お誘い受けました
お読み下さりありがとうございます。
一話が短いのがいいのか長めがいいのか、迷走中です。
エリカとそうやって二人でしばらく話していると、この後カンバルに戻るギリス様と、ダレーン国に戻るウナス様とナラタたちがこちらにやって来た。
「モキロスでお二人という人材に出会えて良かった。学園を卒業したらぜひ我が国へ。厚遇しますよ。」
ウナス様がにっこり笑って言ったけど、目が本気でちょっとこわい。でも、
「ダレーンに遊びに来たら、案内は任せて!」
ナラタがかるーい感じで言ってくれたから、ありがとうって気軽に答えられた。ウナス様の言う厚遇って、ナラタ見てるとひたすら扱き使われそうでなんかヤダ。
そんな私の思惑に気付くはずもなく、
「この後、休みに入りますが予定はあるのですか?なければ、このままダレーンに遊びに来ますか?」
ウナス様が誘ってくる。
イヤ、そんな、誘って頂くほど親しい間柄じゃないよね、私もエリカも。
それに、相手王家だし。
迂闊に関わりたい相手ではない。
外交官目指しているエリカはともかく、思わぬ爆弾を落とされても表情が変わらなかった私を、誰か良くやったと褒めてほしい。
「お誘いありがとうございますウナス様。残念ですが、私はカンバルで社交デビューの予定がありますの。」
そう言ってエリカはにっこり笑って断ると、私をちらりと見た。それを受けて、
「私は、騎竜と転移の練習です。」
簡潔に答えた。すると、
「アリア、頑張るなー!家庭教師つけるのか?」
目をキラキラさせてナラタが聞くので、
「ううん、バルト兄さんとダリオ兄さん。休みとってくれた。家庭教師なんてお金かかるしもったいないもん。」
そう答えると、ギリス様もウナス様もナラタも驚愕の表情で私を見た。
えっ、私、何か変なこと言ったかな?
思わずドキドキしてると、羨ましげな表情で
「ずっりぃ!お前、妹だからってあの人達独り占めかよ!」
ナラタが地団駄踏んで悔しそうに喚きはじめたから、びっくりした。
「ダレーンにも話が届くほどの竜騎士と魔導師の指導なんて、個人教授はお受けしないと聞くのに両方ですか……。」
ウナス様、私を見る顔本当に怖いです。
「あの人たちは、本当にお前には甘いのだな。」
苦笑いをしながらギリス様が言うので、
「まあ、家族ですので。」
そう言ってやんわり笑ってお茶を濁すと
「ちょっといいか?」
ギリス様に促されみんなから少し離れた。
ナラタが、まだブツブツ言っているのでちょうどいい。
「しばしの別れだな。」
ギリス様は優しい顔でそう言った。しばしの別れってどれくらいなんだろう。ソラ2日に一回は来てたのに我慢できるかな?。
「寂しくても我慢です。」
少し見上げるようにして答えると、なんだか違和感を改めて感じた。
いつの間にこんなに身長差ができたのかな?
初めてあった時は、変わらないくらいだったのに。
そう思っているとギリス様にふわっと一瞬抱き寄せられ、
「いつでもカンバルに来い。」
小さな声で耳元で言われた。
エリカの所に戻った時、私の顔は真っ赤だったと思う。
隣でエリカがニヨニヨしてる。
「ギリス様の情報はアリアにしっかり流しますね。」
なんて小声で言われるので、
「必要ないから!」
と小声で返しといた。
イケメンにふわ抱き耳元囁かれなんて、誰でも顔が赤くなるに決まってるじゃん!
エリカと小声でやり取りしていると、
「ねー、俺もアリアと特訓受けたい。」
ナラタがいきなり私の肩を抱いてそう言ってきた。
顔、顔近いから!
「アリアだけずるいじゃん!俺も混ぜてよ!」
ずるいも何も、今回の訓練は、否応なくバルト兄さんとダリオ兄さんが決めたので私に甘いとか、彼らの指導を受けたい人間の思惑なんて知ったこっちゃないのだ。
兄さんたちは自分のやりたいことしかやらない。やりたいことをやって現在の位置にいるんだからすごいと思う。
しかし言い換えればやりたくない事は極力やらないのだ。
もし、バルト兄さんに騎竜指導を受けたければ、第一竜騎士隊に入らなきゃいけないし、ダリオ兄さんに魔導指導を受けたければ、聖グレイド王国立大学園に入るか、聖グレイド王国の魔導省に入るしかない。
「直接頼んで見れば?無理だと思うけど。」
エリカならともかく、泊まりの訓練に兄さんたちが男を許す訳がない。
私が冷たく断ると、ウナス様もうなずいて、
「ナラタだけ、そんないい思いさせるわけがないでしょう。貴方は私と一緒にダレーンに帰るんですよ。これは決定事項ですから。」
キッパリそう言うと、ナラタはがっくりして諦めた。
まあ、妹特権ってやつですよ。
お読み下さりありがとうございます。