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60話 夏と海と水着姿の妹たち 2

毎日投稿十日目!

体調が優れず、投稿が遅れました。誠に申し訳ございません( ;∀;)

「……で、何をするんだ?」

 盛り上がっている空気を壊すようだが、俺は(あかね)たちに問い掛ける。

 すると全員が同時に首を傾げた。

 どうやら誰も決めていなかったらしい。

 いや、俺も決めてなかったが……どうするか。

 

「と、取り敢えず定番のアレをやりましょう!」

「定番のアレか……」

 茜の提案に普段からラノベを読む俺やかすみん、光月(みつき)朝日(あさひ)は理解ができたが、それ以外の皆はピンとこないのかより一層首を傾げた。

 というか、

「アレなら家を出る前にしただろ」

「確かにそうですけど。塗り直しておいた方がいいでょ?」

「ふむ……」

 確かに塗り直しは必要だが……


「あ、あの、さっきから何を話しているんですか?」

 茜と話していると、(かえで)ちゃんが尋ねてきた。

「あぁ、それは──」

「これのことですよ」

 俺が説明するよりも早く、茜が鞄から小さなボトルを取り出した。

「それは、日焼け止めですか?」

「そうです」と何故か胸を張る茜。

 今は水着だから普段よりも胸が強調されていて……やばい、つい見てしまう。

 

「……ん? ど、どうしたんだ皆」

 気付けば、茜以外の全員が俺のことを白い目で睨んでいた。

葉雪(はゆき)にぃさん、そんなに茜さんのことがいいんですか……」

「センパイはどうして茜ちゃんばかり見るんですか」

「葉雪、お前ってやつは」

 楓ちゃんや司音(しのん)ちゃん、かすみんが口々に俺を避難する。

 あ、あっれれー? おっかしいぞー?

 どうしてだろうと首を傾げていると、茜が勝ち誇ったかのように手を空に掲げた。

 

「ふへへっ、つまりこの私が一番です!」

 話に付いていけないが、取り敢えず茜がまた残念なことを考えていることはわかった。

 よし、こういうときは無視するに限る。

 俺は茜の横を通りすぎ、楓ちゃんに先のことを説明する。

 

「えっと、つまり日焼け止めを葉雪にぃさんに塗ってもらえるってことですか?」

 いや、俺はそういうのがラノベではよくあると説明しただけなのだが。

 なんだろう、俺が塗ることが確定してる気がする。

 ここはしっかりやらないって言わないと……ん?

 断ろうと口を開くが、楓ちゃん以外の皆が期待の眼差しを向けていることに気付いた。

 あれ? これ断れる雰囲気じゃなくね?

 

 

 ……というワケで、俺は全員にサンオイルを塗ることとなった。

 なんだこの展開、ラノベでもないんじゃないのか?

 それはともかく。

 順番は楓ちゃん、蓮唯(れんゆい)ちゃん、(すず)ちゃん、司音ちゃん、魅音(みのん)ちゃん夜花(よるか)ちゃん、かすみん、光月、朝日、そして茜となった。

 

「は、葉雪にぃさん、お願いします」

 楓ちゃんは水着を外し、レジャーシートに俯せになっている。

 白くきめ細やかな柔肌に、スラリと伸びた足が太陽のように眩しい。

 チラリと覗く横顔は、恥じらいからか紅潮している。

 くっ、ここは男らしく決意するしかないっ!

 俺は恥じらいを捨て去り、日焼け止めクリームを適当に手に出し楓ちゃんの背中に塗り付ける。


「ひゃうっ」

 

「ご、ごめん、大丈夫か?」

 楓ちゃんの悲鳴に手を離すと、楓ちゃんは「大丈夫です」と苦笑した。

「ちょっと冷たかっただけです」

「そ、そうか」

 俺はもう一度楓ちゃんの背中に手を乗せ、ゆっくりとムラなくクリームを塗り広げていく。

「んっ……ふぅっ……! 気持ちいいです、葉雪にぃはん」

「そ、そうか」

 日焼け止め塗るのに気持ちいいってあるのか……?

 そんな疑問を抱きながら、俺は適宜クリームを補充し背中や手足に塗っていく。

「うぅ……んぐっ」

 くぅぅぅ、楓ちゃんの艶かしい声で集中できないっ。

 俺は心を落ち着かせるため素数を数え、黙々と日焼け止めを施していく。

「これ、声だけ聞いたらエッチなビデオですよね」

「ね、ねぇさまがあんな声を出して……」

「センパイとエッチな撮影会……ふふっ、そそられますね♪」

 外野の声に余計に集中を削がれながら、俺は何とか楓ちゃんにクリームを塗り終わるのだった。

 

 

 脱力した楓ちゃんを別のシートに寝かせ、次は蓮唯ちゃんの番となった。

 蓮唯ちゃんは水着のホックを外し、シートに横になる。

 蓮唯ちゃんは運動派だからだろか、蓮唯ちゃんの体は女の子らしさを残しつつも楓ちゃんたちよりも筋肉がしっかりしていた。

 ふむ、最近の子にしては健康的でお兄ちゃん嬉しいぞ。

 

「にぃに! 早く早く~」

「おう、わかった」

 蓮唯ちゃんに催促され、俺は蓮唯ちゃんの背中にクリームを塗っていく。

「あははっ、にぃにくすぐったい!」

「そうか、少し我慢してくれよ」

 楓ちゃんとは違い、くすぐったそうに身を捩らせる蓮唯ちゃん。

 少し塗りづらいが、あの艶かしい声を出されるより断然マシだ。

 蓮唯ちゃんが変な声を出さなかったお陰でクリームをほぼ全体に塗っていくことができた。

 残るは足、ふくらはぎだけとなったのだが……

 

「あぅぅぅ……」

「れ、蓮唯ちゃん?」

 どうかしたしたか? と尋ねると、蓮唯ちゃんは恥ずかしそうに、

「ふくらはぎが弱いみたい」

 とはにかんだ。

 まさか、最後の最後でこんなことが起こるなんて……

 というか、ふくらはぎが弱いなんて初めて聞いたぞ。

 だが、反応を見る限り他よりくすぐったい程度だろう。

 そう思い、俺は早く終わらせようと両手でクリームを塗り広げるのだが……

 

「ふぅっ……あんっ」

 おかしい、最初のときはくすぐったそうな声だったのに、今は楓ちゃんのような悩ましい声を漏らしている。

「にぃ、に……」

 蓮唯ちゃんは潤んだ瞳を俺に向け、何かを訴え掛けてくる。

 よし、早く終わらせよう。

 蓮唯ちゃんの言いたかったこととは違うかもしれないが、こういうときは早く終わらせるに限る。

 俺は集中力を高め蓮唯ちゃんの声を聞き流してクリームを広げていく。

 数分後、無事何事もなく日焼け止めクリームを塗り終ったのだが……蓮唯ちゃんは楓ちゃんのように脱力し動かなくなった。

 

 

 蓮唯ちゃんを別のシートに移すと、既に凉ちゃんが水着を脱ぎ待っていた。

「お、お願いします、にぃさま……」

 凉ちゃんは白い肌を真っ赤に染めている。

 そんなに恥ずかしいならしなきゃいいのに。なんて思いながらも、凉ちゃんのような天使に日焼け止めを塗れることを嬉しく思っていた。

 

「にぃさま……」

「わ、わかった」

 俺は日焼け止めクリームを手に出し、手の温度で少し温めて凉ちゃんの背中に塗り広げる。

「はふぅ」

「凉ちゃん、大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

 まだ顔は赤いが、凉ちゃんの体から余計な力が抜けていく。

 だんだん安心してきたのだろう、その表情も柔らかくなっている。

「……何かお兄ちゃん、いつになく優しいですね」

「ちょっと悔しいですね、私の妹ですけど」

 ……少し外野が騒がしいが、気にしないでおこう。

 別に優しいのではない。ただ、決して凉ちゃんに先の二人のような声を出させないためだ。

 他意はない。本当に他意はない。

 そのまま慎重且つ丁寧にクリームを塗り広げ終わらせようと思ったのだが……

 

「くふぅっ……はぅっ」

「……」

 どうしてこうなった。

 凉ちゃんは頬を紅潮させ、サファイアのような青い瞳を濡らしている。

「事後ですね」

「事後だな」

「事後ってなんですか?」

 茜とかすみんの感想に、魅音ちゃんが首を傾げる。

 言いたいことはわかるが、せめて聞こえないように言ってほしかった。

 あと、魅音ちゃんは興味を持たなくていい。お願いだから二人も話さないでくれ。

 そう願いながら、俺はクリームのムラをなくしていく。

「んっ……ふぅっ、あぅ」

「あと少しだから、耐えてくれ凉ちゃん」

 凉ちゃんはコクリと頷き、両手で口を押さえた。

「んぅっ……! ふっ……んんっ!」

 押さえているせいか、余計に漏れる息が艶かしく聞こえる。

 早く、終わらせよう……

 俺は素数を数えながらクリームを塗り広げ、やっとのことで塗り終わったのだった。

 

 

「ふぅ、まだ三人なのに疲れた……精神的に」

 凉ちゃんをシートで休ませ、俺は休憩をしていた。

 海から吹き込んでくる風が涼しい。

 はぁ、けどまだ三人……残る人数は七人か。

「……はぁ」

 正直役得だとは思ってるが、それでもやはり心臓に悪い。

 なんせ全員が美少女、何度でも言うが全員美少女なのだ。そんな彼女たちのあられもない姿を続けて目にしているのだ、俺でなければ狼と化していた。

 

「お兄ちゃん、お疲れですか?」

「……まぁな」

 そんな俺の気苦労を知ってか、茜は含みのある笑みを浮かべ話し掛けてきた。

「別に我慢しなくても、今から予定を変更してもいいんですよ?」

「しないぞ、お前の期待してることは絶対にしないからな」

 そう言い切ると、茜はつまらなそうに頬を膨らませる。

「まぁ別にいいですよ。今回は夏休みを満喫するのが目的ですし」

 以外にも茜の聞き分けがいい。

 そんなに海が楽しみだったのだろうか。

 そんなことを考えていると、茜が顔を近付けてくる。

 

「ですから、早く終わらせてくださいね?」

「……あぁ、わかったよ」

 遊ぶ前に俺の精神は持つのだろうか。

 そんなことを危惧しながら、日焼け止め塗りレースを再開するのであった。

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