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ヒロイン降ります  作者: ベルル
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マナー!マナー!マナー!

なんとか続いてます。イケメン(のはず)登場です。

 青い空、白い雲、王宮内の庭園には美しく花が咲き乱れ、芝生の緑とのコントラストが美しい。


 庭園手前のテラスには、招待客が集まって来ており、多くは殿下と同年代の子どもだった。


 私以外は皆顔見知りらしく挨拶を交わしたり、雑談をしている。


(ぼっちか〜、ぼっちだ〜。)


 一代男爵家の我が家は、平民と変わらない暮らしをしている。両親や兄達は、仕事がら貴族階級の方々と顔をあわせるが、それ以外の付き合いもないし、私は関係ないので、誰が誰やらの子息子女かさっぱりだ。


 こんな時は目立たないよう壁際の柱の影で、要観察、要観察。

 これ重要。


 招待客は9名。


 男子4人女子5人、殿下を合わせて10人の10歳児なんてカオスか、と思いきや、さすがは貴族階級、皆さん躾の良いこと。

 ぎゃあぎゃあ喚くこともなければ走り回ることもなく、穏やかな微笑みを浮かべながら殿下の到着を待っている。


 そんな中で気がついた。


 男子はそれぞれ気の合う子とかたまっているみたい。

 

 でも女子はピンクゴールドの髪色で縦ロールの、やや肉付きのいい身体にふんわりしたピンクローズのドレスが可愛い女の子を中心に、他の子達が取り巻いている。


 あの子じゃないかな?将来の殿下の婚約者は。


 尚も観察を続け、10歳児にしては熟れた扇子の使い方や、そのオホホ笑いをみて、彼女には近寄らないでおこうと確信し、決心したその時だった。


「君、アリアだろう?ミリアから聞いたとおりだからすぐわかったよ。」

 ふいに腕を取られ、今まで観察していた子どもたちの方へと誘導されていく。

「僕は、エドワルド グレイド。2年位かな?君の母君から剣術指南を受けてるんだよ。」

 長めのストレートなブルーの髪はサラサラ、マリンブルーの瞳をキラキラ輝かせて、にっこり笑う美少年に私は呆然とした。

 招待状にあった、招待主=殿下の名前じゃないの……。

 

 私、殿下の登場と共に、みんなの前に姿を見せてるよ。コレまずいわ。


「来てくれてありがとう。一緒に楽しもう。」


 殿下は私の腕をがっちりつかみながら、他の招待客の子ども達に声をかけた。 

 その声に控えていた侍女たちが、用意されていたガーデンテーブルへとみんなを誘導していく。


 社交マナーとして、自分より上の位の人には自分からは話しかけられない。 

 でも、こんなふうに了解もとらずに腕を組まれるのも、マナー違反だ。親しい女の子同士でもありえないのに、男女だったらなおさら。

 私は困ったように、殿下の顔とつかまれている腕を交互に見た。


 見たのだが、

「じゃあ、行こうか。」

爽やかに、でも腕は離さずまたも引っ張られ殿下は私を自分の隣に座らせた。


 私はザクザクと目に見えないフラグが立つのを確かに感じた。


 他の子ども達の視線が痛いしコワイ。誰コイツ視線ヤメテ。


 折れそうになる心を、必死に立て直して私は前を向いた。

 

 ラノベで読んだ悪役令嬢の物語は、ヒロインが全くのマナー知らずだと書かれていた。しかし、私は中身は58才の主腐の記憶を持ってるし、今回のお茶会に参加するためマナーの先生について勉強した上、貴族名鑑(絵姿なし)も読み込んだ。


 この状況を抜け出すにはマナー遵守しかないでしょう!


 


  

 







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