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茜story お兄ちゃんと私の話をしよう

修正、変更をして2話の次に入れることになりました。

文字数が少ないですが、お許しください。


 これはまだ、私が幼い頃の話。

 

 当時、私は五歳。

 小学校から帰ってきたお兄ちゃんが、私と妹たちの面倒を見る日々が続いていた。

 幼い子供からしたら、毎日毎日相手をしてくれるお兄ちゃんに、少なからず好意を抱くだろう。

 勿論、この時はまだ〝お兄ちゃん〟としてだったけれど。

 私が小学校に入学すると、お兄ちゃんは休み時間の(たび)に私のいるクラスに来てくれた。まだ入学したばかりで緊張していた私は、お兄ちゃんが来てくれたことがとても嬉しかった。お兄ちゃんのお陰で緊張が(ほぐ)れ、無事私はクラスで友達をつくることができた。

 

 翌年、光月(みつき)朝日(あさひ)が入学してくると、お兄ちゃんが来る機会が減った。

 勿論、妹二人に嫉妬していたわけではなかったが、お兄ちゃんが来るまで機嫌は良くなかったと思う。

 


 それからどんどん年月は流れて行き、私とお兄ちゃんは中学生になった。


 ある日、いつもなら早く帰ってくるはずのお兄ちゃんが、日の沈みきった頃に帰ってきた。

 私は不安で不安で、目尻に涙を溜めながらお兄ちゃんを迎えた。

 その日の夜に、お兄ちゃんは私にこう問い掛けてきた。

 「シスコンなお兄ちゃんってキモいらしいけど……茜もそう思っているのか?」──と。

 正直心配になった。

 いつものお兄ちゃんなら「妹大好き!」くらい平然と言ってみせるのに……いや、流石にここまでは言わないけれど。

 どうしてそんなことを聞いてくるのだろう。

 そう思い、私はお兄ちゃんに理由を訊いた。

 原因は帰り際に聞いた同級生の会話だったらしい。

 可哀想なんて、言わないでほしかった。

 私はお兄ちゃんがシスコンで嬉しかった。もし、お兄ちゃんに「嫌い」なんて言われたらもう生きていけなくなっちゃう。

 それに、私はお兄ちゃんが大好きだった。それを否定されたような感じがして、私はその人たちに怒りを覚えた。

 私は慰めようと(少しキレてて暴走気味だったが)お兄ちゃんに気持ちを伝えた。

 お兄ちゃんは私の言葉を聞くと、すぐに笑顔を作った。

 お兄ちゃんが笑顔になってくれて、嬉しくて私も笑顔を作る。

「大好き」を連呼してしまって、とても恥ずかしかったけれど。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 それから何事もなく、私たち兄妹は仲良く暮らしていた。

 勿論、両親もいるけど。

 

 お兄ちゃんが高校に入学し、私は中学三年生になった。

 家では一緒に居れたのに、お兄ちゃんが高校に行ってしまったため、学校で会うことができなくなった。

 


 休み時間。私は頬杖をしながら、席からボーッと教室を眺めていた。

 ここ最近、ずっとこの調子なのだ。まるで心の中にぽっかりと穴が空いたようで、なにもしていないと虚無感に襲われる。

「──お兄ちゃんに会いたいな」

 無意識にそう呟いた途端、顔が一気に赤くなるのがわかった。

 慌てて教室内を見渡すと、友人がニヤニヤと笑みを浮かべながら、こちらを見ていた。

 その友人は、いつも私に色々なことを教えてくれる。

 友人は特にえっちぃ知識が豊富だった。

 それでよく私をからかってくる。

 まぁ、そんな友人にさっきの呟きを聞かれたら、どうなるかは目に見えているだろう。

 友人はいつも通り私をからかうと、幾つか質問をしてきた。

 

「お兄さんとキスはしたいのか」

 

「お兄さんと一緒に寝たいのか」

 

「お兄さんと大人になりたいのか」

 

 と言った感じのものばかりで、私は不思議に思いながらも全て素直に答える。

 友人は少し考える素振(そぶ)りをすると、指をパチンッと鳴らし口を開く。


「それは、お兄さんのことが大好きな証拠だね!」

 

 正直、なに言ってるのかわからなかった。

 お兄ちゃんのことが大好きなのは当然。なにを今更──

 そう返すと、友人は笑みを浮かべる。

 

「そうだね。でも、茜ちゃんが思ってる大好きは〝兄妹〟として、でしょ?」

 

 私はわからないまま、ゆっくりと頷く。

 友人は私の反応を見ると、言葉を続ける。

 

「私が言ってるのは、茜ちゃんがお兄さんのことを〝異性〟として大好きって思ってるってこと」

 

 そう言われた瞬間、体に電撃が走ったような感覚に襲われた。

 いや、実際電撃なんてうけたことなんてないけど。

 私は今までの〝大好き〟という感情を思い返し、じっくり考えた。

 確かに、私の〝大好き〟が兄妹としてなら、どうしてあんなにドキドキするんだろうと思うときはあった。

 けど、その〝大好き〟が、異性としてお兄ちゃんを意識したモノだったなら……

 今までそう思ってたことはなかったのに、友人に言われて考えると、とてもしっくりきた。

 

 

 一度そう意識してしまうと、それからが大変だった。

 家に帰りお兄ちゃんと会うと、急に鼓動が速くなって顔も真っ赤になってしまう。

 私は気付かれないように、急いで部屋に避難した。

 そんなことが、一週間近く続いた。

 私はやっと今の気持ちの整理が終わり、普通に会話できるようになった。

 お兄ちゃんは、私に嫌われたかと思って泣いていたけど。

 

 気持ちが落ち着くと、今度は新たな問題が発生した。

 お兄ちゃんと一緒に居ると、とても興奮する。

 笑い事ではなく。

 お兄ちゃんと勉強するときも、遊ぶときも、どんなときでもお兄ちゃんのことを考えて興奮してしまう。

 決して私が淫乱だからではない。お兄ちゃんが魅力的すぎるのが悪いのだ。

 そんなことが、高校入学まで続いた。

 

 

   ◇妹◇

 

 

 お兄ちゃんと高校に入学すると、毎日一緒に登校した。

 お兄ちゃんと話せるのが、とてもとても嬉しくて、つい鼻歌を歌ってしまうくらい上機嫌だった。

 

 でも、それはすぐに終わってしまった。

 お兄ちゃんから、お父さんとお母さんが遠くに転勤になったと知らされたのだ。

 それだけならまだ良かった。

 本格的に、お兄ちゃんとイチャイチャできると思ったから。

 でも違った。

 どうやら、お父さんの勤務している会社の社長さんの家に厄介になるとのことだった。

 あまり気乗りはしなかったが、お兄ちゃんと一緒に居れるだけで充分だった。

 だから私は二つ返事で答えた。

 

 でも、問題はまだあった。

 なんと、社長さんの家には三人の娘さんがいた。

 しかも全員お兄ちゃんより年下(一人同学年だったが)で、全員お兄ちゃんの妹になったのだ。

 だけど、まだチャンスはある。

 そう思い、私は三人を観察し──

 膝を突きそうになった。

 なんと、全員お兄ちゃんに好意を寄せていた。

 どうして?

 そんな疑問しか出てこなかった。

 三人はお兄ちゃんと初対面のはず……それなのに、どうして最初から好感度MAXなの。おかしい。

 特に、あの白髪ロングの人、まるで初対面じゃないような、以前からお兄ちゃんを知っているような感じがする。

 勘だけど。

 私はモヤモヤとした気持ちを抑えて、挨拶をした。

 その時、私は一つの確信があった。

 これから大変なことが起こるな、と。

 

 

 

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