表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/100

63話 海と水着とカメラと妹 3

「妹ハーレム」がなろうコン一次通りました! ありがとうございます!

 (かえで)ちゃんたちの元を離れた俺は、海を背にしてカメラを構えていた。

 カメラの向く先はパラソルの影で談笑している司音(しのん)ちゃんと夜花(よるか)ちゃんよ二人。

 なんだかこの光景をそのまま撮りたくなったから、俺は二人に気付かれないよう距離を取っている。

 こういうとき、スマホだと画質落ちるからカメラは便利だよな。

 そんなことを考えながらシャッターを切る。

 

 ふむ、きれいに撮れているな。

 撮影した写真を確認してから、俺は二人の元に向かった。

 

 

「よっ、二人とも。楽しんでるか?」

「は、はいっ。満喫してますっ!」

 軽く声を掛けると夜花ちゃんは顔を赤らめながらそう答えた。

 ふむふむ、満喫できているならお兄ちゃん嬉しいよ。

「センパイは何してるんですか? 盗撮ですか?」

 少し恥じらいを見せる夜花ちゃんに和んでいると、ふと司音ちゃんがいつものようにボケてきた。

 俺はため息を溢しながら「違うわ」と否定する。

「折角の旅行だし、思い出残しに写真撮ってるだけだ」

「盗撮ですか?」

「了承は得てるから盗撮じゃねぇよ」

 いや、二人の写真は声を掛けてないから了承はもらってないのか? ……いや、だからって盗撮にはならんだろ。

 少しヒヤリとしたが、そもそもそんなことを気にする者はこの場にいないだろうと自分に言い聞かせ落ち着かせる。


「じゃあ私たちも撮ってくれますよねー?」

「そうだな、撮らせてもらうよ」

 頬に指を当てわざとらしく尋ねてくる司音ちゃんに、俺はそう頷いてカメラを構える。

「……って、夜花ちゃん、わざわざ隠さなくてもいいんじゃないか?」

「いや、そのっ……」

 すると反射的に夜花ちゃんが開いていたパーカーを素早く閉めて水着姿を隠してしまった。

 意識すると恥ずかしいのだろうか? さっきよりも顔が赤いし。

 そう首を傾げていると、司音ちゃんが夜花ちゃんに何やら耳打ちをする。

 また何かおかしなことを吹き込んでいるのだろうか。そう訝しんでいると、少し躊躇いを残しながらも夜花ちゃんがパーカーを脱ぎ捨てた。

 いったいどんなことを吹き込んだのだろうか。したり顔の司音ちゃんにジト目を向けつつ、もう一度シャッターを切る。

 

「よし、ありがとう二人共」

「センパーイ、可愛く撮れましたか?」

 わざわざ胸を強調するような姿勢で尋ねてくる司音ちゃんに、俺は今撮った写真を見せて「大丈夫だ」と答える。

「ふふっ、夜花ちゃんすごい顔真っ赤ですね~♪」

「しっ、司音ちゃんっ」

「このこの~、可愛いやつめ~♪」

「はぅっ、お腹をつつかないでっ」

 司音ちゃんがからかい、夜花ちゃんが反抗するという百合百合ゾーンが展開され、俺はその光景を微笑ましく思いながらソッとその場を後にした。

 

 あぁ、尊い。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 百合な後輩二人を置いて最後に向かうのは、ビーチチェアで呑気に寝ているかすみんのところ。

 遠目で確認するが、かすみんはいまだに寝ている。

 ちゃっかりサングラスかけて隣の小テーブルにラジオとジュースの入ったグラスが置いてある。贅沢ここに極まりだ。

 まったく、みんなが仲良く遊んでいるのにぐーたら寝やがって。

 どれだけぐっすり寝ているのか、目の前まで来たというのにかすみんが起きる気配は一向にない。

 イタズラしてやろうか。そんな感情が湧いてくるが、そうしてしまえばかすみんが起きてしまう。

 なので俺はひとまず寝ているかすみんを写真に収める。

 ふむ、いい寝顔だ。……サングラスで目の辺り隠れてるけど。

 

「さて、なにかイタズラをしようか……」

 カメラを小テーブルに置かせてもらい、腕を組んで考えに耽る。

 今日のかすみんの水着はフリルが盛られた大胆大人な黒ビキニ。白い柔肌を多く露出し可愛らしいおへそまでこんにちはしている。

 

 ……つまり、すべきことはただ一つ。

 

 俺は指をへそに突っ込み、柔肌の弾力を味わうように掻き回す。

 や、柔らかい……

 太っているわけではないのにこの弾力、やはりかすみんも女子か。

 いや二十代が〝子〟に含まれるかは怪しいけど。

 

「だが、これでも起きないか」

 少しばかり「んっ」とか「ふっ」とか声を漏らしているが、まだ起きそうにはない。

 ふむ、なら次はなにをしようか……

 少し考えた挙げ句、俺はかすみんのお腹に掌を滑らせる。

 わー、すべすべだぁ。……って、面白くねぇ。

 

「やっぱりこういうイタズラは本人が起きていて初めて成立するもんだよな」

 うんうんと一人でに納得していると、

 

 ──パシャリ。

 

 どこからかそんなシャッター音が聞こえてきた。

 俺は恐る恐る、音がした方へと顔を向ける。

 

「…………」

「…………」

 

 そこには、無言で笑みを浮かべスマホのカメラをこちらに向ける(あかね)の姿が。

 

 ……え、あっ、え?

 

「お兄ちゃんのへ・ん・た・い♡」

「いっ、いやっ、これはっ」

 

 俺はどう言い訳しようかと頭を悩ませたが、結局どうにもなりそうになかったので諦めることにした。

 というか、茜にだけは変態と言われたくない。異論は認めん。

 

 追記しておくと、このことは誰にも言わないと約束してくれた。

 うん、信じたいんだが、茜のことだし脅迫(お願い)とかしてきそうで怖い。割りと本気で怖いっす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ