表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/100

49話 ゲーセンでデート その2

今回は少し短くなっています。ご了承ください。

今日で毎日投稿は終わります。また、活動報告を確認しておいてください。

 フードコートで昼食を済ませた俺たちは、再び四階のゲーセンへ戻った。

 

 三人目のデート相手はかすみん。

 俺とかすみんは手を繋ぎ、騒音の深部へ潜っていった。

 

「さてかすみん、なにして遊ぶんだ?」

「そうだな、やっぱりあれだろ」 

 かすみんが指差したのは、少しレトロな雰囲気を醸し出す対戦ゲー、いわゆる格ゲーだった。

 なるほど、かすみんは格ゲー系が得意なのか、ふむ。

 俺はニヤリと不敵な笑みをかすみんに向ける。

「俺は格ゲー強いぞ?」

「ふっ、私がお前に負けるとでも? あまり大人をなめるなよ?」

 するとかすみんは、以外にも笑みを返し挑発してきた。

 ふっふっふ、そっちがやるきなら、俺も本気でやらせてもらおう。

 兄に勝る妹なんて、そんないないんだよ。

 俺たちは互いに威嚇しながら、格ゲーの台に向かった。

 

 

 俺とかすみんは向き合った台に座り、心を落ち着かせ、百円を入れてゲームスタート。

 かすみんにはああ言ったが、そこまで俺は格ゲーをしない。

 何故なら、(あかね)たちがやろうとしないからだ。

 まぁ茜たちはUFOキャッチャーとかの方が好きだからな。

 

「くっ、葉雪(はゆき)のくせに、結構やるじゃないか……っ」

 ふと台の向こう側から聞こえてくる声。

「まぁな。かすみんも案外強いじゃないか」

 俺は挑発の意味も含めた嘲笑を返す。

 すると聞こえてくるのは舌打ち。

 それと同時に、かすみんの操作するキャラの動きが良くなった。

 だが、その程度では俺には勝てねぇよ。

 強者の笑みを浮かべ、俺は着実にかすみんの体力を削っていく。

 

 ゲーム開始から二分が経った。

 現状、俺のキャラの体力ゲージはまだ七割程残っている。対してかすみんのキャラは残り四分の一を切っている。

 ふっ、これは俺の勝ちだな。

 そう確信し、俺はコマンドを入力して──

 

 

「くっ、まさか葉雪に負けるなんてな……」

 台を離れたところで、かすみんは膝を突いた。

「ふははっ、俺が妹に負けるわけないだろう。まぁ、かすみんも結構強かったぞ」

 俺は手を差し伸べ、かすみんを立ち上がらせる。

 パッパッと膝を叩き、かすみんは俺を見上げる。そして鋭い目でキッと睨み、

「次は負けない」

「まぁ次のときも俺が勝ってやるさ」

「……うっざ」

「ふはは、なんとでも言うといい。俺はまったく、これっぽっちも気にしないから」

 笑いながら、俺はかすみんの頭をポンポンと撫でる。

 するとかすみんは、器用に嬉しさと怒りをブレンドした表情になり、再び俺を睨んだ。

 

「屈辱だ。お前の頭を叩かせろっ!」

 俺の手を払い退け、手を伸ばし俺の頭を叩こうとする。

 だが残念かな。俺の身長は百七十半ばに対して、かすみんの身長は百三十程度。

 四十センチも差があり、かすみんの手は俺の頭に届くことはなかった。

 たまに頬をペチペチと叩いてくるのはちょっと可愛く思えた。

 俺の年上妹が(おさな)可愛い。

 

 

 その後、俺とかすみんはゲーセン内を適当に歩き回っていた。

 他にやりたいゲームが見付からない。

 ふと隣にいたかすみんが足を止め、ある方向を見つめていた。

 

「葉雪、あれをやろう」

「ん、別にいいけど──ってうぇぇ」

 かすみんが指差したのは、本日三度目の相性占い。

 ……これはあと七回会うことは想定しておいた方がいいな。

 俺がため息を吐くと、かすみんは俺を見上げ不思議そうに首を傾げる。

 やべぇ、めっちゃ可愛い。

 大人な妹の、子供っぽい姿に俺は悶えた。

「どうかしたか?」

「いや、なんでもない。やるか」

「おう」

 

 さてやって来ました相性占い。

 まずは俺の名前とかすみんの名前を入力。

 数秒して第一の質問が表示された。

 

「『好きな人と行くとしたら』か。俺はそうだな、強いて挙げるなら──ってかすみん、どうかしたか?」

 隣にいた幼女(見た目)が震え出し、気になった俺はすぐに訊ねる。

 がかすみんは答えることなく、ただジッと画面を見つめていた。

 俺はそれに合わせ画面に目を向ける。

 画面上部には質問が、そしてその下には回答を記入する欄がある。特に不思議はない。

 

「なぁかすみん、本当にどうしたんだ?」

「あっ、いや、なんだ……好きな人、か……」

 慌てるかすみん。

 ……ん? 待てよ。かすみんの好きな人って……

 甦るのは『旧生徒指導室』でかすみんに告白された記憶。

 つまり、かすみんにとってこの質問は、『俺と行くとしたら』となる。

 う、うわぁ……確かに少し恥ずかしいわ。隣に本人がいるんだし。

 

「まぁ、かすみん、別になに書こうが俺は気にしないからな?」 

「……ホントか?」

 俺は静かに頷く。

 するとかすみんは数回深呼吸をして、一文字ずつ記入した。

「──って『ラブホテル』ってなんだよっ!」

 確かになに書いても気にしないって言ったけどさぁ! 

「ほ、ほら葉雪、お前も早く書け」

 震えた声で催促してくるかすみん。

 仕方なく、俺は『プール』と書いた。

 

 それから同じく六問まで答え、結果が表示された。

「『親友クラス。これからも仲良くやっていこう』……はぁ、そうか、やっぱりそうだよなぁ」

 結果を見てかすみんは深くため息を吐いた。

「ま、まぁ気にするな。実際そんなもんだろ?」

「……」

 フォローしようとしたのだが、何故か睨まれた。

 なんでだろう。

 

 

   ◇妹◇

 

 

「──あっ、先輩……もう少し、左にっ」

 

「よ、よし」

 

「そこ、そこですっ」

 

「お、おう」

 

「それで奥に……」

 

「わかった」

 

「あっ、そこ、そこですっ」

 

「よし、それじゃあ入れるよ、夜花(よるか)ちゃん……」

 

「は、はいっ。……入れてください、先輩……っ」

 

「そのまま、そのまま……」

 

「あっ、入り、ました。……やりましたよ、先輩っ」

 

 棒が穴に入ったのを確認し、俺と夜花ちゃんは嬉しさに抱き合う。

 さて、言っておくが俺たちがやっているのはいかがわしいことではない。

 ここは四階ゲーセンの一角。

 そこにある台の一つで、UFOキャッチャーに似たゲームをやっていた。

 操作はUFOキャッチャーと同じなのだが、景品を取るのではなく、アームの替わりに付いた棒を穴に入れると景品が取れる仕組みになってるのだ。

 俺はこのゲームの名前を知らないから、正直なんて呼ぶのか分からない。

 

 さて、先に書いてある通り、夜花ちゃんとの共同作業の甲斐あって棒はきれいに穴に入った。

 そして、少し遅れてゴトッと物が落ちる音がした。

 

「やった! ありがとうございます、先輩!」

 嬉しさのあまり頬を殊に染めた夜花ちゃんは、抱き合ったままピョンピョンと跳ねる。

 嬉しいのは分かるが、できればそれは止めていただきたい。

 何故って? ほら、夜花ちゃんのバストサイズを考えてみてくれ……。分かるだろ?

 (かえで)ちゃんのよりたわわに実った果実は、夜花ちゃんが跳ねるのに合わせ上下に激しく揺れる。

 そしてたまに俺の体に、その柔らかい果実が当たるのだ。

 正直に言おう。めっちゃドキドキする。


「よ、夜花ちゃん、そろそろ離れてくれないか?」

「あっ、ごめんなさい……」

 夜花ちゃんは現状を理解すると、顔を真っ赤にして少し離れた。

 そう、少し離れたのだ。それでもまだ手が触れる距離だ。

 まぁいいけど。

 夜花ちゃんはフィギュアの入った箱を抱き締め、嬉しそうに鼻歌を歌い出す。

 まったく、浮かれちゃって。俺の後輩すっげぇ可愛い。

 

 

 それからゲーセン内を回っていると、夜花ちゃんはあるモノを見付けた。

 それは──やはり既にお馴染みとなった相性占いだった。

 はぁ、やっぱりこうなるんだよなぁ。

 

「せ、先輩! あれやりましょうよ!」

 ぐいぐいっと袖を引っ張る夜花ちゃん。

 俺は苦笑し頷いた。

 

 まず最初に名前を記入。そして一つ目の質問。

「えっと、『相手の好きなところ』──はぅ」

 質問を口にした夜花ちゃんは、茹でダコのように顔を真っ赤に染めた。

 なにこれ可愛い。

 そして夜花ちゃんはチラチラと俺を見ながら記入する。

 えっと、全部って……なかなか恥ずかしいこと書いてくれるじゃないか。

「そうだな、じゃあ俺も」

 俺は夜花ちゃんに倣って全部と記入する。

 すると夜花ちゃんはこれ以上ないというくらいに顔を真っ赤に染め俯いた。

 

 計六問。回答し終えると結果が出た。

「えっと、『良きパートナー。これからも一緒』つ、つまり、私と先輩が──はぅぅぅ」

 夜花ちゃんは顔を赤くしたまま、皆の待つ場所へ走っていった。俺を置いて。

 まったく、夜花ちゃんは恥ずかしがり屋だなぁ。

 俺は微笑を浮かべ、夜花ちゃんの後を追った。

この作品を読んで頂きありがとうございます!

誤字脱字、改善点等がございましたら容赦なく教えてください!

この作品を読んで頂いた読者様に最大の感謝を

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ