にご都合主義です、ですがこの異世界自体がクソゲーなので大目に見てください
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