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ヒロイン降ります  作者: ベルル
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お茶とお菓子はおいしかった

少し長めになりました。

 用意された丸テーブルに、殿下のエスコートで席に着いた。

 

 席順は男女交互。私は殿下の右側に座らされた。左側は金髪碧眼の甘い感じが可愛い顔立ちの美少年って美男美女率が高すぎる。


 ちなみに殿下の左側には、先程近づかないでおこうと決心した殿下の婚約者(仮)が座っていた。


「では、あまり親しくない者もいるだろうから自己紹介から始めよう。まずは私から。」

 殿下は、みんなが席に着いたところを見計らって立ち上がり、喋り始めた。


「私の名前はエドワルド グレイド。この聖グレイド王国の第一王子だ。今日は同じ年頃のみなと交友を深めるために集まってもらった。来てくれたことを感謝する。」


 殿下の挨拶をきいて、10歳児がこれ程しっかりした挨拶ができるのかと驚いた。ゆったりとした喋り方、抑揚の付け方、みんなを見てますよ、という顔の回し方、左隣の令嬢へ頭を振り次を促す仕草、全てが完璧だった。


 テーブルのみんなは男子は少し退屈そうに、女子は憧れのアイドルを見るかのように、殿下を見ていた。


「次は私ですわね。私はロゼリア ミュゲ。父は法律省の第一席のデレク ミュゲの長女ですわ。」

 優雅な様子で立ち上がり、にこやかな中にどこか威圧感を感じさせながら殿下の婚約者候補(仮)は挨拶した。


 法律省の第一席って、多分偉いし身分も高い。ミュゲ家って侯爵家じゃなかったかな…。

 

 ロゼリア様が一礼して座ると、

「私は、キーナン プレスト。プレスト家の次男で、父は第一近侍隊の隊長を勤めている。」

 短い銀髪、エメラルド色の瞳の鋭利な顔立ちが印象的な少年が鮮やかな身のこなしで立ち上がり、挨拶。


 それから次々に自己紹介がされていったのだが、侯爵家と公爵家しかいないじゃん、ナニコレ、男爵家、しかも一代男爵の娘って私だけじゃん。身分格差いじめかよって、貼り付けた笑いが固まって来た時、私の番が回ってきた。


 落ち着け、マナーさえ守れば乗り越えられるはず。


 私は左の殿下の方から両隣に頭を下げゆったりと立ち上がった。

 そして一礼。


「私のようなものが皆様のご紹介に預かり、感に耐えません。ロバート ウィスカの娘アリア ウィスカと申します。」


 一礼しておしまい。

 私が一番身分低いんだから、余計なおしゃべりして粗を見せることはないように。


 にっこり笑いながらなんとか済んだと席に座ろうとした瞬間、キャー、とかウォーとか周りが騒がしくなった。

「殿下ありがとうございますっ!」

「ロバート様ってお家ではどんな感じなのですか?」

「ミリア様の鍛錬内容がしりたいのだが。」

「バルト様ってどなたか決められた方が見えるの?」

「ダリオ様はなんであんなにステキなの?」


 みんな、何だか熱にうなされたような感じで私を見てる。

 って、うちの家族はアイドルか。






 


 






 うん、アイドルでした。


 先の戦争で、王都を最大級の防御魔法で守ったパパと、負け戦をたった一人でひっくり返した魔剣士のママの恋愛話やら、15才で魔法騎士団に入ったばかりのバルト兄さんが、アララト山の氷龍を使役し、暴炎龍を封印した話とか、ダリオ兄さんが魔導省で新しい魔法を幾つも開発し、時に学生相手に指導もしている様子がクールでカッコイイとか、知らんがな。


「多くの家が、ウィスカ家と親しくなりたいと考えているのだがいかんせん、ロバートもミリアもあまり社交的ではなくてな。子ども同士が仲良くなれば……、と考えたのだ。」


 殿下の言葉に、どう返せばベストアンサーなのか分からず、とりあえず困ったように笑っておく。

 だって、みんな私と仲良くなりたいわけじゃないから。


 とりあえず聞かれたことには、少しづつみんなが満足できるような答えを返しましたよ。だって一番身分低いんだから、聞かれたことには答えるのがマナーだよ。


 お茶は美味しかった。お菓子も美味しかった。でも、2回目はないと思った。

 私、を利用されるなら、私にもメリットがないとやってらんないけど、身分のせいか私の扱いはぞんざいで、これでどんなメリットがあるというのか。


 将来の逆ハーってんならそんな面倒くさいものはゴメンだ。


 しかし、これってフラグは立ったのか、立たなかったのか?この内容は、ストーリーにもあるんだろうか?


 ラノベだと、ヒロインや悪役令嬢がイレギュラーな考えを持ったり、行動をするとその世界が脚本の枠を超えて世界観だけ生きてくるというのが多くある。

  

 できればそういう枠でお願いしたい、と家に帰ってママに文句を垂れながら私は考えた。







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