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神様を創ったら  作者:
1/7

その1

正直、これのジャンル分けが分からなかったのでその他にしてます。

「ねぇ梓ちゃん!一緒に神様を創りましょう!」


「はい?」


帰り道の寄り道で入ったMバーカー店で、いつもおかしい由香里がおかしな事を言い出した。


この友人は見た目は可愛いくて優しくて料理とかもめちゃ上手いのに、こういうとこで台無しにしてると思う。


「かみさまっていうと、ペーパーじゃなくてゴッドの方の神様?」


「はい、その神様ですね。せっかく高校生になったんですから、卒業しても残りそうなのを一つ創っておきましょう!」


「そんなプラモを作る様な気軽さで言われても。大体神様ってどんな風に作ればいいの?」


「人が認識して信仰すれば、そこにその神は出来るんですよ。極端な話、このストローも信仰を得る事が出来たら神様、又は不思議パワーを持つ宝具になる訳です」


「うん、意味分かんないけど信仰を得たらって、つまり由香里は何かの信仰を集めたいの?」


「流石は梓ちゃん、感がいいですね。実は信仰を集める対象は既に用意済みなんですよ」


「へぇ、どんなの?」


「これですね」


そう言って由香里が出してきたスマフォの画面には、お地蔵様が入ってそうなボロボロの御社みたいなのに入った縦長の石。


「……ナニコレ?」


「石です」


「石ですって、これに信仰を集めるっていうの?」


「石を崇めるのは古代信仰ではよくある事ですよ。まぁ大概は巨石信仰ですが」


「これ、全然大きくないよね?せめてお地蔵様ぽければマシかもだけど、ただの石に信仰が集まるわけないでしょ」


「まぁ信仰を持ってない一般人の意見ではそうでしょう。ですが、信仰を得れば価値は急変するのですよ。さっき例に出した巨石信仰も、信仰やそれを示す何かがなければただ大きな石材の素でしかないわけですよ。更に言うなら資材の認識すらも持たなきゃただの障害物ですよ」


「そうかもしれないけどさ、由香里の目的からしてコレを置いてあるのは学校でしょ?高校生が石なんか信仰も崇めもしないって」


「まぁまぁ、このままでは難しいでしょう。ですが、これにバックグラウンドが付けばどうでしょう?」


「え?プログラミングでもするの?」


「やる事は近いですが、今は大本の意味での“背景”ですね。簡単に言えば信仰に足るストーリーを付けてやればいいんですよ」


「霊験あらたかな?」


「そう、灼然いやちこなストーリーですね。まぁ昔話的なのではなく、現代っ子が喜びそうなのですが」


「現代っ子が喜びそうな霊験のあるお話って何?」


「この石は神様の卵です」


「は?」


「この石は神様の卵なんですよ」


頭が痛くなってきた……


「もう少し詳しく」


「ま、これだけだと何言ってんだって感じですからね。ですが、土や石で生命を作ったという神話はありますよ。創世神話の土から創られた最初の人とかギリシャ神話の投石による人類種の再生とか。果ては自力で石から誕生したトト神とか、仙石から産まれた卵から孵った孫悟空とかもありますから」


「うちの学校でそこ等辺を知ってるのは片手で足りそうだけど」


「別に知らなくても構わないんですよ。まずは信仰の対象となる石を写真で見せた風に飾ってSNSや裏サイトを通して学校に神様の卵という噂を流します。信仰を溜めれば卵から神様が孵って信仰した人を救う救世主となる的な感じの書き込みをして、否定的な意見の中に石とかに関係する神話を放り込みます。大体の人はスルーするでしょうが、こういうのは無意識では憶えてしまうもの。これが後々効いてきます。」


「色々と工夫するのは分かったけど、その信仰が安定する前にイタズラで壊されたりするんじゃないの?」


「でしょうね。まぁ似た石のストックはあるんで、イタズラで石を弄ったり壊したりする人がいれば話は早いので助かりますが」


「なんで?」


「信仰を集めるのに一番手っ取り早い方法、それは力を示す事です。例えば天罰とか」


「天罰って、一体全体どうするのさ?誰がやったかも判別しないといけないのに」


「誰がやったかは比較的簡単に分かりますよ。昨今は長時間撮影可能な小型カメラや、人の動きに反応して録画を始めてくれるセキュリティカメラとかもありますから」


「そこまでやる?」


「神様を創る為ですからね。ある程度確立するまでは、この位はしてあげないと」


物凄い暇人が居た。


ああいうカメラって普通に5ケタするもんだけど、どれだけ本気何だか。


「じゃあ、天罰って?イタズラ程度なら手伝うけど、ガチ犯罪には手は貸さないよ」


「天罰(物理)が一番手っ取り早いのは確かですけど、問題が大きくなりすぎても困りものですからね。ここは意思という事で鞄にいっぱい小石を詰め込むぐらいが丁度いいですかね」


性質たちが悪い!」


「イタズラにああいうのを壊したら怖いってのを霊的に無害なこれで教えといた方が本人の為ですって。ガチの神霊スポットや信仰物でやったら下手したら死ぬよりも辛い目に合いますし」


「実例でも知ってるの?」


「将門の首塚とかは有名ですよね。大蔵省、米軍、銀行お構いなしに祟り殺すその姿勢は頭が下がると同時に、あそこ付近には近寄りたくないです。知らない内に粗相をして祟り殺されたり干されたりするとか笑い話にもなりませんよ」


「いや、将門は例外すぎる気もするけど。ていうか死ぬよりも辛いんじゃなくて、死んでるし」


「まぁ将門の祟りレベルは無理として、天罰系はソフトにやりますから。間違っても怪我とかはさせませんし」


「怪我とかさせたらシャレにならないしね。で、他に何かやる事はあるの?」


「今の所はないですね。精々、一週間に何回か日を挟んで特定の掲示板とかに噂の書き込みとかでサクラをして貰うぐらいです」


「それぐらいなら良いけどさ、私達二人でそれをやるの?」


「流石にキツいので、こういうのが大好きな大学生の従姉が居るので書き込みを頼んでます。在学中は友達に叱られてできなかったとか言ってノリノリです」


「さすが由香里の親戚って感じだね。でもさ、ホントに神様が孵っちゃったらどうする?」


「ハハハ、万が一にホントに神様になるにしても、数百年とか気が遠くなる年月で真摯な信仰の積み重ねが必要ですよ。まぁ兆に一つ神様が孵る事があっても、それはそれで面白いのでOKです」


「由香里だねぇ」





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