山裏の建物の中のボードに書いてるプロフィール
宜しくお願いします
さっきは暖かくて気持ちいい日差しが今では冷たく感じ、何杯も飲んでいたハーブティーの香りが嫌に感じる。
そして全身の血が止まったかのように苦しく、心の準備がない私は突然現れたこの二人をどうしたらいいのか分からず、只々彼らを見ながら座っている。
「聞いてるのか、エモリア・メリエード、説明しなければ黙認したとみなすが。」
「まあ、レオール様、メリエード伯爵令嬢にはきっと理由があってきたのですわ、ですからそんなに彼女を叱らないでくださいまし。」
「ああ、セレナあなたはなぜそんなに優しんだ。」
う、うあ、この愛に狂った安物王子、本当に大丈夫ですの?
いい病院を知っていますので後でご紹介いたしましょうか?
「ええ、本当にセレナは優しすぎる、忘れたの、こいつはセレナを虐めていたんだよ!」
へえ、そうですか、この世の伯爵令嬢は公爵令嬢を虐めても学院で見回る騎士さん達は見て見ぬふりをするんですか、初耳ですわ。
しかも驚きました、次世代を背負うあのミラボー伯爵のご令息が親しくないご令嬢に「こいつ」と呼ぶのですね。
ほんと、ネイズ様、もうすぐ追放されるかも知れませんが私はまだ貴族界から追放されていませんよ、しかも強いて言うならば私は一様第三王子の婚約者でして、準王族とも言えますのよ。
まあ、その婚約者御本人から嫌われていますが......
「ゴッホン、レオール第三王子、ケレンドル公爵令嬢、それとミラボー伯爵令息、ごきげんよう、まさか僕の家のこんな小さな別邸にて皆様がお越しくださるとは夢にも思いませんでした。」
ああ、そうですね、私にボーとしてる暇はありません、私も翔さんみたいに流れを変えなくては。
「まあ、ケレンドル公爵令嬢とミラボー伯爵令息、ごきげんよう、まさかこの数日で2回も会えるなんて光栄ですわ!」
その一瞬私はあの性悪女とネイズ様のお顔が少し歪み、その同時にエーナの顔も暗くなっていると気づいた。
あ、あああああ、そうでした、この三人、いいえ、エベルトンを足して4人は............
もう、私のバカ!
“ツネッ”
うう、翔さん痛いです、それと分っています、次から気を付けますから、ものすごく反省していますからもうつねないでください!
いや、なんか、さっきより痛くなってるような、いや、その、ですから痛いです!
“ガバッ”
私は翔さんの手を振り払おうとしたんだがそのせいで転びかけて、そしてお察しのように私は隣に立っている翔さんに掴まれ、成行きで彼の胸元にダイブしてしまった。
いや、ですから皆さん(主に性悪女と私の仮の婚約者)、睨まないで、私はただ転びかけただけなのです!
“ドクン”
うそ、まさかまた心臓の病が!
“ドクン、ドクン”
あれ、この音、私のではありません、それでは、これは、翔さんの......
でもこの音は私のより強く、たくましく、でもリズミックに跳ねて、そして何故か私はこの音がさっきの暖かい日差しと香りが良いハーブティーよりも心地よく感じる。
「まあ、メリエード伯爵令嬢、ご婚約者の目の前で他のご令息様のご迷惑をかけてはなりませんよ。」
私はあの性悪女のその言葉でハッとなり、急いで翔さんから離れようとした。
勘違いしないでください、私はあの性悪女のことが怖いとは思いませんが、確かに人前で、しかも婚約者(いずれ婚約破棄するが)の前でこんなことしてはいけませんと分かっています(婚約破棄するいいネタになりますので、噂がまた彼女たちに有利な方向に向きますので。)
ですが翔さんはその力強い両腕で私を抱きしめ、私が全力で逃げようとしましたら彼はその暖かくて大きな手で私の頭を抑え始めました。
「どんだけ僕に恥をかかせる気だ、エモリア・メリエード、早くレントルス公爵令息から離れろ。」
いやいやいやいや、おかしいです、どう見ても私が抑えられてますよね、しかもそんなに私達を離せたいのでしたら直接離しに来てくださいよ、私みたいな病み上がりのご令嬢には無理です!
“ギロッ”
そして私が考えてることが知られたように翔さんは無言で私を睨んだ。
いや、その、ええっと、はい、病み上がりは病み上がりらしく振る舞います......
「うう、コッホンコホン、コホンコホン!」
「あ、メリエード伯爵令嬢、大丈夫ですか!」
ううううう、翔さんがこの状況を狙ってたのでしょう、本当に演技力では翔さんに勝てません。
「まあ、エモリア!まさかまた熱が!?」
え、あの、たしかに風邪ひきましたがそんなに大した熱はありませんよ。
ごめんなさいエーナ、騙しすみたいなことをしてしまい、ですが、
「コホンコホン、うう、コホンはい、なんとか。
皆様申しコッホンコホン訳ございません、お先に部屋に戻ってもよろしいですか?」
「は?部屋?なんのことだ?」
あああああ、この愛に狂った安物王子、どうしてこのときに感が鋭いの?しかもあの性悪女が近づいてくるときにその鋭い感はどこに行ったの!?
「ああ、その、実は数日前僕が散歩の途中に偶々雨に濡れてながら街角で瀕死なっているメリエード伯爵令嬢を見かけて、それで、」
「いいですわ、レントルス公爵令息、私が言いましょう。」
「え、ですが、」
「いいのです、咳はさっきと比べ和らいだと思いますから。」
「ああ、それでしたら、ですがむりしないでください。」
「ええ、」
ほんと、私も翔さんもよくやれましたね。
「レオール様、ケレンドル公爵令嬢、そしてミラボー伯爵令息、この度はお騒がせし申し訳ございませんでした。
実は数日前私は誰かさん達がやってはいけない事をしてることを見てしまい、そのせいかどうかわかりませんがその夜に夜中に王都の街をほぼすべて走る事になりました。
そしてあいにくその夜は雨が降っており、そのせいで私は早くも力がつき、街角で気を失う事になりましたのです。
もしその時レントルス公爵令息が保護してくれませんでしたら私は今、もう......」
ゴメンねエーナ、助けてくれたのに、だけど、もう、私達に戦うしか無いの、じゃないと私達には今よりもっと辛い未来が待っている。
だから、ゴメンね......
......ってあれ?エーナ、ニヤけてる?その、え??
いや、その、見間違えですね、うん、はい。
「ほう、もしエモリア・メリエード、お前が言ってるのは事実ならばその『誰かさん達がやってはいけない事』と『その夜に夜中に王都の街をほぼすべて走る事』を言ってご覧なさい。」
ですから安物王子、お願いですからその鋭い感はあの性悪女があなたを誘惑するときに使ってくださいます?
どうしましょう、もし本当のことを言いましたらあの性悪女側にもエーナ側にも睨まれて、今後は自由に行動できません。
ううう、どうしましょう
「何だ、言えないのか、それとも、ただお前は僕の婚約者になりたくないのか!?」
多分私は初めてこんなに取り乱したレオールを見たのでしょう。
本当は彼の色んな表情を彼の隣で見たかった、そしてもっと彼の事を知り、お互い手をつなぎながら、笑いながら一生過ごしてきたかった。
まあ、悪役令嬢たちのバッドエンドを回避しようと決意したときにその気持も、願いも溝に捨てましたけど、でもなぜか今、その溝に捨てたはずの感情と願いが私の心を取り乱す。
駄目だ、私は幸せになると決めたのだ、それはのに、頭では拒絶してるのに、私がレオールに抱いた十数年の思いはそんな簡単に消えないそうだ。
ううう、いっそ、もう......
「暗殺されそうだからです!」
え、エーナ?
「誰だ、そんな無礼な真似をするのは。」
「申し訳ございません、私はセナルデン侯爵家の長女エーナ・セナルデンと申します。そして、私はその夜エモリア・メリエード伯爵令嬢と共に暗殺されないそうになり、途中まで一緒に逃げていた人です。」
「どういうことだ?」
「エーナ、駄目、言ってはだめ!」
嘘でも、私を守るためでも、これ以上性悪女たちに恥かかせたらあなたは!!
「エモリア、あなたはいつまで庇ってるおつもり、あなたが言わないからこうなってしまったのでしょう!!」
そんな、エーナも辛いのに、それなのに自分が好きな人の前で......
もう、庇ってるのはどっちよ!
「いいだろう、続けろ。」
「かしこまりました、実はその日私達は私の幼馴染のネイズ・ミラボー伯爵令息の実家へ参りました、そして私達はネイズ・ミラボー伯爵令息の部屋にセレナ・ケレンドルケレンドル公爵令嬢を見かけ、その時あいさつました、そうですよね、ネイズ様、ケレンドル公爵令嬢。」
「え、それは、その、もう数日前なので覚えておりませんわ。」
「ああ、しかもお前は毎日のように来るしな。」
「そうでしたか、ですがもし証拠を提供したいのでしたら学園の出入り記録に私とエモリアが昼頃に一時的に学園から出ていったと判明しますわ。
そして私達は学園所属の馬車を借りることができる馬車乗り場に行きましたの、もし大きな権力で情報がロック、及び削除されましたら残念ですけど。」
強い、エーナすごく強い、え、もしかしたら私、悪役令嬢の中で一番弱いかも!
嘘、今すぐ翔さんのところに弟子入りしたい!!
「な、なにを!」
うあ、あの性悪女がボロを、やはりエーナと敵同士にならなくて良かった。
「それで、あなた達は暗殺されそうになったのはわかりました、ですがどうして僕の婚約者は実家へ帰らないのです?」
あ、やはりあの性悪女に不利な状況になると話をそらすのですね。
はあ、やはりこの気持と願いは捨てるべきですわ、そう、誰にも届かず、私自身さえ踏み込めない闇の奥へ、
「実は彼女は」
「いいえ、大丈夫です、これは私が言いますわ。」
「エモリア、」
「ごめんなさい、今日は迷惑かけっぱなしですわね。」
「レオール様、実は私は帰りたくても帰られないのです。」
「え、それは、」
「な、まさか、メリエード伯爵令嬢、もう知ってて、」
「ええ、すみません、お手数おかけになりました、レントルス公爵令息。」
「うう、済まない、ただメリエード伯爵令嬢に安静してもらいたくて......」
ちなみに今でも彼の胸元にいます、まあ、あの“親切な婚約者様”も、“お優しい公爵令嬢様”たちも私が病み上がりだと知りながら私に座らせるとか中へ入ろうと言わないからこっちもそのままでいたします。
「いいのです、」
「なんだ、どうして帰られないのだ。」
「まあ、レオール様はお忘れになられたと思いますが私は世間では“お優しい公爵令嬢様を虐めながら大勢の男と遊ぶふしだらな女”というレッテルが貼られてるのですわ。ほんと、誰が虐めて誰が婚約者がいながら二股してたのだか。」
「うう、」
「そのせいで私は貴族街のティーショップから追い出されたこともあり、そして王城の門番たちからも追い出されたこともありました、」
そしてあなた達のせいで大切な友達も牢屋の中に......
「ですからわたしの家でも一部のメイドたちに後ろから指さされ、実の兄からも遠ざかれました。
そして、私が目を覚ました時、レントルス公爵令息は私の両親は領地に視察へ行き、弟は学校で忙しいと。」
「はい、それは僕が証明できます。そして僕は以前からメリエード伯爵令嬢のお家の事情を何度もほかの貴族様から聞いておりました、ですからこれは僕の独断で決めたことです。」
「いいえ、申し訳ございません、私がもっとしっかりしていましたらこんな事にならなかったのに......」
「いいえ、そんな!」
ええ、よくここまでやり遂げましたね、ほんと、もしこんな演技力が前世の私にありましたならばとっくに女優さんになり賞を取っていたのでしょう。
「わかった、ではエモリア・メリエード伯爵令嬢は婚約者の僕が面倒を見る。エモリア、早く支度し城へ向かうぞ。」
ずるい、どうしてこんなときにエモリアと呼ぶの?
せっかく闇の奥に捨てようとした感情がまた蘇るじゃない。
しかももう回りくどく行ったよね、あなたみたいな二股野郎と距離を置きたいと。
ああ、多分彼にとって私は恋人もなにもない、ただ親が決めた婚約者だけなのだ、だからって、
もう、嫌、行きたくない......
「どうした、早く帰るぞ。」
嫌だ、でも、でも、
「ちっ、だからプロフィールに三角書いたんだよ、ったくめんどくせー。」
え?
「どうしました、レントルス公爵令息?」
確かにさっき翔さんはボソッと言ったから私以外の誰も聞き取れなかったのでしょう、でも、プロフィールってまさか山裏の建物の中にあるボードに書いてるプロフィールのこと?
まあ、思い出してみて確かに兄様には丸が付いて安物王子はさんかくだってけど、どうして??
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