あなたならどうする?
なかなか話が進まない…。筆も進まない…。
私は動物は嫌いじゃない。
犬や猫、ハムスターに小鳥、ウサギなんかもカワイイと思う。
でも、今私の胸にしがみついて離れないのはなんだかなぁ、という気分になってしまうのだ。
モフじゃないし。
鱗だし。
硬いし。
「これは、私の使役獣なんだが、一体どうなってるのか…。」
10分位して幻獣科のタラ先生が来ると困惑気にギリス様が話した。黒縁眼鏡の小柄なタラ先生は私と竜の様子を見て、
「血の契約はしたのですか?それとも束縛ですか?」
とギリス様に尋ねる。
「一応、血の契約をしたのだが…。」
そういう彼にフムフムと頷き、今度は私に
「あなたは、何かしましたか?」
と聞くので
「何もしてないです。ほんと~に何も。」
首を横に振り、答えた。
使役獣については、動物を契約して使うってことしか知らないし、契約なんてどうやるのか聞いたこともないよ。
タラ先生は、私、竜、ギリス様を見てハァ〜と大きくため息をついたかと思うと、とんでもないことを言った。
「残念ですがギリス君、この様子からいってこの竜は半身を見つけたみたいです。」
な、なんだって〜!
タラ先生の言葉にその場にいた全員がポカンとした。
先生の言っている意味が分からなさ過ぎ。
そんな中で一番早く自分を取り戻したのは、使役獣の主であるギリス様だった。
「どういう意味か説明してほしい。」
ナイスクエスチョン!ギリス様!
タラ先生は、自分のせいでもないのに申し訳なさそうな様子で話し始めた。
「竜が執着をみせるのは自分の半身だけと言われてます。その場合、使役獣として血の契約を結んでいても、半身を求める本能がそれを上回ります。成竜であれば主人と意思疎通をし、だいたい穏便に納まりますが、この子はまだ赤ん坊でギリス君とうまく意思の疎通ができてないのではありませんか?」
ギリス様は悔しそうに頷く。
タラ先生の話は続いた。
「残念ですが、半身を求める本能が契約を破棄してしまったのでしょう。半身は本来ならば同種同族のはずなんですが、稀にこういうケースもあるらしいんですね。僕も初めてです。」
その場にいた誰もが、話の大変さに口を開けることができなくなった。そんな中私の胸の竜は、落ち着かせる為にゆらゆら身体を揺すってやっていたせいか、少しウトウトし始めている。服に引っ掛かっていた爪が収まってきた。
「あの、それで結局どうなるんですか?」
先の話が早く聞きたくて、私は思わずきいてしまった。
だって半身ってなんか先生の言ってる意味が私の思ったとおりなら、マズイんじゃないか?
「半身ってどういう意味なんですか?」
私は竜を起こさないように、タラ先生に小声で聞いた。
先生は、興味深い様子で私を見ながら微笑んで答えた。
「あなたと竜は、魂で結ばれているということです。一生涯お互いに離れられないでしょうね。」
それを聞いた私は、ウトウトしている竜をベリっと胸からはがすとギリス様に渡し伝えた。
「絶対に離さないで!私は嫌だから!」
呆然とするギリス様と竜を無視し、
「ごめんね、エリカ。一緒に待っていたいけど先に帰るから。」
と療養室から猛ダッシュで走る、
後ろから、
「ギャッギャー!」
と鳴き喚く声が聞こえたが、私は知らないよ〜!
いったいぜんたい、どうなってるの〜!
ゲームの神様私の魂の片割れが竜なんてもう、無理ゲーもいいとこじゃないですかー!
いくら乙女ゲーでも、相手が人外なのはカンベンだよ〜!
お読み下さりありがとうございました。