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ダーク・ハロウィン 2

 自分には記憶が無い。

 いつか取り戻せるのではないかと思うのだが。



「ああ、ゼフィスからのお使いですね?」

 そこは、店というよりも、ただの一軒家だった。


 中にいたのは、柔和な顔の優男で長くて黒い髪が、もじゃもじゃと天然パーマを作っていた。


「わたしはヴォーグと言います」

 テーブルと椅子があり、アリスはテーブルに座らされた。

 

 アリスは出されたキャラメル・マキアートを飲みながら、ヴォーグの身体をまじまじと見ていた。まず、彼の額には縫い目があった、黒い縫い糸もあった。首や手首にも、縫い目、縫い糸が存在する。そして、彼は白い縫い目だらけの黒いTシャツを着ていた。


「では、薬です。ゼフィスに渡してください」

 そう言うと、紙袋を、彼はアリスに渡す。

「絶対に開けないように」

「…………分かりました」



 道に多少、迷ったが、彼女は無事にザーディーの家に着く事が出来た。

 すると、家の前で、ゼフィスが手を振っていった。

「やあ、薬は受け取ってくれたかな」

「ええ」

 そう言うと、アリスは少年に紙袋を渡す。

「しけた、ザーディーなんかよりも、今夜は俺の家に泊まりに来ないか?」

 今夜、といっても、ずっと空は闇に包まれている。辺り一面はランプやランタンが置かれており、住民達はその光に頼っている。

「送り狼ですか…………?」

「ま、まさか。そんな事はないよ」



 ゼフィスの家の中に入る。

 どうやら、彼の家には物が沢山、置かれているみたいだった。


「これから、街の住民で、気を付けないといけない奴を上げていくな」

「え?」


「まず、魔女ルーレス。こいつは他人を実験材料にする。ヤバい。特に、お前のような外から来た人間だと狙われやすい。次に、墓掘り屋のジャンピール。あの男にも気を付けろ。気が付いたら、お前が埋められる事になっているかもしれないからなあ」

「そ、そんな怖い人達がいるんですか?」

「ああ」

 彼は脅かすように、掌をかざす。

「怖い人ばかりだぜ。だから、アリス。お前はこの俺が守ってやるよ!」

 彼はとても眩しい顔で告げた。


「ねえ、ゼフィ」

「なんだ? アリス」

「私、此処に来て、右も左も分からない。気が付いたら、此処にいた。もっと、この場所の事を教えて欲しい。貴方には私の傍にいて欲しい」

 そう言うと、狼耳の少年は、にっこりと笑った。

「いいよ、アリス。俺が色々な場所を紹介してやるし、ここでの過ごし方も教える。危険な奴からは守ってやるよ」


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