とあるマカロンのお話
お久しぶりです
宜しくお願いします
先程通っていた薄暗くて不気味なリビングや廊下と違い、この部屋は明るくあちこち可愛いピンク色のデコレーションと新品で白い家具に埋もれて、移動することが少しだけ困難だ。
そして私の目の前に座る桜色の髪をした少女はこの部屋で一番キレイな椅子に座り、サイドテーブルに置いてある色とりどりのマカロンが入ってるお皿から一つオレンジ色のマカロンとピンク色のマカロンをその白いテーブルクロスで被してるメインテーブルの上に置いた。
「あの、」
この人は何をしたいのでしょう、
「もしこの白い布で被されたテーブルをこの世界だとみなし、オレンジ色のマカロンがこの世界の人間だとし、そしてこのピンク色のマカロンを“この世界の人間だけど本当は違う”人間だと見做しましょう。」
『ハッ』と、私は何かに気付き、でもそれは言葉では表せない程抽象的で、ただ今言えるのはこのままだと話の流れが私にとっても不利になる。
「あの、なんのことですか?」
今は『知らない、分からない』で通すしかありませんわ。
「フフ、先に落ち着いてくださいまし、メリエード伯爵令嬢、ただ“何も知らないこの世界の住民”の人達にはわからないかもしれませんがこの世には同じ人間でも“何も知らないこの世界の住民”の人達とは違う何かの特性をもったある人種がいるのです。
そう、このマカロンみたいに、例えこの2つが同じマカロンでも、同じテーブルの上に乗っかっていても、色という違う特性があるのです。」
「この世の人間は全員ユニークな個体ですわ、」
「どうでしょうね、」
そして彼女はお皿にあるすべてのマカロンをメインテーブルの上にこぼしながら私を見る。
「確かにメリエード伯爵令嬢の言う通りこの世界では色んな人がいて、その人達の中に隠れていればなんとか隠れることができるでしょう。
ですがもしこの世界の正体を知る人達がピンク色のマカロンとその特性を持つ人を探そうとすると、ほら、ひと目見るだけでピンク色のマカロンその特性を持つ人がどこにいるかわかるでしょう。」
「う、」
これは、やばい、
「もう演技しなくていいのですよ、もう私がピンク色のマカロンその特性を持つ人だと見抜かれてることぐらい知ってますもの。」
はあ、やはり今まで私は非常に恵まれてたそうですわね。
「ほんと、正真正銘の転生者さんには勝てませんわね。」
「ほう、あなたは違うと、」
「フフ、ベネザル男爵令嬢はどう思います?」
「私が見るからにあなたは2つの種類どちらかの人間だ、
一つ、あなたは転生者だがあまりこのゲームをしてない、でもそれだとどうして秋内翔があなたと組んだ理由が分からない。
そしてもう一つ、あなたはもとからここの人間で、ただ彼のルートにある悪役令嬢だからあなたと組んで、その時初めてこの世界の正体を教えられた。
だがさっき確信した、あなたは間違い無く前者の人間だ。」
鋭い、流石転生者ピンク色のマカロン、多分あの性悪女もこのように鋭かったのでしょう、ほんと、私はただ運が良かったから今まで生き残れたという事ね。
うう、悔しいですがお手上げです。
「はあ、そうですわね、あなたの言う通り、このクソゲーの事はあまり知りませんが転生者ピンク色のマカロンですわ。
ですが一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「いいぞ、なんでも言え、エモリアよ。」
え、なんでいきなり名前で呼ぶの?
「う、その、どうして翔さんの前世でのフルネームがわかるんですか?」
「翔さん?」
「え?」
「フ、そうか、そういうことか、エモリア、あなたにいいこと教えよう。」
「いや、その、ああ、はい、」
まあ、もし有力な情報が聞けたらラッキーな事ですし。
ですがなんかごまかされた感が......
「そんな顔するな。
な、さっき言ったマカロンの話、まだ覚えてるか?」
「ええ、ピンクのマカロンが私達で、オレンジ色のが普通の住民という。」
「ああ、だがこのメインテーブルを被してる布には特別な効果があってな、それはそのメインテーブルがエラーだと判断したものには一定な周期が経つと”元の姿に”修正されるのだ。」
「え、仰ってる意味が、」
「ま、要するに、この白い布にはピンク色のマカロンをオレンジ色のマカロンみたいに振る舞わせる機能があってな、ああ、前世の言葉ではゲームの強制力というものだ。」
“チクッ”
あれ、なんか、心が針に刺されたような、
「。。。。。。。」
「もうあんたってボケ専門?たまにはツッコめや!」
「いや、その、まさか、翔さんは......」
「ま、あんたも少しだけ心あたりがあるだろう。」
「だから急に変になったのですね。」
「いいや、それは少し違うな。
この世界にとってピンク色のマカロン私達自身が異端なる存在、だからあんたが見たそのクソ女の周りにウロチョロしているアホ男達の反応がこの世界での普通だ。」
嘘、それじゃああのヤンデレ設定な翔さんがこの世界の普通?
“ツーン”
「う、」
痛い、
「な、どうした!?」
「え、いや、ただ、私達悪役令嬢は処刑される運命なのかなっと。」
そう、変な事考えちゃ駄目、せめて今だけはちゃんとしなきゃ。
「はあ、あんた前世でちゃんとゲームとかしてきたのか?ああ、確か全然してなかったな。」
「え?」
「バッドエンドだよ、ま、あのゲーム自身は“主人公”のために作ったものだけど、だけどもしあのクソ女が逆ハーエンドメニューA,C,D、Gのどっちかを選べば悪役令嬢に救いがあるのよ。」
は?
「逆ハーエンドメニュー?ですか?」
聞いたことがない単語ですわね。
「ああ、あ、そうだ、あんた、ゲームとかやってきてなかったんだよね、ま、逆ハーメニューというのは「全員です。」」
「......は??」
「あの性悪女は、この世界の主人公さんは15人のパーフェクト逆ハーエンド狙いです。」
「え、あ......へ?」
「多分逆ハーエンドメニューを考えなくても、私が知る限り、あの女は全員狙ってます。」
「あ............あのクソ女が!!!!!!」
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