表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロイン降ります  作者: ベルル
16/33

オススメ?だが、断る!

いつもお読み下さりありがとうございます。

ポチポチ、ブックマークが増えてきたのが励みです。

 翌日受けた光魔法のテストは、昨日と同じく、どこで何をしても良いと言われたけど私は教室から一歩も動かず、2時間以上清潔、清浄の結界を張り続けた。

 途中、エリカがこの光魔法の教室に様子を見に来てくれてお昼ご飯を約束した以外、昨日の出来事が噂になっているらしく、何人か光魔法のクラスの人間の出入りがあったものの、私には誰も声をかけなかった。


 終了を告げに来た先生は、

「これだけ安定した結界を張れるのに、合格点しかあげられないのが残念ね。」

と、ため息をついていた。私も悔しい。


 テストが終わって、いつの間にか誰もいなくなった教室から、モヤモヤした気持ちを抱えて出ると、ギリス様が廊下にいたので少し驚いた。

「もしかして待っていて下さったのですか?」

 おずおずと尋ねると、穏やかな顔で頷いて

「昨日の説明をまだしてないからな。テストが終わったのなら帰るだろう?それともまだ何かあるのか?」

 律儀な様子で答えられる。

 予想通りだなぁと私はあらかじめ用意しておいた、理由は分かったからわざわざ足を運ばなくてもいいですという、パパからの手紙を渡した。

 テストの話は私が両親に説明したし、家族会議の結果、そう何回も他国の王子様に我が家に来られると、政治的にいろいろ面倒なんだよ~。ということで、パパからの手紙。


「ギリス様も、お国に帰る準備で忙しいでしょうから、私のことでお手間をとらせては申し訳ないです。」

 本音はあんまり関わりたくないんです、をオブラートに包んで伝えるけど、

「国には帰るがソラのこともあるからな、時間を作って時々寄らせて貰おうと考えている。」

 手紙を開封し読みながら、今後も現状維持ときっぱり言われ、

「それにだな、」

手紙からふいに顔を上げ私を見つめ、

「アリア嬢の事は手間とか面倒とかではない。私がしたいからすることだ。」

ギリス様が真面目な表情で言うので。

「……アリガトウゴザイマス。」

おののきながら、お礼を言った。


 ねぇ、昨日からこの人変なんだけど!

 今まで、学校で会ったら挨拶するくらいだし、家に来てもバルト兄さんにベッタリで私達自身は薄い友達関係だったのに、何がどうなって抱きしめたり、手を繋いだり、迎えに来たりとぐいぐいくるの?

 ラノベ鉄板は主人公が鈍感無邪気、空気読めないがマストだけど、私、鈍感じゃないから!

 旗、旗たってます!



 昨日から突然、私にたいしての扱いが変わったギリス様に対して身体も心も距離をとりたい私は、

「あの、私エリカと約束してるので…。」

 会話が一段落した頃合いを見計らって、ジリジリ後ろに下がりながら少しずつ離れた。しかし、そんな私の気持ちを知らないギリス様は、

「うん?あぁ、エリカか。私も用事があるんだ。一緒に行ってもいいか?」

ぐいっと、大きく一歩を踏み出し私の横に並んだ。

 イヤ、ヤーメーテー!

「だっダメです!」

「なぜ?」

「待ち合わせは、食堂に一番近い御手洗いですから!」

 言いおいて、走って逃げた。

 だって、普通食堂近かったら食堂で待ち合わせるよね。でもトイレだったら探さなくてもすぐ会えるんだよ~!

 だけど、年頃の乙女がトイレで待ち合わせなんてあんまり言いたくないでしょう?



「廊下は走ってはいけません、はしたないですよ。」

 息を切らして待ち合わせの場所についた私を見てエリカが呆れたように言った。

「ギ、ギリス様が何か昨日からおかしくて。」

「それでもですよ。というか何があったの?いろいろ噂されてますよ。」

 その言葉にハッとして周りを見回すと、確かにじろじろ見られてるような、ないような。と、いうより時間的にまだランチには少し早くて人いないし!

「とりあえず、話そう。」 

 そう言って、食堂の奥の隅のテーブルに向かった。

 このテーブルは二人掛けで、近くに外への出入口があるから他のテーブルからは少し離れているため、内緒話にぴったりなのだ。(ちなみに男の子からこのテーブルに誘われた場合、告白されること前提なため、カップルテーブルとも言われている。) 


 私は昨日のテストの一件から今日の下りまで包み隠さずエリカに話した。エドワルド様のママへの対応は割愛したけど。

「何か、攻めて来る感じなんだよ。そう思わない?」

 なんとかこの状況を分かってほしい私に、エリカは首を傾げながら、

「聞いた限りではそうですね。でもアリア、ギリス様のことは少しでもいいな~なんて思わないのですか?」

なんと、明後日な質問返しと押し。エリカは続けて言った。

「まぁ、学園でも上位の成績を保持してましたから馬鹿ではありませんし、性格も公平で穏やか、自分が間違っていたらそれを正す謙虚さもありますし、見た目もよい自国の皇子ながら、かなりハイスペックな方だと思いますわよ。」

 うん、かなりいけてると思う。思うんだけど、

「見てる分にはイイナーとは思うけど。」

 実際付き合うなんて、めんどくさいじゃん。

「見てる分には?」 

エリカの突っ込み。

「国も身分も違う人と何かあるなんて考えられないよ。それにギリス様もう帰られるじゃない。」

 いろいろめんどうです。

「遠距離は辛いということですか?」

「あのね、エリカ、最初に恋愛感情ありきで話進めないで。遠距離は嫌だけど、転移魔法使えば距離関係ないから。」

 私の言葉に、エリカは眉尻を上げ目を細め、

「アリア、あなたの認識は間違ってますよ。転移魔法はレベル8、誰にでも使えるものじゃありませんから。この世界に10人いるかどうかなんですよ。」

 辛辣に言い放った。

 でも、うち、私以外全員使えるんだもん。認識甘くなっても仕方ないんじゃないかな?


 ちなみに、転移魔法は自身が行ったことがあるところでないと使えないらしい。また、術を安定させるためにパパや兄さん達は自身特有の魔方陣を土魔法で家と職場で固着させているそうだ。(余計な魔力を使わないので楽なんだって。)

 みんな毎日、“遅れちゃう”“忘れ物した”とかで家と職場を行き来してるので、難しい魔法の感じはしない。

 エリカにそう言ったら、

「ウィスカ家は特別ですから。」

 冷たい目で見られた。

 

「とにかく、あの方はそういう方じゃないの。私にだって好きなタイプがあるの!だからああいう態度とられると困るんだよ。」

 転移魔法で話がそれたけど、ギリス様の態度をなんとかしたいと思ってるのに、エリカにオススメされても困るんだよ。

「今まで、聞いたこともなかったですが、アリアの好きなタイプとは?」

 エリカが別に興味はないけど、話が出たからとりあえず、という体で聞いてくるので、

「稼いでくる職人か、技術職の人。それと浮気しなくて私だけ愛してくれる人。」 

そう答えたら、フンと鼻で笑われた。

「ウィスカ家でしたら、引く手あまたでしょう?」

「イヤ、うち一代男爵だもん。平民と変わりないから。それとも、うちのどっちかの兄さんエリカもらってくれるって…。」

あんなに年離れてたらナイよね~。とアハハと笑いながら続けようとしたら、エリカの顔が真っ赤になってた。

「……。」

「……喉渇かない?お茶もらってくるね。」

 言葉を話さないエリカの様子にいたたまれず、私はカウンターにお茶をもらいに向かった。


 イヤ、兄さん達かっこいいよ。バルト兄さんは少し癖のある短いライトブルーの髪に甘い顔立ち、ダリオ兄さんはパパ譲りのプラチナブロンドで、冷たそうな見た目とは裏腹の世話好き。

 才能も実力もある、見た目も中身も妹の目から見てもイケメンなのだが、浮いた噂がないのは周りが、男ばかりの職場だからではと私は思っている。

 

 しかし、エリカ、あんなに顔真っ赤にするなんて思わなかったよ。あとエリカ、お金は大事だよ!もひとつ、結婚上手くいかなくて精神的に辛いと早く老けるんだよ。





◯◯◯◯


 アリアです。魔法についての補足です。


 エリカの言ったレベルとは魔法の難易度です。

1.魔法を発動できる。

2.自分の意思で動かせる。

3.ある程度の時間その魔法を保てる。

4.同時に複数の魔法を発動できる。

5.その魔法を安定して動かせ、一定時間保てる。

6.空間を作れる。

7.空間を固定できる。

8.大きな範囲で自身の魔法を使用、維持できる。

9.広い範囲で長期間、変化なく魔法を維持できる。

10.禁断

 このようなレベル分けが魔法、魔導師基準であります。これは各国共通です。


 私達モキロス9年生だと標準でレベル4~5を習得する。

 結構簡単に上がるのねって感じだけど実は、レベル5以上になるのが難しいのだ。


 空間は風か光、土のいづれかの適正がないとできない。

 風で空間を切り開き包み込む。

 光で空間を丸める。

 土の中に空間を作り出す。

 このどれも、一瞬なら可能な人は多いけれど、その状態を維持できる人は少ない。なぜなら魔力が枯渇するから。

 魔力は体力と同じで、鍛えないと衰える。でも、ごくまれに魔力が体の中で血液のように循環して常に供給される者がいる。そういう人は大魔導師や大魔法使いになれる素地があるということなのだが、魔法はセンスなので魔力だけではなんともならないらしい。


 



♢♢♢

 今まで、魔法、魔導らしい話がなかったので書いてみました。

 






お読み下さりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ