前世の俺は女運がない、と思う 翔視点
宜しくお願いします
昔々あるところでそれはそれは可愛くて、健気で、知性溢れる女子高校生がいました。
その女の子は入学早々学校中すべての男を虜にしながら何故か女子にも大人気だった。
そして女の子は高校2年生の時、全校生徒の支持を得て生徒会長になりました。
学校でその女の子を知っているすべての人はその生徒会長ば誰にも優しく、“丁寧に”接して、理想的な生徒会長だと言う。
ああ、そうだな、あいつは誰にでも優しい......
......俺以外は。
「ねえ翔早くどいて、あんたが洗面所にいたら私が遅刻しちゃうでしょう。」
「はあ、今日もかよ、つーか俺も遅刻なんだぞ。」
「ああ!?テメーこんなに可愛いくて優しい生徒会長の姉ちゃんに対して何言ってるんだ!!」
「ち、なにが可愛くて優しい生徒会長だよ、ただの猫かぶりじゃねーか!!」
そう、その女の子の名前は秋内麗子、毎日のように喧嘩してる2つも年上な俺の姉貴だ。
「ああ、そうだった、翔、テーブルの上にあるオーディションに応募してやったから。ちなみにお母さんもこの件賛成してるから。」
「は?なんのことだ?」
俺の姉貴はいつもやりたい事があれば先に俺を巻き込み、そして俺が反対しないように母さんを味方につける。
あ、勘違いするな、俺は消して母さんが怖くなんか無い。
ただ、俺のお小遣いや門限が、なあ......
「............やっぱ反対するべきだった。」
ったくどうして俺が芸能事務所のオーディションに参加しないといけないんだ!
ま、理由はたぶんあれだ、あいつが隠れオタクだからだ。
そしてこの事務所にあいつが大好きな声優さんが所属してもし俺が受かったらあいつがここに来る理由がになる、それしか思いつかない。
ったくいつかバチが当たるぞ!
そしてその夜姉貴は例の声優さんのことばかり聞いてきて、カチンとなった俺は数日後、姉貴の部屋にあったすべてのゲームを中古屋さんに売り飛ばした。
ま、そのせいで俺たちは大喧嘩したけどな。
時は数年経ち、俺はあの芸能事務所に声優として雇われ、そして数年間の積み重ねを得たおかげでちょっと有名な現役高校生声優となった。
確かそれは高校2年の時、俺の所にあるクソゲーのオファーが来た。
そう、それが「愛の道標~王子様達に愛されて~」という名前の恋愛シュミレーションゲーム。
や、本当は拒みたかったんだがマネージャーにその大手ゲーム制作会社からの指名されたみたいで断りにくいと何度も頼まれた。
ま、俺にとってこれはただのゲームだけだしやってやろうじゃないか。
......と思った俺をぶん殴りてーーー
「ねえ、秋内くん~~一緒に遊ぼうよ~~」
「はあ、立花雄踏、またお前か。」
「えーーどうしてフルネーム、友達なんだから下の名前で読んでよ~~」
誰と誰が友達だ。
「ったくそんな女々しく叫ぶな。」
「ぷう~」
はあ、どうしてこれが俺の公式ライバルなんだ?
そしてなぜこいつはいつも俺と同じ時間帯でアフレコしてる!?
「はあ~~」
「あ、翔くん、ため息しちゃうと幸せが逃げちゃうぞ!」
あああああ、やってらんない!!
っと思ってもすぐにマネージャーに何度も止められ、俺は理性をギリギリまでたもってやっとゲームのアフレコが完成した。
そして半年後、一人暮らししてた姉貴から急に電話が掛かってきた。
だがその時俺は他の仕事で忙しく、その一本の電話に出られなかった。
そう、それがまさか姉貴からの最後の電話なんて知らずに......
昔々あるところにそれはそれは可愛くて、健気で、知性に溢れて、とある高校の生徒会長をやっていた女子大生がいました。
その女子大生に就職先を見つけたばっかの親しいお友達がいて、俺に電話か掛かってきた夜みんなとお酒を飲みに行ったという。
だがその夜、あの女の子のお友達さんは不運の事故であの世へ行き、その女の子も消息不明だとになった。
数日後、その女の子は実家に手紙を贈り、それで彼女の家族が急いで開けたその手紙には「私は今異世界にいます、探しても無駄だと思いますので探さないでください。ッテへ!」っと書いていた。
............ふざけんな!!!さっきまでのシリアス感返せ!!!
ったく何が異世界だ、母さんはその手紙を見た途端壊れたように高笑いして父さんも怒りで入院したんだぞ!
しかも連絡先ぐらいよこせよ、ったく俺は全然大丈夫だが冷静になった母さんが心配するだろう!!俺は全然大丈夫だけど。
そして姉貴はそれっきり手紙も何も寄越さず、気がついたら例のクソゲーは第二部、第三部とシリーズ化し、とうとうアニメ化もする事になった。
いや、やめろ、クソアニメ確定だから。
そうやってツッコミながらある日、俺のマネージャーが風を引いたせいで一人で仕事現場へと向かった。
ほんと、俺は女に縁がないのか??
姉貴に色んな意味で苦しめられるわ、母さんにお小遣い減らされるわ、人気声優なのに彼女歴イコール年齢だわ、そして、人気のないところで俺の熱狂的女のファンに刺されるわ......
俺は赤く染まる地面に転がり、何も考えられなかった。
「あ、翔くん、やった、これで翔くんは私のモノ、」
う、うあ、
声優も人間だぞ、ったく自分の妄想と御本人と一緒にするなよ。
だが声を出そうとしたら全然でなく、正直俺は一瞬焦った。
「フフフフフ、これは翔くんが悪いのよ、だって翔くんが......」
き、聞こえない、もう、その女が何を言ってるのかも、さっきまで聞こえていた風の音も、
ああ、おれ、もう......
“ああ!?テメーこんなに可愛いくて優しい生徒会長の姉ちゃんに対して何言ってるんだ!!”
「あ......」
姉貴......
どうして、こんなときに姉貴の声が......
姉貴、今どこにいるんだ、幸せに生きてるのか?
ごめんな、あのときの電話に出れなくて、そしてゴメンな、最後まで父さんと母さんを守れなくて......
「ペドルア、なあ、ペドルア!」
は!
俺、どうして......
「大丈夫か、ペドルア、どこか痛いのか?」
え?
気づいたら俺のまぶたは濡れていて、数滴のしずくが頬へ流れていく。
「いいえ、ただ少しだけ寝不足です。
すみません、ケベレダ第2王子、ご迷惑おかけしました。」
「ああ、それなら良いのだが......ああ、もうこんな時間、早く次の授業へ行くぞ。」
「そうですね、行きましょう。」
そして今の俺、公爵令息のペドルア・レントルスと第二王子のケベレダ・ソタリケーネ・レナレードは学院の多くの生徒から注目を浴びながらともに足を運び始めた、
そう、そこで美味しそうに前世で食べたことがある懐かしい料理を食べながら独り言を言っているとある伯爵令嬢を後にし......
次回もペドルア(翔)視点、かな?
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