54話 妹と温泉とハプニング
投稿遅れてすみませんでした!
今日で「妹ハーレム」が投稿開始から8ヶ月が経ちました! ありがとうございます!
妹たちとの長いようで短かったデートを終え、俺たちは旅館へ帰ってきた。
皆デートを楽しんでいたようだが、流石に六時間近く立ちっぱなしで疲れたのか、部屋に着いた途端に皆床に寝転んだ。
俺の眼下には、干されている干物のようにベターと脱力し横になった妹たちが。なにこれ可愛い。
俺は素早くポケットからスマホを取り出し、連写で十枚程パシャリ。
よし、これは家宝にしよう。
「お兄ちゃん、撮るなら事前に言ってくださいよ」
だらしない姿をしちゃったじゃないですか。と茜が。それに対して俺は親指を立て、
「それでいいんだ」
「お兄ちゃんも私に負けず劣らずの変態ですねー」 心外だ。と反論したかったが、他の妹たちの視線がとてもジトーっとしてらしたので何も言わないでおいた。
なお、このことは茜の手によって翼と奏に伝わり、後日さんざんイジられたのだが……それはまた別のお話。
◇妹◇
戻ってきてから十分くらいゴロゴロとくつろいでいると、突然茜がこんなことを聞いてきた。
「皆さん、ズバリ温泉とご飯はどっちが先ですか?」
その質問に、俺とかすみんは真顔で、楓ちゃんと凉ちゃん、夜花ちゃんと魅音ちゃんは真剣に悩み、光月と朝日、蓮唯ちゃんと司音ちゃんがポケーとした顔で首を傾げた。
まぁ、茜が聞いてきた理由はなんとなくわかる。いつもは夕飯の後に風呂に入るが、温泉旅行とかだと温泉から上がったら料理が準備してある、なんてことがあったりなかったり。(ラノベ、漫画調べ)
このことに関して俺は特に意見はない。だって温泉入ってる間は妹たちとは一緒にいれないのだから。
……どうしよう、この思考回路もう腐ってやがる。まぁ妹で腐れるなら本望だが。
なんて腐った考えをしているうちに妹たちは話を進めていた。意見としては温泉の後に夕飯が五人、温泉の後に夕飯、その後にもう一回温泉が五人。つまり意見はきれいに割れていた。
「おうおう、あんまり悩みすぎると時間なくなるぞ?」
そんなすぐに決めなくていいのだが、このままだと永遠に終わりそうになかったので少しだけ催促をする。
すると、十人全員が一斉に俺を見た。
「なら、お兄ちゃんが決めてください」
茜の提案に他の者も賛同する。少しめんどくさい方向に話が流れてしまった。
そうだなぁ。別に前だろうが後だろうが妹と──(以下省略)。
てなわけで。
「あぁぁぁ……」
おっさんのような声を溢しながら、俺は少し黄色っぽい湯船に体を沈める。
温泉特有の硫黄のにおいに、少しだけ心が落ち着く。
背筋を伸ばし辺りを見渡す。運が良かったのか、俺以外には入浴者はいなかった。
俺は湯船に体を沈めたまま、ゆっくりと女子風呂の方へ移動する。特に意味はない。ないったらない。
男子風呂と女子風呂を隔てる壁に背を向け、空を見上げる。帰ってくるときはまだ朱色だった空は、もう暗く青みを帯びている。
楽しい時間は過ぎるのが早いなぁ。
胸を踊らせやって来た温泉旅行も、気付けばあと夕食と睡眠、明日に移って朝食、多少の自由時間で終わりとなる。
「早いなぁ」
ポツリと呟き、より深く体を沈める。温泉の温かさが心地良い。
歩き回った疲れを温泉でじっくりと癒していると、ふと女子風呂の方から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ふぅー……。いやー、私たち以外いないなんて運がいいですね」
この声は茜だろう。どうやら女子風呂の方も他にお客はいなかったようだ。
それから続き聞こえてくるのは、司音ちゃんと夜花ちゃんの声。
「確かに。今日はいろいろとツイてますね」
「う、うん。そうだね」
後輩たちの他愛もない会話に、少しだけ頬が緩む。なんと言うか、これぞ女友達って感じに思える。
後輩たちの会話に耳を傾けていると、不意にバシャーン! と音が響く。まるで誰かが温泉に飛び込んだような、そんな音が。
妹たちの中でそんなことをするわんぱくっ娘は、俺の記憶では二人しかいない。
そう思っていると、俺の予想通りの娘の声が聞こえてきた。
「わーい! 温泉だー!」
「硫黄のにおいがする!」
元気で楽しげな声。やはり飛び込んだのは蓮唯ちゃんと朝日だった。
「こら、他にお客さんがいないからってはしたないわよ!」
そこで二人に飛ぶ叱声。声の主は勿論楓ちゃん。やっぱりお姉さんしてるよ。
見えているわけではないが、楓ちゃんが二人を叱る姿が容易に想像でき、微笑を漏らす。
「おうおう、あんまりはしゃぎすぎるなよ。怪我とかされると困るからな」
まるで他人行儀にそう言うのはかすみん。だが、俺は知っている。かすみんが心から彼女たちのことを心配していることを。
このメンバーの中では一番年上なかすみんは、よく皆に気を配っている。だが、本人はそのことを他人に気付かれることが嫌らしい。多分恥ずかしいのだろう。かすみん可愛い。
まぁかすみんの気遣いは俺だけではなく、皆もちゃんとわかっているだろう。そしてかすみんの気持ちもわかってるから、誰も口に出さない。
なんやかんやで皆互いのことがわかってるんだな。そう思っていると、ふと気になる会話が聞こえてきた。
「えっと、夜花さん。その聞きづらいんですが……その胸ってどのくらいの大きさなんですか?」
「ええっ、その……」
魅音ちゃんの質問に、夜花ちゃんの戸惑いが伝わってくる。
小学六年生である魅音ちゃんは、やっぱり夜花ちゃんの体に興味があるようだ。なんせ夜花ちゃんは司音ちゃんと同年代にも関わらず、女性としての成長が著しいから。
「ええっと、その…………九十、です」
「うぇえええええ!?」
夜花ちゃんが答えると、魅音ちゃんは驚愕の声を上げる。
そうか、九十か。Fカップってことは知ってたが、まさかそこまであるなんてな。いやぁ、すごいや。
なんて感心していると、魅音ちゃんは気になったのか楓ちゃんにもサイズを尋ねた。
だが順番を間違えたな魅音ちゃん。確かに楓ちゃんも大きいが、先に夜花ちゃんの大きさを知ってしまうとどう反応していいかわからなくなるぞ。
「えっとですね……八十です」
「あ……はい」
俺の予想はまたまた的中。
見えないが多分、楓ちゃんも魅音ちゃんも、他の者も苦笑いを浮かべているだろう。壁越しなのに気まずい空気になっている。
「あ、あのっ、夜花さんっ」
「は、はいっ」
気まずい空気を破ったのは、その気まずい空気を作った本人だった。
魅音ちゃんは再び夜花ちゃんに声を掛けた。まだなにか聞くのだろうか。
「その……触らせてください!」
魅音ちゃんの大胆なお願いに、その場が静まり返った。
だが、俺は心の中で魅音ちゃんにグッジョブ! と叫ぶ。
茜辺りならやりそうだと思ってたけど、魅音ちゃんがこのネタをやってくれるなんて思ってなかった。
本当によくやった! 元々気が弱い夜花ちゃんが、小学生のお願いを無下にできるわけない! いける、いけるぞ!
「その……少しくらい、なら」
少し控え目な了承。俺は思わず立ち上がって叫びそうになった。
これだよ、これが聞きたかったんだ。いやぁ、温泉バンザイ! 今日来てよかった。
夜花ちゃんの返答に満足した俺は、湯船を揺らす程強く頷く。
「それじゃあ、触りますね」
「は、はい」
少し緊張した声。未だ誰も声を上げていないので、魅音ちゃんが移動する音がよく聞こえる。
「あっ」
「おぉ、お姉ちゃんより圧倒的に大きいし、柔らかいです」
「ちょっと魅音!?」
妹の辛辣な感想に、司音ちゃんは声を荒らげる。そんなことはお構い無く、魅音ちゃんはツラツラと感想を述べる。
次第に聞こえてくる夜花ちゃんの吐息に熱が籠りだし、壁の向こうから悩ましい声が聞こえてきた。
「あの、そろそろやめて、ください……っ」
消え入りそうな声で懇願する夜花ちゃん。魅音ちゃんが「ありがとうございました」と言うと、先程まで聞こえていた悩ましい声は止んだ。
「ふぅ、良い体験をしました」
満足気に息を吐く魅音ちゃん。正直ちょっと羨ましい。
などと思っていると、不意に壁の向こうからただならぬ怒気が伝わってきた。
「みーのーん!」
「わわわっ、何するのお姉ちゃん!」
「何するのじゃない! さっきはよくも夜花ちゃんと比べてくれたね! 流石に怒るよ!」
「もう怒ってるよぉ!」
楽しげ(?)な姉妹の会話に、頬が緩むのを感じる。
いやぁ、よきかなよきかな。これでこそ温泉ってもんだ。
◇妹◇
姦しい姉妹のやり取りを楽しみ、俺は温泉から上がった。
用意されていた紺の浴衣に着替え、着てきた服を抱え脱衣所を出る。
「おっ」
「あら」
丁度同じタイミングで、赤い浴衣に身を包んだ茜が女子風呂の方から姿を現した。
まだ髪は乾ききっておらず、艶のある黒髪を雫が伝う。顔は少し上気しており、空いた胸元から見える肌がとてもえっちぃ。
結論、温泉上がりの茜はどことなくエロい。
実の妹に対して酷いとは……何故だろう、思えない。茜だからだろうか。
などと考えていると、茜は隣までやって来て腕に抱き付いてきた。
俺は無言で茜を振りほどき、正面に向き合う。
「どうでしたかお兄ちゃん、夜花ちゃんの悩ましいな声は」
「温泉上がりで一番最初に訊くことがそれかよ」
「当たり前じゃないですか。それで、興奮しました?」
真顔で尋ねてくる茜。俺は静かに顔を伏せた。
「無言は肯定、でいいですかね?」
「勝手にしろ」
俺は投げやりにそう言うと、踵を返し妹たちより一足先に部屋に向かう。
「あぁん、待ってくださいよぉ」
すると後ろから茜が追い掛けて来て、再び腕に抱き付いてきた。
「茜、他のやつらはどうしたんだ?」
「まだ着替えてます。私は早くお兄ちゃんと合流したかったから、早く着替えてきました」
チロリと舌を出し、上目遣いで微笑む茜。マジ可愛い。
と、そんなこんなで俺と茜は一足先に部屋に帰ってきた。
残念ながら料理はまだ準備されていない。
「……二人っきりですね、お兄ちゃん♪」
「おうそうだな」
意味深な笑みを浮かべる茜に生返事を返し、座布団に腰掛ける。
どうやら俺の反応が不服らしく、茜は頬を膨らませていた。
なにこれ可愛い。
「ところでお兄ちゃん、私には興奮しませんか?」
脱力しくつろいでいると、突然茜がそんなことを尋ねてきた。
「ほらほら、ピチピチJKの風呂後の浴衣姿ですよ~?」
そう言いながら、茜は浴衣の胸元をパタパタと煽る。
「そんなに開くと脱げるぞー?」
冗談半分で注意すると、突然──
パラリ。
帯が緩かったのか、浴衣は茜の肩を滑り帯と一緒に床へ落ちた。
先程まで隠されていた、茜の柔肌が晒される。少し朱を帯びた肌が、少し艶かしい。
というか、
「なんで下着つけてないんだよ……」
俺は目を逸らしながら問い掛ける。すると茜は体を隠そうともせず「それが作法ですから」と恥じらいもなく答えた。
「なんだよそれ」
「いいから、私の体をもっと見てくださいよ」
実妹の痴女めいた発言にドン引きしていると、不意に部屋の襖が開かれ妹たちが帰ってきた。
九人の妹たちは笑顔を浮かべていたが、俺と茜を見た途端、その表情が凍り付いた。
妹たちの視線は俺から茜、茜から俺へと移される。
さて、状況を整理しようか。全裸の茜と部屋で二人っきりの俺。完全にアウトだった。
楓ちゃんは冷ややな視線を俺に向け、
「葉雪にぃさん、説明してもらえますか?」
俺は頷く他なかった。
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