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60話 夏と海と水着姿の妹たち 6

「妹ハーレム」一周年!

 (あかね)、かすみんとの添い寝が決定し幕を閉じたビーチバレー。

 気付けば時間は十二時になろうとしていた。

 俺は大急ぎで別荘からバーベキューのセットと食材の入ったクーラーボックスを抱え、妹たちが待つ砂浜へと戻る。

 

 厳人(げんと)さんが取り寄せてくれたというバーベキューセットは、普段スーパー等で見掛けるよりも一段と高価そうで、尚且つ作りが良い。

 木炭もホームセンターに売っているようなものではなく、もっと高いものを用意してくれたらしい。

 

 これで焼く肉はとても美味しいだろうなぁ。

 準備している今から涎が止まらない。

 

 それに、食材の方も高級品ばかりで、A5ランクの黒毛和牛だったり伊勢海老だったり、普段の食事では使えそうにない食材が多数入っていた。

 

 これは……最高のバーベキューになりそうだ。

 俺は妹たちの笑顔を思い浮かべ、だらしない笑みを浮かべるのだった。

 

 

「よし、準備はできた。早速焼くか」

「お兄ちゃん、手伝いますよ」

 準備を終えると、茜が牛肉のパックを持ってやってきた。

「助かる」とだけ伝え、網の上に肉を広げる。

 ジュゥ……という音と共に、食欲を刺激するようなにおいが立ち込める。

 おおう、旨そうだなぁ。

「いいにおいですね、お兄ちゃん」

「そうだな。流石は黒毛和牛といったところか」

 なんて会話をしながら俺たちは肉を焼き、朝日(あさひ)蓮唯(れんゆい)ちゃんが皿出しをしてくれている。

 ちゃっかり司音(しのん)ちゃんが皿を両手に乗せコンロの前でスタンバイしているが……別にいいか。

 なんて思っていると、その妹である魅音(みよん)ちゃんは頭に手を当てため息を吐いていた。

 

「はぁ……葉雪(はゆき)さん、うちの愚姉がすいません」

「いやいや、気にしなくていい。皆お腹空いてるもんな」

 先程まで彼女たちは白熱したビーチバレーを繰り広げていたのだ、お腹が空かないわけがない。

 少しばかり妹たちの雄姿を思い返していると──

 

 きゅぅぅぅ……

 

 誰かのお腹が鳴った。

 なんとも可愛らしい音だろうか。

 そう和みつつ誰の音だろうと探っていると──すぐにわかった。

 わかりやすく(かえで)ちゃんはお腹を押さえ顔を真っ赤に染めている。

 ふと楓ちゃんと目が合った。

 

「ちっ、違うんですよ葉雪にぃさん! 別に私は空腹キャラというワケではありませんから! いっ、今はビーチバレーで疲れててっ」

 慌てて弁解しようとする楓ちゃんに俺は「わかってるから」と笑顔を返す。

 楓ちゃんは俯いてしまった。

 

「お兄ちゃん、よそ見してたらお肉焦げちゃいますよ?」

「あぁ、すまない」

 茜の忠告に目を戻すと、肉がどれもいい具合に焼けていた。

 俺は妹たちに「皿持ってこい」と言い、焦げないよう肉を網の端に移動させる。

 ちゃっかり、茜は自分の皿に肉を移していた。

 

 妹たちは皿を持ち俺の前に順番に並ぶ。

 俺はトングで肉を掴み、お皿の上に置いていく。

「おっなかすいたー!」

 朝日はそう叫びながら、皿の上に置かれた肉を見て目を輝かせる。

 蓮唯ちゃんも同じような反応をしていた。

 やっぱりあの二人は似ているところがあるな。

 

 

 全員に肉、それと追加で野菜を配り一度落ち着くと、俺は「いただきます」と言い妹たちが続く。

 

「わぁっ、お兄ちゃん! このお肉すごい美味しいです!」

 肉を一口で食べた茜は、咀嚼しながら目を輝かせる。

「よかったな」と茜に返し、俺も自分の皿に乗っている肉を掴み口へ放り込む。

 んっ、これは旨い! 肉自体の味もいいし、俺の焼き方も上手いな。

 そう自画自賛していると、茜は肉を呑み込み笑顔を向けてくる。

「流石はお兄ちゃんですね。ここまできれいに焼けるなんて」

「お、おう。ありがとな」

 少しだけ気恥ずかしくなった俺は、そっぽを向いて野菜を口に運ぶ。

 

「……あれ、どう思いますか?」

「え? その、仲の良い兄妹ですね?」

「確かに、日中抱き合う淫乱兄妹の仲が悪いワケないが」

「それにしても……葉雪にぃさん茜さんといるときは特に嬉しそうですよね」

「そうですよ。今だってただお肉食べただけなのに甘酸っぱい雰囲気出しちゃって」

 

 外野たちの会話が耳に入ってくる……というか、これ絶対聞こえるように言ってるだろ。

 ちょっとした悪意を感じたが、トテトテとやってきた(すず)ちゃんの姿に頬が緩む。

「えっと、にぃさまおかわりください……」

 少しだけ恥ずかしそうに俯いた凉ちゃんは、綺麗に空になった皿を渡してくる。

 なにこれ可愛い。

 俺は「わかった」と返し、丁度焼けた肉と野菜を乗せる。

「ありがとうございますっ……」

 凉ちゃんは頭をペコリと軽く下げると、元いた場所にトテトテと戻っていった。

 いやぁ、凉ちゃんには癒されるなぁ。

「はっ、お兄ちゃんが浮気をっ!」

「浮気とは何だ」

 変な言い掛かりに苦笑を浮かべつつ、俺は皿を空にしておかわり分を乗せる。

 

「は、葉雪にぃさん、私にもお願いします」

 とそこへ楓ちゃんがやってきた。

 楓ちゃんのお皿も空になっている。

 俺はよく焼けているお肉と野菜選び皿に乗せた。

「あっ、ありがとうございます」

 だが、何故か楓ちゃんは元いた場所には戻ろうとせず、俺の前でワナワナとしだす。

 どうしたんだ? と首を傾げていると、楓ちゃんはおもむろに肉を掴むと、頬を紅潮させながら、

「あ、あーん……」

 その肉を差し出してきた。

 皆の前だと少し恥ずかしいが、楓ちゃんの厚意を無下にするワケにはいかないのでありがたく受け取っておく。

「お、美味しいですか?」

「あぁ、楓ちゃんが食べさせてくれたから余計美味しく感じるよ」

 自分言ってあれだが、俺はよく毎回こんな歯が浮くようなことを言えるよな。

 そんなくだらないことを考えながら、俺はお返しにと自分の皿かなら肉を取り同じく『あーん』をする。

 楓ちゃんは顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと口を開く。

 

「そうはさせません!」

 

 とそこへ突入してきた茜は、俺の差し出している肉に横から食らいついた!

 突然のことに楓ちゃんはフリーズし、すぐに「あぅ……」と声を漏らし肩を落とす。

「ふっ、お兄ちゃんの初あーんは誰にも渡しません!」

 肉を呑み込んだ茜は、ビシッと箸を指した。

「行儀が悪い」

 俺はその手を下ろさせて、楓ちゃんに改めてあーんをする。

 楓ちゃんは今度は取られまいと勢いよくかぶりついた。

 

「お、美味しいです」

「そっか、よかったよ」

 控えめにはにかむ楓ちゃんは、とても可愛かった。

 

 それからも朝日や蓮唯ちゃんが焼きとうもろこしで興奮したり、茜がソーセージをエロく食べたりなど和気藹々とした雰囲気でバーベキューは幕を閉じた。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 バーベキューを済ませ休憩を挟んだ俺たちは、その後午前の熱を忘れたように穏やかに遊んだ。

 朝日と蓮唯ちゃんはガッツリ海で泳ぎ、光月(みつき)はパラソルの日陰で静かに読書。

 波瀬(はせ)姉妹は砂で何かを作り、楓ちゃんは凉ちゃんと浅瀬で水を掛け合っている。

 

 なんと微笑ましい光景か。

 そして俺は砂浜に埋められていた。

 犯人は茜、そして意外なことに夜花(よるか)ちゃん。

 砂風呂ってこんな感じなのだろうか、そんな感想を抱きながら自分の体に目を向ける。

 ガッツリ水で固められた砂は俺の体に重く伸し掛かり、今もなお茜が砂を増やしている。

 ここまでくると、自力で脱出するのは難しい。

 誰かが掘り返してくれることを祈ろう。そう思い目を閉じると、ふと砂とは違う重みを感じた。

 目を開けると、目の前には夜花ちゃんの顔が。

 

「……」

「……」

 互いに無言で見つめ合う。夜花ちゃんが赤面した。

 これはどういう状況だ?

 そう首を傾げると、夜花ちゃんはおもむろにラッシュガードのジッパーを下ろす。

 今までラッシュガードに封じられていた夜花ちゃんの胸が解放されぷるんっと大きく揺れた。

 そこから覗くのは、セクシー……というか大胆すぎるマイクロビキニ。

 多分種類の中では大きい方なのだろうが、いかんせん夜花ちゃんの胸が大きいため対照的に小さく感じる。

 う、うぁ……

 目の前の肌色に目を奪われ、その谷間や紐の食い込んだ部分が鮮明に脳に焼き付く。

 夜花ちゃんが僅かに動くと、眼前の巨乳はぷるんっと大きく揺れる。

 それが何回か繰り返されたところで俺は夜花ちゃんが意図的にそれをやっていることに気付いた。

 

「よ、夜花ちゃん……?」

「どっ、どうですか先輩……私の水着姿は」

「どうって……すごくエロいと思う」

「えっ、えろっ!?」

 俺の正直な感想に、夜花ちゃんは声を上擦らせる。

 だが、それでも夜花ちゃんは胸を揺らすことを止めない。

 不規則に揺れる胸は、時々ぶつかり外側に跳ねたり、並び揃って揺れたりなど、俺の中にある男心を刺激し続ける。

 

「先輩っ」

「おっ、おう」

「先輩は私の胸好きですか?」

「え?」

 私のこと好きですか? ではなく私の胸好きですか? なんて質問、生まれて初めて訊かれた。

「お、男として胸は好きだが……俺は夜花ちゃんの胸を見て一緒にいるワケじゃない」

 胸目当てで一緒にいるんじゃないと俺は伝える。

 すると夜花ちゃんは静かにはにかむ。

「わかってますよ。でも、こういうときは胸を見てください。……それが私の武器ですから」

 武器という不穏なワードに首を傾げると、突然夜花ちゃんが胸を俺の顔に押し当ててきた!

 

「むっ、むがっ」

 胸の凶悪な柔らかさ、微かに香る汗と女の子匂い。

 俺の理性は急激削れ、意識が遠退いていく。

「わ、私に魅了してください!」

 そんな声は聞こえず……俺は窒息し気絶した。

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