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ヒロイン降ります  作者: ベルル
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なんか、ちょっとさみしかった。

少しずつブックマークが増えてきて励みになってます。

 休みに入って、兄さん達による特訓が始まった。場所はアララト山の山頂近くの台地で、以前バルト兄さんの仕事で使ったという小さな山小屋に泊まり、3日間の間集中特訓を行う。


 朝ごはんを家で食べた後、バルト兄さんは私を肩車、大荷物を背中に背負ったダリオ兄さんを前から抱いて転移移動した。

 私は転移は初めてだったので少し不安だったけれど、あっけないほど一瞬で、自宅の居間から広大な自然の小さな小屋の前にいたので、思わず笑ってしまう。

「すごーい、本当に一瞬なんだねー!」

「バルトが魔法陣描いておいてくれたからな、助かった。」

「描いておかないと、怒る子がいるもの〜。」

バルト兄さんはちょっと外回り見てくるわねって行ってしまったので、ダリオ兄さんと小屋に入る。

 

 到着した山小屋は小さいものの清潔で、2つの寝室と居間件キッチン、トイレというコンパクトさ。お風呂はなく、外に簡易シャワーがあるのみという女子にはちょっと辛い設備。まぁ3日間だし、クリーンの術で清潔は保たれるので問題ないとしよう。

 ダリオ兄さんから荷物を受け取り、片方の寝室ヘ運び入れ片付けていると、外に出ていたバルト兄さんに呼ばれた。


「ふわぁ!」

 外に出ると、ものすごく大きなシルバーブルーの竜がいた。全体にキラキラして光の加減で色が変わって見える。

 ほっそりした首からすんなりした身体。背中の羽はたたまれているけど、翼がシフォンのようだ。こんな綺麗な生き物見たことないって感動したんだけど、

「そうなの、この子がうちの妹。可愛いでしょ。………えっ、彼なんかいないわよ。だってまだ学生だし………イヤ、想像したら悲しくなること言わないでよ~!あっ、アリア彼女氷竜のレイラ。私の親友よ!」

 感動を引き下げるオバちゃんトークである。 

「キュルルー、キュ。」

 ソラとは違って、レイラの鳴き声はキュルキュルと高い音を出す弦楽器みたいな声だった。

 大きさも段違いで、高さは二階建ての家、首を伸ばせば三階まで届くかなぁ。全体の長さは、バルト兄さんが両手を伸ばして(大体、185cm位)×5だった。


「はじめまして、アリア ウィスカです。私のためにお時間をとって頂き、ありがとうございます。」

 丁寧に挨拶すると、キュルルーと鳴きながら私の頭にするりと自分の頭をすりつけてくれた。

「あら、アリア、レイラもあなたの事可愛らしい子だって。良かったわね、仲良くしてもらいなさい。」

 バルト兄さんは、上機嫌で私を抱き締めた。そして、

「でもレイラ、この子あなたの声が届かないのよ。一方通行なの。だから半身のソラちゃんもなかなかにもどかしいみたいなのよ~。」

 通訳をしている訳をさらりとレイラに伝える。うん、バルト兄さんはレイラと(レイラ以外の竜とも)すっごく、意気投合してるっぽいもんね。


 二人(でいいのか?一人と一匹と言うべき?)はそれからも新しいファッションやスイーツなど、女子が好きそうな話題をきゃっきゃっと楽しそうに話している。

 なんか、女子より女子っぽいわ〜。

 でも、27歳男子と氷竜だからね。

 疎外感感じるわ〜。


 そんな彼らから離れて、そばで魔方陣を書くために魔法で地面をむき出しにしているダリオ兄さんの方に行った。

 

 本当の女子なのに、女子トークに入れず少ししょんぼりしている私に、黒い土の上にガリガリ鉄筆で魔法陣の文言を書きながら兄さんは言った。

「お互いの言葉が分からないのは、共通語を使わない国の人間も同じだ。それがたまたま竜だっただけなんだから、気にするな。」

「でも兄さん……。」

「それに、なんとなく分かればいいと思うぞ。アリアだって友達が嬉しそうだったり悲しそうだったりってのは言葉がなくてもわかるだろう?」

 兄さんの言葉は、竜の言葉が解らなくて疎外感を感じていた私の心に突き刺さった。

 そうだよ、ソラがどんな気持ちかっていうのはなんとなくわかるよ。

 会話は大事だけど、それだけじゃないんだね。

「ありがとう、兄さん。」 

「おう!でもな、竜はともかくこっちはしっかり覚えろよ。これは俺の魔法陣だからな。お前特訓終わるまでに自分の魔法陣描を描けるようにならなきゃ。」

 ええ~、自分の魔法陣って凄く難しそうって思って、兄さんが描いた魔法陣を見ると……。



 両手を広げた位の長さの正方形に名前とここの場所がぐるぐる渦四角くを巻いて描いてあるだけだった。

 描くだけなら楽勝だよ、兄さん?



お読み下さりありがとうございました。

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