表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/53

夢の中の夢の願い

明けましておめでとうございます

今年も宜しくお願いします


思えばこの数日間私はなぜかレントルス公爵邸(別邸)で軟禁状態でした。


いや、軟禁状態とは少し違いますな、私は前回エーナを探してる途中に雨が降ったことをあまり意識しておらず、それが原因で全身が濡れ、失神しました。ですが起きたら私はなぜか翔さんの家、レントルス公爵家が所有する学園の近くにある別館にいて、そしてつい先日まで「また風を引いて人様に迷惑をかけるきか」と何日もベッドで過ごすように翔さんから“優しく助言”(命令)されましたが執事のセバスチャンさんから聞くと翔さんは私が高熱を出した時付きっきりで介護してくれたらしく、そのせいで彼は学校を帰り、私の面倒を見た後溜まった公務を片付けているらしい。


あ、ちなみに聞いた話だとエーナはその後翔さんが見つけて無事に学園の寮へ戻り、そして翔さんは学園と私の両親に事情を話し、ここにしばらく滞在する許可を得てくれた。


おっと、話が外れました、私が今申したいのは、前世でこのクソゲーをやりながらペドルアが推しメンな皆さん、それと前世で秋内翔さんのファンの皆さんへの深いお詫びです。

確かに私は平凡顔の分際で高貴なレントルス公爵邸(別邸)に居候させてもらってます。

ですが安心してください、私はただ病気でここにいるだけなので、別にペドルアとも秋内翔ともこれ以上親しくなるつもりはありません。

そう、彼はただあの性悪女の虜にならないため、そして私は悪役令嬢たちのバッドエンドをすべて阻止するために同盟結んだだけです、


ですから............



「おい、お前は本気で悪役令嬢になろうとしてるのか?どうしてこんな簡単なワルツもマスターできない?」


そう、翔さんは今悪役令嬢として基本のなマナーやスキルを濃縮してスパルタ式で私に叩き込んでいる。


まあ、私も一応この国の王子の婚約者ですから一般的な知識やこの国の貴族の名前ぐらい覚えらていますがやはり社交ダンスが..........ねえ..........



「いや、本気でやってるつもりなんですが、それに先程と比べたら筋が通っているとセバスチャンさんが、」


私も先日初めて翔さんと踊ったときと比べたら形になったと思いますが、


「はあ、お前それでも元日本人か?この世には社交辞令というものがあるだろう。それに何ださっきの踊りっぷりは、まさか社交ダンスを習ったことが無いと言わないだろうな!」


「う、いや、12歳の初めてのお披露目(デビュータント)の前だったら習ってましたけど......」


そう、リナレード王国では女の子は初めてのお披露目(デビュータント)の時、婚約していれば自分の婚約者と、婚約してなければ自分のお父さんとファーストダンスを踊らないといけない。


だけど当時レオール様は『野暮用がある』と私の初めてのお披露目(デビュータント)を欠席し、今でも彼と踊ってない為他の殿方は私をダンスに誘えず、私も公式パーテイーでは踊ったことがありません。



はあ、でもまさか人生で家族以外に踊る殿方が眼の前にいる悪魔だと、


いや、公務が溜まってるのに付き合ってくれてるのはありがたいと思いますが..........



「......はあ、」


「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


あ、翔さんの顔色が彼の黒くなっていく、

どうしよう、怒らせてしまったのでしょうか?


「ああ、ええっと、」


「なあ、」


「あ、はい、」


「......ある。」


「え?」


「だ・か・ら・一旦休憩しろ、付いてきて欲しい場所がある!」


「ああ、はい。」


いきなり何なんでしょうか?





















レントルス公爵家専用の綺羅びやかな馬車を乗り、私は向かいの席に座っている闇色の髪をを持つ彼の黒い顔を直視できず、必死に外の景色を楽しもうとする。


「。。。。。。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。。。。。。」


まあそこに新しい洋菓子屋さんがありますわ、いつか試してみましょう。


「。。。。。。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。。。。。。」


ああ綺麗、なんてキレイなんでしょうまあそこの噴水、相変わらず素敵ですわね。


「。。。。。。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。。。。。。」



ど、どうしましょう、

もしかして私、自分が知らない間に翔さんを怒らせたのでしょうか?

そうしたらわたしはどうなるのです?

だってあの悪役令嬢になるための心得を編み出したあの悪魔張本人ですよ、もし彼に失礼なことをしましたら..................









..................ああ、うん、今は考えないようにしましょう。





「なあ、」

「はい、」

「何もたもたしてるんだ、ついたぞ」


そう言われてやって来たのはレントルス公爵邸の裏山にある例の建物の前、






ああ、これはあれですな、ダンスができないなら悪役令嬢になるための心得を一から勉強してその悪魔みたいな論理と技術をもう一度おさらいしてからダンスレッスンを再開することですね。


ええ、わかっていますわ、だってそうともしないと私はあの性悪女と対抗し、リチェルを救うどころか対抗する前に押し潰されますもの。


よし、


「行きましょう!」


「何処行ってるんだお前、そっちじゃない。」


「え?」


「はあ、貸せ。」


「何をです?」


「ん、」


「いや、顎で指してきても......」


「だから、手、迷子になられたら困る。」


そう言って彼が私の手を引いた瞬間、私は言葉に表せない程の安心感と暖かさに包まれ、そして翔さんの顔を見たら心なしか彼も私の顔を伺ってるようだ。


「ええ、そうですわね、ここは意外と広いですから心強いです。」


そう言って私は彼の手を握り返し、翔さんもホッとした表情を見せ、「ったく早く行くぞ」と言いながら私の半歩手前を歩く。



でも私は気づいてしまった、彼の横顔がまるで一輪の薔薇がが満開した様に(べに)づいて、そのせいで私の頬も微熱に追われてることを......












森の中に開けられた薄暗くて静かな道を二人っきりで歩き、そのひんやりとした空気が自然と二人の距離を縮ませる。





どうしよう、翔さんの顔がさっきと違い少し黒くなっている。私の手から変な汗とかかいてないよね、そのせいで翔さんの機嫌が悪くなったりしないよね?



「まあ、その、あとで行くとこは俺しか知らないところでな、馬車とか他の人に来て欲しくなかったんだ。だから、その、もし足がつかれたら言えよ、無理してダンスレッスンができなくなっても困るしな。」


あれ、これって?



そういえば彼が顔を黒くした時っていつも怒っているように見えるけど出てきた言葉はそうでもなく、シイといえばシュンッと落ち込んでいるようにも感じられる。


嘘、翔さん落ち込んでいたの?!





「おお、ついたぞ」

そう言って現実に引き戻された私は薄暗い森から明るい光が見え、道を抜けた途端私は一瞬目の前にある光景を信じきれなかった。


「。。。。。。。。。。。。。。。」

そこには語学力が足りない私が思わず熱弁するほど広く、まず一番遠くに見える壮大な滝が見えて、そして流れてきたその水がちょうど私達の手前にある底まで見えるきれいで静かな湖になる。それだけじゃない、その湖から少し離れたところには広々とした草原があり、そして私達の後ろにあるあの通ってきた森と一緒にしたらこの世のすべての負の感情をここに置いていけるような楽園である。


「どうだ、驚いただろう?」


「ええ、本当に、見たことがありません。」


「そうだろう、だがこの裏山はレントルス公爵邸の所有物なのにレントルス公爵家の人達はここを一生に何度しか来ないんだぞ。」


「そんな、勿体無い!」


「そうだろう、だがそのお蔭でここは俺とお前しか知らない秘密基地になったんだぞ。」


「フフ、秘密基地って、」


「笑うな、いいだろうそのぐらい、お前も絶対に言うなよ、いいな?」


「ええ、これは私と翔さんとの約束ですわ。」


「。。。。。。。。」


「翔さん?」


「あ、いや、その、お前が初めて自主的に『翔さん』とよんでくるから......」


「。。。。。。。。。。」


もうどうしよう、私もつられて恥ずかしくなってきたじゃない!





そして私達は少しだけ足を休む為に草原のところへ行き、私が柔らかい草に座ろうとしたら翔さんがポケットの中から私でも高価だと分かるようなハンカチを取り出し、草の上に乗っけた。


「先にその上に座れ、俺はこの付近で適当に食料を持ってくる。そうだ、なにか食べれないものでもあるか?」


ええっと、前世は一つ2つ苦手なものがありましたけど、


「いいえ、特にありません。」


「分かった、いい子にしてろよ、()()()()


“ドクン”


そう言って翔さんは私の手を離し、私は突然に失った温もりと安心感に少し落ち込み、まだ未練を感じながら翔さんが去っていく背中を見つめる。


だが翔さんは湖の側に止まり、付近からなにか長くて尖った木の棒を持ち、ズボンの裾を上げ、その格好は他の人に言うと信じてくれない程公爵令息らしくなかった。





ああ、なんか翔さんと一緒にいたらなんかどこでも生きて行けそう。


私はなぜこんな事を考えたのか自分でも答えられず、気づいたら私も湖のところへ行き、最初は拒まれたけど翔さんと一緒に魚を捕まえようとしていた。
















まあ、結果を言いましょう、

魚は捕まえられました、一匹だけですけど。


でもその魚を捕まえるため私達の洋服は水に濡れ、お互いが汗ばんでいる。


私達はお互いを見て、一瞬何も言わなかったがすぐお互いの格好を笑いあった。


「プ、お前、最近運動不足じゃないか?顔真っ赤だぞ。」


「ハハハ、翔さんこそ、汗びっしょりですよ。」


そうやって私達は笑った、この楽園の外にあるすべての怒りと悲しみを忘れ、只々思いっきり大きな声で心から笑いあった。








ああ、こんな日々が永遠に続けばいいのに、


そんな夢の中の夢のような願いがいつか叶えられると信じ、その日楽園の中は夜遅くまで二人の笑い声が響いていた。







帰ってきて投稿しようとしたらまさか感想が書かれていたなんて(アザーーーーーす!!<ーー興奮気味です)


誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ