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取引しましょう  翔視点

宜しくお願いします


どうしてだろう、気づいたら俺はあいつに親とセバスチャンすら知らない秘密基地へ案内し、彼女に俺の前世での名前を呼ばせた。


そしてあいつが総合的に年下だと知り、俺はなぜか主人公の逆ハーエンドを阻止する代わりに俺と姉貴が編み出した悪役令嬢になるための心得を全て教えた。


いや、俺はただ同じ転生者で総合的に年下な“妹ちゃん”がほっておけないだけだ。


そうだ、それに違いない、だから俺はあいつの専属メイド、名前はなんだっけ、リメ、リケ、まあいい、その女が牢屋の中で暗殺されないよう密かで守らせてる。


そう、ただ同郷のよしみだけだ。




「だから、俺は......」


「どうしたのですか、顔が変ですよ。」


「な、ああ、ケベレダ王子、いいえ、何もありません。」


「そうですか、ですが最近私といても、授業中でも上の空で、まさかきになることでもありましたと。」


「そうですかね、自分では全く気づきませんでした。」


 確かに俺は同郷の“妹ちゃん”がどうしてるのか気になるが、だが上の空程じゃないだろう。


「フ~ん、そうですの、では気になるご令嬢とかいたりして。」


 お前はいつからこうなった、いや、流石に王子には言えないが。


「ご令嬢など、そんな、」


「ほほう、いいですね、青春で。」


 だからやめろ、クラスの女子が変な目で見てくるだろう。


「ではペドルア、今日は昼で城に帰らないといけませんので、後日そのご令嬢に会わせてくださいね。」


「ですから王子、」


「あ、もうこんな時間、次の授業に行きましょう。」


いや、だから話聞け!!!












あのマイペースな王子が早退した後俺は各食堂にて同郷のあいつを探しに行った。


いや、勘違いするな、ただ同郷のよしみで一人弁当を食べてるあいつに嫌味でもいいにやってやるんだ、ただそれだけだ。




そして俺が一番人気がある食堂についた途端、俺はあいつが食堂の中央で悪役令嬢の一人、エーナ・セナルデンと火花を散らしてるのを見た。


ちなみに俺は途中まで見てたがあいつならできると最初っから信じてたが、まさか連れて行かれると思わなかった。


ま、エーナ・セナルデンは正義感が強いからあいつに怪我させる事はまずないだろう。


だがさっき暗部からの連絡によるとあいつは行方不明になったエーナ・セナルデンを探すためにこんな夜遅くになっても王都中探し回ってるらしい。




な、まさか、いや、そんな、


俺はどうしてか姉貴のことを思い出し、暗部の人達に止められても意地で外へ出ていった。


頼む、()()()()、お前も失踪しないでくれ、頼む......













疲れが体に訴えかけ、息を吐くときに溢れる白い煙が騒がしい程急ぐ。

だが俺はそんなことにかまってる暇はない、





思えば全てのすべてが偶然から序幕を引いた。


そしてその偶然が今、俺を走らせる源になっている。



ったくどうして、どうして人探しなのに俺を頼らない?


どうして、どうして???






俺はあいつが行きそうな場所へと何箇所も行った、だが、いなかった。


仕方ない、俺は暗部と連絡しエモリアを探すのに手伝わせた。


はあ、やはり自分の暗部を作るべきだった、やはり今回の行動もお父様の監視のもとだな、だが、あいつを見つけられるならば、どうでもいい。








“ポツッ”




“ポツッポツポツッ”




“ザアアアアアアッ”




   空はあのときと同じく号泣してる、まるで俺の心の中を表せてるみたいだ。


   ったく今回は俺もずぶ濡れになったな......




   そして何時間探し続けたか、雨はさっきより一段と強くなっている。


   「坊っちゃん、ペドルア坊っちゃん」


   ああ、やっと来たか、ほんと、最終的に俺自身ではダメだったようだな、ガチで悔しいが。


   だが俺は自分の弱さに落ち込んでる暇など無い、ただ情報を元にし走り続けるだけだ。














   空の号泣は少し収まったがやはり肌寒く、吹いた風が小さな針のようでチクチクする。


   情報による場所につくとエモリアは倒れかけていて、俺はわずかに残ってる力を全力で振り絞り受け止めようとする。




   絶対に間に合え、絶対にだ。




“ガバッ”


よし、間に合った!




「ったくこのドアホ、どこへ行ってたんだよ!!」


すこし声がでかすぎたのか、だが俺は謝らないぞ、謝るのはそっちからだ。




だが彼女も力を尽きたようで、口は動いてるが声が出せていない。


なら、俺に言わせろ、


「はあ、ったくどうして俺を頼らない?


 俺はそんなに頼れないか??」


あいつはまた何か言おうとしたが途中で電池が切れたみたいに意識を闇に放り投げた。




......はあ、ったくこのドアホが。




だが俺と共に世界ゲームの強制力と戦う共犯よ、今日はよく頑張った、同郷のよしみとして少しだけ手伝ってやる。








「なあ、もういいだろう、出てこい。」


 あたりは静かで、俺達の気配しか無い。


 フ、只者ではなさそうだな。


「そうか、それでは俺が探しに行くか?」


「いいえ、それはいいです、」


出てきたのは俺の胸の中でぐっすりと眠る女が何時間かけて探したもうひとりの悪役令嬢、だが昼の顔と比べたらガチで悪役令嬢っぽいな。


だが俺が知るにはこの女は転生者では無い。


フフ、ガチで敵に回したら厄介な人種だな。


「ねえ、どうして貴方様がエモリアと一緒にいるのでしょう?」


「フ、それじゃあどうしてセナルデン侯爵令嬢はミミ・ベネザル男爵令嬢と親しくなったのです?」


ほんと、賢い女だ


多分この女は知っている、ミミ・ベネザル男爵令嬢もエモリアとエーナ・セナルデンと一緒の悪役令嬢だと、だから同盟を結んだのだろう。


「ま、レントルス公爵令息、深く関わるのはおやめになられたらいいかと、そうではないと、「そうではないとセレナ・ケレンドル公爵令嬢の餌食になるから。」」


「な、どうして、それが......」


ま、一様褒めてやる、お前は賢い女だ、だが同時にそれが一番の弱点となる。


「フ、セナルデン侯爵令嬢はエベルトン・ツイッカーター侯爵令息とご婚約があると」


「それが何?」


「それなのにあなたは、ネイズ・ミラボー伯爵令息を......」

 そう、本当はネイズなんて好きになっちゃいけないのに、


「な、何が言いたい?」


「取引しましょう、()と、あなた()と......」













翔視点はここで一旦止まり、次回からエモリア視点に戻ります。




P.S.お気づきになられたかも知れませんが、翔は外では「僕」と猫を被ります。


    まあ、エモリアの前ではそうではなさそうですがね(笑)


誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)

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