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神様を創ったら  作者:
7/7

その7

イシタマ様に振り回された高校生活が終わって4月、私達は大学生になった。


高校とは段違いな広さのキャンパスを歩きながら、由香里のあの時の話をしてた。


「結局なんだったんだろうね。アレって」


「鉄の箱も吹き飛ぶ何かなんて想像もつきませんよ」


卒業式予定だったあの日、正しくはその前日の夜に学校ではとんでもない事が起きてた。


イシタマ様を覆ってた鉄の箱は内側から吹き飛ばされて、中身のイシタマ様は上半分が綺麗さっぱり吹き飛んでいたのだ。


そして、何より不思議なのは、()()()()()()中身(・・)()()()()()()()って言う事。


まるで雛が孵った卵の殻みたいな状態で残っていたそうだ。


当時はその時に撮られた写真があっちこっちのニュースサイトや掲示板に貼られて盛り上がってた。


もともとこのイタズラの為に中身をくりぬいた石を用意して中に爆弾を詰めてたって意見も出てたけど、あの石が由香里が準備したものと同じだったらそれは無い。


ていうか、鉄の箱を内側から吹き飛ばすような爆弾だったら石の下半分も吹き飛んでると思う。


「掲示板で言われていた様な爆発物の痕跡も結局出なかったそうですし、ホントどうやったんでしょうね」


「私的には、当初の設定通りにイシタマ様が孵ってその反動で吹き飛ばされた説を押してみたい」


「あの時期に集まってた祈りや信仰で産まれた神様とはあんまり会いたくないですね。どんな気性か分かったもんじゃないですし」


「天罰依頼ばっかだったろうしね。一部は天罰のお礼とかもあげてたかもだけど」


「悪を挫く正義の味方な神様になってたらいいんですけど」


どうしてあんな風になったのか、何度考えても分からない。


でも、時々思う事がある。


イシタマ様の噂を乗っ取って悪人に天罰を与えていた“誰か”って、ホントに存在したのかって。


従姉さんがあんなに念を押して私達に手を引く様に言ったのは、加減を知らない“誰か”じゃなくて、イシタマ様自体から引き離したかったんじゃないかって。


何か悪い事をした人たちに天罰を与えてたのは、自身じゃないかって。


由香里は物がホントに神様になるには気が遠くなる年月の信仰が必要って言ってたけど、その理由はどうあれホントに苦しんでる人の救いを求める祈りが、年月を超越する事もあるんじゃないかって。


それを確かめる方法はもう無いけど、もしそうならきっと弱ってる人を助けてくれる良い神様になってるんじゃないかなぁって。


ここまで来るともう願望だけど、そんな可能性があるんじゃないかって考えるのは勝手だよね。


「それで梓ちゃん、一つ相談なんですが」


「神様はもう作らないよ」


「リトライしてもいいじゃないですか!次はもっとうまく管理できるように頑張りますから」


「高校三年間をそれで潰したのに、今度は大学四年間+αを潰す気?折角の大学生なんだからもっと楽しい事しようよ」


「例えば?」


「例えば、…………異世界の扉を開くとか?」


「同レベル」


「違うし!私のはもっとこう、成功したら人類史を一新するような大偉業になるから!」


「異世界の扉からSAN値直葬するようなタコとかイカとか出て来たらどうするんですか?そうでなくとも蟲がわんさかいる地獄みたいな場所に繋がるかも」


「想像させないで!」


あーだこーだと言いながら私達は平和な時間を歩いていく。


いつまでもこういう時間が続く事を神様に願いながら。








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